「ROUGE(ローグ)」というバンドを覚えてる?
そのボーカリストだった奥野敦士さんが、大怪我をされ
て入院しているという。
世間様的には、ボーイ、バクチクと絡んで伝えられる「群
馬ビート」系のバンド。ボーイ、バクチクは、高崎のバンド、
ローグは前橋のバンド。彼らもよく、年末になると内田裕也
さんの『ニュー・イャー・ロック・フェスティバル』に出て
いた。
かつて、そのボーカルの奥野さんと、ギターの香川誠さんが、
東京・渋谷のセンター街にあったライブハウス、『屋根裏』で
バイトしていて、ギターリストの小川銀次さんや友達のバンド
のライブを見に行く度に、彼らの姿を見た。
彼らのバンドの音も、結構、好きで、当時、「日本一の速弾き
ギターリスト」なるものを標榜していて私に、日本語の歌、ビー
トロックというものがどういうものか教えてくれたのが、彼らと
言えるかもしれない。
彼らの『屋根裏』でのライブも何回も見たし、今はなき、渋谷の
ライブハウス、『ライブ・イン』のアルバム発売記念ライブにも足
を運んだ。足利の先輩、セメント・ミキサーズの茂木功さんは「ま
だ、まだ」という感じで見ていたけれど、私と同級生の小沢俊彦君
は、ローグにやられてた。
私の住んでいた栃木の足利というのは、ヤンキー濃度の濃い街で、
よく冗談で「オレ達は、高校時代、ヤンキーになるか、バンドマン
になるしか道はなくて、オレはバンドの道を選んだ」言うのだけれ
ど、そんな街で10代後半の時代を暮らした人間に、しっくりくるバ
ンドだった。
その後、色々な音楽の快楽を覚えて、今は、ロックであるという
事だけが、音楽の価値ではない事を覚えたけれど、いまだに彼らの
事が好きだな。どっかに、彼らの事がひっかかっているのだろうね。
今、この文章を書くためにアルバムを探していたら、同じアルバム
がいくつもあった。ひどいのは、同じアルバムを3枚も持ってる。
最近、自分が楽器をはじめた頃に聴いていたバンドのミュージシャ
ンが、どんどん他界している。年末には、ラウドネスのドラマー、樋
口宗孝さんも亡くなったらしい(ワンバスでも、高速で、しかも重い
ビートを刻んでた)。出したくても、オリジナルのメンバーで音を出
せないバンドが増えている。はやく怪我を治されて復活して欲しい。
『LOSE ONESELF』『フェアリー・ドリーム』『WALK AWAY』
『危険信号』『OUTLAW』『MY HONEY』・・・。また、鮨詰めのラ
イブハウスで聴きてぇな。
路上音楽情報紙「ダダ」編集発行人・青柳文信
追記・渋谷の『ピンクカウ』の太鼓のイベント、最高に楽しめました。
誘ってくれたテンポテンツのお父さん、カリンバのHIROYUKIさん、
ありがとう。
最近、ベテラン勢のライブばかり観に行っていたのかもしれません。
「音を出したい」「歌いたい」「何かを表現したい」という人達のエネ
ルギーが満ちあふれた空間。こういう気持ちを忘れちゃなんねぇぞと思
いました。出演した人達は、自信に満ちていて、でも、ちょこっと臆病
で(適切な表現じゃないかな。繊細で)、みんな素敵だった。みんなが
ピカピカに光って見えた。