銭湯の散歩道

神奈川、東京を中心とした銭湯めぐりについて、あれこれ書いていきます。

改良湯(東京・渋谷)(リニューアル)

2019-01-19 07:37:09 | 銭湯


過去を振り返らず変わり続ける街・渋谷を象徴するように建物を刷新したのが2018年12月21日にリニューアルオープンした改良湯だ。
外観や設備を現代風に衣替えして、洗練された銭湯へと変貌を遂げていた。













▲渋谷駅入り口。工事中は仮の姿ではない。いつも工事をしてるので、これが「変わらない」渋谷の姿だ


▲前がバスターミナル


▲その右側方向に進む




















▲渋谷ストリーム


▲いつの間にか階段が閉鎖されていた。年末には壊して無くなるようである


▲なのでエスカレートで降りるのだが


▲せっかくなのでグルッとまわってみることに




▲右側の広い通路。この先が渋谷駅に戻る方面


▲左側。こちらが進む方向。ここは飲食店が並ぶが、上階はいつもお世話になってるGoogle日本法人本社が入っているビルでもある




▲クリスマス直前ということで、ベルが設置してあった


▲階段を降りたところ


▲振り返ったところ




▲そして川。有名な童謡「春の小川」のモデルとなった川の成れの果てである


▲最初の写真を撮った場所を見返す


▲改良湯に向かって再び出発


▲あとは、ほぼ真っ直ぐ進むだけ












▲すると、さわやか信用金庫がみえてくる


▲その裏側にある




▲もう、みえてくる




▲外壁いっぱいに描かれたモダンアートの鯨


▲右下には解説




▲リニューアルオープンを祝う花






▲到着


入り口に入ると、いかにも今風の下足箱。デザイナー銭湯に生まれ変わったので、シックな装いだ。それとリニューアルしたばかりなので、新築のような建材の匂いがする。


▲こんな感じ

左にある外壁の裏側に販売機があって、そこで各種チケットを購入する。
奥に進むと左手側にフロント。立つのは、20代ぐらいの男性で、アルバイトだろう。いかにもこの年代らしい対応である。
それと飴をもらった。


▲金太郎飴で、ありがとうの文字が書いてある


入り口は右側にあって、奥の方が女湯で、手前側が男湯。
通路の先に行くと、小さな休憩所がある。休憩スペース入り口上にテレビが掛けてあって、その奥に椅子が並ぶ。自販機もあるがささやかなスペースで、猫の額ほどの広さだ。


男湯ののれんをくぐると、脱衣場は極めてシンプルで、磨き上げられたデザイナー空間である。
細部まで統一感があり、一方でシンプル過ぎて無機質な印象も受ける。今の時代を象徴する「最適化」を目指した空間だろう。
真ん中に2つの細長い白い丸みを帯びた椅子。
そして手前と左手壁際にロッカーが並ぶ。トイレは右端。照明は自動点灯する最新式だ。
あとリニューアルした特徴として脱衣場にドレッサーがあることである。
これは主に女性客を意識した改変なのだろうが、男湯にも立派な縦長の鏡台が3つ設置してあった。左端のみテーブル部分が洗面台である。あとはドライヤーがかなりデカい。プロの美容師さんが使いそうなドライヤーだ。


浴室に入るとまず感じたのは、暗い、である。薄暗いというよりもハッキリ暗い。間接照明を駆使した浴室内のため、明るい脱衣場から入るとその暗さが余計感じる。


そして最初に目につくのが、目の前の真ん中に連なる島カラン。イスや桶は全部はじめから置かれてあり、みんな透明のプラスチック製。
カランの作りもスーパー銭湯と同じで固定シャワーなのだが、プッシュ式で自動で止まるものである。
ところでリニューアルして間もなくだからだろうが、隣に座った年配客がそういう仕組みであることを知らなかったらしく、何度も押しながら「これどうやって止めるんだ?!」と聞いてきたので「…自然と止まりますよ」と助言したところ、止まるまでずっと凝視していた。
スーパー銭湯と縁がない層には改良湯の変化は大きな戸惑いだろう。


それと右手前にはサウナ。そのサウナの奥には隣接して広めの水風呂がある。低い天井に覆われ、間接照明で照らされている。シンプルで薄暗く静謐な空気感がある。
さらにその奥にもカランがある。ただ3つほどの短いものだ。


入り口に戻ると、左手前に立ちシャワー。この立ちシャワーがなかなかユニークである。
2つのハンドルがあって、お湯と水に分かれているのだが、最初にお湯のハンドルを回すと、ヘッドの縁と真ん中がLEDで赤く光りだす。
おや?と思い、そうすると水に変えたら青く光るのだろうかと、今度は水のハンドルをひねると、やはり予想通り徐々に青く変わった。
こうした温度を視覚化する仕組みは肌に触れなくても温度が確認できるので、とても便利である。
それとなにが凄いかというと、ハンドルをひねると色が変わるのではなく、今流れている水の温度をリアルタイムで示している点だ。
そのため水からお湯のハンドルをひねると最初は冷たい水が流れている間はちゃんと青く表示される。それから温度が変わると色が薄くなっていき紫っぽくなって赤に変わる。
ここまで凝った作りには感心してしまった。


その立ちシャワーの前には荷物置き場がある。カランに私物を置かないでくださいと書いてあった。
ちゃんと置き場があればカランに私物を置く必要はないので、荷物置き場は最低限の設備だろう(と思うが、実際はない銭湯の方が多い)。


そして肝心の浴槽が左側を占めている。浴槽は前後2つに分かれていて、手前側が軟水。そして奥が炭酸泉である。


軟水は41℃ほどでややぬるめ。中温と表示されてある。
そして向かって左側の奥にボディジェットとハイパージェットが一つずつあった。


奥の浴槽は炭酸泉で、なぜか浴槽内で仕切りがある。全体的に8人ほどが入れるスペース。ほかの銭湯と比べると広めだろう。
この2つの浴槽に隣接する間仕切り壁にはLEDが組み込まれていて、天井に青い光が投射されている。そのため薄暗い空間が幻想的になる。
また直接照明も浴槽の真上にあって、炭酸泉の泡が光の玉として浮かんで見える。浴槽のお湯の波間も天井にもうっすらと反射されている。
こういう演出は、最近のリニューアルした銭湯ならではだ。


しかし、新しくリニューアルした改良湯であるが、一方でどこかで見たことがあるような既視感にとらわれる。
おそらく一因は、銭湯の設計で引っ張りダコの今井健太郎建築設計事務所が手掛けたからではないだろうか?
個々の銭湯は歴史も場所も異なるはずであるが、こうした共通の設計事務所が介在すると、リニューアルしたにも関わらず他の銭湯と同質化されてしまう。


もちろん今流行りの新しい銭湯は清潔感があって落ち着きがあり、随所に芸術性が取り込まれている。間違いなく進化した形の銭湯だろう。
一方で、その代わりに銭湯ならではの「らしさ」が見失われている気がする。ファッションでいうところの、「ハズし」がないスタイルだ。
このあたりで今井健太郎建築設計事務所によりフランチャイズ化された最近の銭湯には少し寂しさみたいなものを感じてしまった。


【評価チェック箇所】
▼アクセス
最寄り駅 渋谷
経路 恵比寿方面へと真っ直ぐ
周辺の環境 住宅街

●空間演出
建物外観 現代風へと変貌
壁画・眺望 外壁には躍動する鯨の絵。浴室内は現代風にアレンジされた日本の風景を描いている
統一感 あり
置物 あり
照明 ふつう

★設備
休憩所 ロビー
脱衣所 シンプルかつシック
シャワーの出 勢いがある
浴槽の種類 ぬる湯、水風呂、炭酸泉、軟水風呂
サウナ あり
温度 39℃、41℃
棚 あり
男女入れ替え なし

■サービス
接客 若者らしい感じ
清潔さ 当然、キレイ
貸しタオル あり(円)
備え付け なし

◆人
受付 20代ぐらいの男性、30代後輩ぐらいの女性、50代ぐらいの女性
客層 老若男女


【案内】

住所〒150-0011
渋谷区東2−19−9

電話番号
03-3400-5782

アクセス
山手線「渋谷」駅下車、徒歩12分
山手線「恵比寿」駅下車、徒歩12分

休日
土曜

営業時間
月~金曜15:00−24:30、
日曜・祝日13:00−23:00
(最終入場は閉店30分前まで)

※東京銭湯ホームページ転載