銭湯の散歩道

神奈川、東京を中心とした銭湯めぐりについて、あれこれ書いていきます。

鶴の湯(東京・滝野川一丁目)

2022-06-11 06:45:00 | 銭湯
#鶴の湯

・隠れた名店
・観葉植物がたくさんある
・神は細部に宿る





都電荒川線
#滝野川一丁目駅

▲都電荒川線の滝野川一丁目駅




▲目的地はすぐそばで、真ん中の上にある18というところにある


▲駅を大塚方面に歩いて


▲左折する


▲しばらく歩くと




▲ここでストップ


▲左折する


▲そのまま進み


▲またしてもストップ


▲左折する


▲突き当たりにきたら


▲右にまがる


▲あとは真っ直ぐすすむだけ


▲左にみえてくる


▲ゴールデンウイーク最終日だったが、鯉のぼりが飾ってあった





▲到着。滝野川一丁目駅からだと歩いて4分ほどの近さだ。王子駅なら15分ぐらいだろうか


建物は外観の通りかなり古い。
下足箱に靴をあずけて中に入ると、すぐ目の前にこじんまりとしたロビーがあり、松井秀喜のユニフォームが目に飛び込んでくる。物販の隙間にはガンプラが飾ってあったりと、さりげなく店主の趣味が垣間見れる。
受付は左側で、座るのは70代ぐらいの女性。


出典:東京銭湯ホームページ引用


出典:東京銭湯ホームページ引用


「こんにちは。貸しタオルありますか?」と訊ねると「ありますよ」と後ろから出してくれた。おそらく見慣れぬ客だったからか、「通りすがりで来たんですか?」と聞かれて、「ブログの記事に書くためにきました」なんて正直に言ったら、訳の分からない変な奴が来たと思われるので、「はい、ちょっと近くに来たもんで」と嘘をついた
女性は「なんにもないところですけど」と笑いながら両手をあげて謙遜していたが、決してそんなことはない素晴らしいお店だった。
女湯は左側で、男湯は右側。


のれんをくぐるとすぐ右手にトイレがあり、トイレは使ってみたところ叔母が住んでいる昔の古い団地と同じ匂いがすると感じた。
トイレの横はテラスになっていて、対面に休憩用の椅子が2つ並ぶ。奥側にテーブルがあるがそこは紫陽花のような花が飾られてあった。
ロッカーは浴室に向かって右側の壁沿いに続き、そのそばに漫画本やソファー、机が配置されている。
ロッカーの上には苗がギッシリ並び、他で見たことのない斬新な景観だ。
洗面台は左側で、ドライヤーはコンセントが抜けた状態だったので、おそらく無料で使えるのだろう。


浴室の扉をあけると広い浴室で、島カランが2つある。
左壁にもカランがあるが、右壁側にはなし。手前右側に立ちシャワーが2つ設置してあった。
カランのシャワーは勢いがあって使いやすく、立ちシャワーに関しては湯量がハンパなく多いのですごく快適。
じつはサウナが立ちシャワーの手前にあるのだが、残念ながらこの日は照明がつけられておらず稼働していなかった。
扉には2時間100円とあり、一般の銭湯で時間制を導入してるのは珍しい。なによりも利用料金が100円というのは東京の銭湯としてかなり格安だ。


浴槽は奥から右手前にかけて並び、L字型をしている。
右の一番手前が水風呂で2人ぐらいが入れるスペース。水温は20℃前後とそんなに冷たくなかった。
奥が深浴槽のハイパージェットとなっており、一人用だけど余裕がある。
奥壁から主浴槽となって、かなり広々としていた。温度は41℃ほどで、はじっこにはバイブラがあるがオマケ程度だった。
左隣に座湯が2つ。背中はもちろん、足下にもジェットがあり、水まくらはちゃんと冷たい。
最後の一番左にあるのが深浴槽の薬湯で、こちらは42℃ほど。主浴槽よりほんの少しだけ熱めだった。薬湯の中身は薬宝湯と呼ばれるもので、見た目は茶褐色で匂いはマイルド。
このようにすべてが快適設定だ。


出典:東京銭湯ホームページ引用


浴室全体をみると古さは否めないが、とても綺麗。天井や側面の壁は白で統一され、梁の部分は茶褐色だった。 


出典:東京銭湯ホームページ引用
▲以前は緑色だったようだ


ペンキは最近塗ったかのように光を反射させ、おそらく古くない時期に中普請したと思われる。
まわりは観葉植物が定間隔で並び、気持ちが穏やかになる空間だった。


客層は全員高齢者でかなりのお客さんが来ていたが、客同士の会話は一切なかった。女湯も同様で、とても静か。
帰りがけにテラス付近で涼んでいたら、おじいちゃんと孫の女の子があらわれて、脱衣場の棚にあるおもちゃを見つけると「おもちゃがある」と女の子が言って、「受付の人が使っていいよと言ってたよ」とおじいちゃんがこたえていた。


入り口から浴室まで綺麗に管理されており、センスの良さもあって終始心地よい空間だった。
受付の対応もよかったし、随所にきめ細やかな心配りが感じられる名店と呼ぶに相応しい銭湯だった。


【評価チェック箇所】
▼アクセス
最寄り駅 滝野川一丁目
経路 南東に歩く
周辺の環境 住宅街

●空間演出
建物外観 自宅を兼ねた建物
壁画・眺望 なし
統一感 あり
置物 松井秀喜のユニフォームやガンプラ
照明 ふつう

★設備
休憩所 ロビー
脱衣所 綺麗で快適
シャワーの出 勢いがある
浴槽の種類 水風呂、ハイパージェット、バイブラ、座湯、薬湯
サウナ あり(100円)※自分が訪ねたときは稼働していなかった
温度 41~42℃
棚 あり
男女入れ替え なし

■サービス
接客 丁寧かつ親身
清潔さ きれい
貸しタオル あり(0円)
備え付け あり 

◆人
受付 70代の女性
客層 高齢者


【案内】

住所
〒114-0023
北区滝野川1−18−8

電話番号
03-3910-7244

アクセス
都電荒川線「滝野川一丁目」駅下車、徒歩2分

休日
金曜

営業時間
15:00−24:00
日曜は14:00から営業

※東京銭湯ホームページ転載

銀座にあった意外な自販機

2022-06-09 06:14:00 | 日記


▲みなさんご存知の銀座駅です


▲駅構内にはよくある自販機が並んでいますが、改札口を抜けた先にちょっと変わった自販機がありました


▲銀座駅の改札口を抜けると


▲ちょうど銀座線の改札口をでて、C1~9にむかうところです




▲スロープのところにでくわすと


▲左にそれがあります


▲リンゴの自販機です


▲ジュースなどもありますが


▲カットされた本物のリンゴが売っていました。皮付き、皮なし、さらに小さい袋(4カット入り)と大きい袋(8カット入り)の四種類があります。


▲もともとりんごは好きなので、実際に買ってみました。皮付きの四個入り200円です(昔から皮付き派です)


▲後ろのパッケージをみると品種はサンふじで、ポピュラーな品種です。
加工は青森工場だったので、青森で収穫したものでしょうか?


さっそく食べてみると思った以上にみずみずしくて新鮮でした。
味は淡泊な甘みでサッパリしており、後味がスッキリしているので飽きがこないのと、当たり前ですがちゃんと本物のリンゴでした。
同じ値段を出すならスーパーのほうがお得なのですが、都会のど真ん中で手軽に食べられるところがいいですね。






山の湯(東京・要町)【閉店】

2022-06-04 06:04:00 | 銭湯
#山の湯
2022年5月15日閉店







東京メトロ副都心線
#要町駅

▲副都心線の要町駅。有楽町線からも来ることができる




▲副都心線では隣に池袋


▲地図をみると、皇居から左上にあたる。東京の北西のところだ


▲エスカレーターでのぼり


▲右に改札口


▲左の出口1番からでる


▲地上にでたところ


▲真っ直ぐすすむと


▲右側にえびす商店街の入り口がみえる


▲中に進んで










▲ここで立ち止まり


▲左折する


▲分かれ道は右側






▲青果店の前で止まって


▲左に曲がる




▲ここでストップ


▲右をむけば


▲山の湯がみえてくる








▲閉店のお知らせ




▲奥から振り返ったところ








▲到着


▲中に入ったところ


ここは番台なので、左が女湯で右が男湯だ。
扉をあけて中に入ると、番台が左にあり、座るのはピンク色の服を着た40代半ばぐらいの女性と、その隣にはピンク色の服を着た10代後半か20代前半ぐらいの女性。
今日は最終日ということで、2人体制で対応しているようだった。
貸しタオルがあるか訊ねると、「ないんですよ~。買い切りならありますが」ということでそちらをいただくことに。100円だったので入浴料あわせて580円。タオルは無地ではなく、子どもの絵があしらわれていた。


脱衣場は横長の作りで、目の前には目隠しの衝立が立てられ、その奥側にソファが対面に並ぶ。
右に島ロッカーと壁沿いにもロッカーが並び、浴室方面には洗濯機が3つほど肩を寄せ合っている。手前には坪庭があったが、池は枯れて寂しく見えた。
右端っこにはトイレがあるがめちゃ狭くて、扉を閉めると足をどこに置いたらいいの?という極限の狭さだった。


出典:東京銭湯ホームページ引用


浴室の扉をあけると、この日は最終日ということで物凄い人だった。やはり最終日は人の数が違うなと思ったが、しばらくすると開店直後の一陣がハケていき、途中は4~5人ほどになった。終始混んでるわけではなかった。


ここは関東だと珍しく真ん中に浴槽が設置され、形はひょうたん型をしている。なので浴室に入ればすぐに浴槽が目に飛び込んでくる。


出典:東京銭湯ホームページ引用


出典:東京銭湯ホームページ引用


左側に目を向けると、こちらはスチームサウナ。以前来たときはコロナ自粛で稼働していなかったので、最終日にして初めて使うことができた。
中に入ると思ったよりも広く、6人ぐらいが座れるスペースになっていた。
入った瞬間からムッとする熱気で思ってたよりも熱い。蒸気も一般の銭湯にしてはかなり濃密で、天井からしずくがたえまなく滴り落ちてくる。


出典:東京銭湯ホームページ引用


▲よもぎ漢方のスチームらしいのだが、よもぎ感はなかった


浴室の右側ではパーティションで仕切られた立ちシャワーが2つ。2つとも備え付けが置いてあり、シャワーの勢いもあって使いやすかった。
浴槽は先ほども書いたように真ん中にあるので、それを取り囲むようにカランが壁沿いをぐるりと並ぶ。
カランはさすがに老朽化で当たり外れがあったが、当たりなら使いやすかった。


浴槽の湯船は薬湯のすみれ。最初は紫色なのでラベンダーかなと思ったが、帰りに玄関の案内を見返すと、すみれと書いてあった。


▲最終日の薬湯はこちらだった


浴槽は奥と手前に分かれていて、手前がぬるいほうで、43℃ほど。
奥は熱湯で45℃ほど。こちらはジェットが2つ取り付けられていた。
本来なら手前側はバイブラがあったのだが、故障して稼働していなかった。お店としてはずいぶん前から閉店を見越してただろうから、壊れて以来そのままだったろう。 


壁絵は湖畔に帆船がいくつも浮かび、奥には雪を被った山脈が連なっている。富士山は女湯側に描かれていた。
ペンキ絵の下には、タイル絵が飾られ、こちらは渓流が主題になってるが奥にはやはり山脈が描かれている。
間仕切り側にもタイル絵があり、せせらぎと小屋と山脈だった。
山の湯ということで、テーマはすべて山が絡んでいる。


出典:東京銭湯ホームページ引用


浴室全体をみると、配色がピンクをベースになってて、そこに茶色の浴槽などが調和していた。受付の女性も服がピンク色だったので、勝負色がピンクのお店だったのかもしれない。


客層はやはり地元客であろう高齢者や中高年が目立った。ただ若い人も多く見かけたし、帰りの時も若い人とすれ違った。閉店を惜しんで年代問わず集まってきたのだろう。


路地裏にある銭湯ということで隠れ家的な雰囲気を持ち、なおかつセンスの良さを随所に見せていたので、おしゃれな銭湯という印象を持っていた。Wi-Fiを導入したり若い人を呼び込む工夫もしていたと思うが、色々と設備の老朽化で進んで体力があるうちに経営の継続を断念したのかもしれない。
受付に立つ女性が2人とも若い人たちだっただけに、閉店が惜しまれた。


【評価チェック箇所】
▼アクセス
最寄り駅 要町
経路 商店街を抜ける
周辺の環境 住宅、路地裏

●空間演出
建物外観 ロッジ風
壁画・眺望 裸婦像
統一感 あり
置物 特になし
照明 明るい

★設備
休憩所 脱衣場
脱衣所 Wi-Fiつき
シャワーの出 当たり外れがあった
浴槽の種類 薬湯、ジェットバス
サウナ あり(ミストサウナ)
温度 43~45℃
棚 あり
男女入れ替え なし

■サービス
接客 丁寧
清潔さ きれい
貸しタオル なし(購入100円)
備え付け あり

◆人
受付 40代と20代の女性
客層 高齢者中心ながら幅広い年代


【案内】

住所
〒171-0043
豊島区要町1−47−12

電話番号
03-3957-2679

アクセス
東京メトロ有楽町線「要町」駅下車、徒歩5分

休日
月曜
祝日は翌日休

営業時間
15:30−24:00

※東京銭湯ホームページ転載

ノーベル賞で見る銭湯の適温

2022-06-02 09:00:00 | 銭湯考

2021年のノーベル賞生理学・医学賞は、「温度受容体および触覚受容体の発見」に授与されました。
人体の視覚や聴覚の仕組みは早い段階から分かっていたのですが、温度センサーに関しては20年近く前までほとんど分かっていませんでした。
20世紀末期にその実像を明らかにしたのは、米カリフォルニア大学サンフランシスコ校のジュリアス氏と、米スクリプス研究所のパタプティアン氏です。

じつはこのノーベル賞を受賞した発見には、日本人の富永真琴さん(名前は女性ぽいですけど男性の方です)という方が関わっていました。
遺伝子配列を分離するクローニング技術を学ぶためにジュリアス研究所へと留学した富永さんは、カプサイシン(お馴染みの方も多いかと思います)という辛みの成分がどの受容体で反応するのか探っていました。
やがて富永さんが所属する研究チームは、TRPV1という受容体を発見します。
TRPV1は、ショウジョウバエが持つ光の受容体と構造が酷似していました。
辛み成分に反応する受容体をみつけたジュリアスさんはミーティングの中で、「トウガラシは食べると熱を感じるから、TRPV1は熱にも反応するかもしれない」と提案し、試しに確認してみたところなんとTRPV1は熱にも反応することが判明したのです。このことがノーベル賞受賞につながりました。
英語でhotは、「辛い」と「熱い」の両方の意味を持ちますが、人間に備わったTRPV1受容体はまさに辛さと熱に反応するものだったのです。
そして興味深いのは、その反応温度です。43℃以上になるとTRPV1はカプサイシンがなくても反応を示しました。

スーパー銭湯のような大型温浴施設だとほとんどが42℃を上限に設定しています。これは快適な温度が42℃までであることを経験的に踏まえたものなのですが、ノーベル賞受賞はその温度設定が科学的に正しかったことを証明しました。

ただ、古い銭湯だとそれ以上のところがほとんどです。高いところになると47、8℃。極端な場合は、50℃以上のところもあります。

これも科学的に説明が可能で、人は痛みを感じると痛みを和らげるためにβ-エンドルフィンという神経伝達物質が分泌されます。それが痛覚を抑えるとともに脳の報酬系に働きかけてドーパミンが放出されるのです。ドーパミンは脳内麻薬とも呼ばれ、快楽を引き起こします。
この高温による気持ちよさの正体は、TRPV1を介した痛みのトレードオフによって得られた快感だったわけです。

こうした高温による楽しみ方は昭和初期から続く一つの文化ではありますが、近年の研究成果を踏まえると、やはり42℃ぐらいに抑えるのが適切と言えるかもしれません。
何事も行きすぎた行為は決して良い結果をもたらさず、銭湯に限らずですが程よいバランスをみつけて楽しむのが一番ではないかと思います。