出版界は不況を通り超え氷河期だそうだ。残念ながら日本人の知的レベルが落ちているのかそれとも脱「紙」媒体についていけないのが原因か。私は前者のような気がしてならない。
「紙」が発明されると竹簡・木簡(竹片や木片に文字を書き紐で繋いだもの)が廃れ、次に紙が現在その運命にある。しかしこの2千年近く使用され人間に慣れ親しんできた「紙」が全部無くなるとは考えられない。「紙」が電子媒体に全て置き換わることはありえないとしても多くの紙媒体が電子媒体に置き換わる可能性が大だ。文庫本などその一例であろうか。印刷代がかからなくなるコスト削減だ。また紙パルプ(森林資源)の消費が減ることは環境問題の点でも要注目である。
しかし、問題なのが最近の読み手の問題である。読み手にそれだけの読解力があるのかが疑問である。古典を読まない日本人、哲学書を読まない日本人、良くて下らない小説かマンガしか読まない日本人、我々が若いころよく言われたものだ。現在マニュアル本ぐらいしか読まれていない。マンガも部数が激減した。内容も売れるマンガは終われない、ダラダラと出版社の都合で長引かされる。話の流れで終われない、我々が子供のころコミックで5冊程度の名作マンガも今や30冊以上100冊近いものが多くなってきた。この中ダルミがマンガ離れを引き起こしている一因でもある。
マンガ、小説、哲学書など幅広く読めばよいと思うが、現在の読み手は付録目当てで本を購入するようだ。付録もブランドものの小物などで女性誌の売り上げは伸びている。それでも構わないと思うが、本の内容とその読者の理解力が問題である。学時代お世話になった教授が数年以上女性誌の売れ行きと文章力の関係を調べておられた。女性誌の売り上げで最も良く売れる文章力は小学4年生の文章力で書いた雑誌だそうだ。小学6年生の文章力で書くと20%売り上げが落ちるそうだ。老舗の男性誌の編集者と以前話す機会があり「脱字と誤字が多いね、校正している?」と聞いたことがある、その時の答えが「そんなことに気づく読者はいない」だった。確かにそうだと納得した覚えがある。
正に衆愚化の顕著な事例ではないだろうか。そしておバカタレントがチヤホヤされる世相である。衆愚政治化は益々進行しているようだ。10年ほど前に数年ほど来日していたある中国の教授が日本のおバカ番組の人気が高い状況を見て「これで日本に勝てる」と言ったそうだ。