国家が発表する「統計」で、その国家の成熟度がわかる。統計が信頼できない国は、未だに取引や工場進出等要注意すべき国である。言わずと知れた中国がその筆頭である。企業進出の前提条件が大きく崩れるためだ。20年近く昔、ヤオハンと言う流通会社が中国に本社を移し「これからは中国の時代だ」と時の有名人となったが、今はない。創業者の奥様がNHKの「おしん」のモデルになったとか言う噂の企業である。
当時、トウ小平主席は「おしん」の普及に熱心であった。「最早中国は、魯迅の『阿Q正伝』のようにズル賢く生きるのではなく、『おしん』の様に忍耐強く正直に努力して生きる時代である」みたいな、倫理観の改革を行おうとした。結果失敗し、拝金主義が現在の中国を覆っている。
台湾出身の学者は「中国に倫理観を求めていけない」的なことを発言する方もいる。「中国が数千年近く(諸子百家など)費やして構築した倫理観は、中国共産党の焚書により今は途絶えている」そうだ。故に拝金主義に走り易い。
トウ小平の改革=資本主義の導入に当たり、恐らくこの「拝金主義」を恐れたのではないか?少し生活が楽になり、資本主義と共に「自由」の空気も入って来た。そしてこれが急激に学生たちに日本や欧米諸国並みの「自由」を求める、天安門事件を引き起こす結果となった。1989年のことである。この天安門事件をキッカケに中国では退陣間近のトウ小平氏の権力は弱まり、無能な江沢民へと権力が移る。倫理観などない体制に権力が移る。江沢民の卑劣なのは、国民を押さえ切れない(軍部を掌握できなかった)ため、その不満の捌け口に「反日」を利用した事だ。
現在の中国の反日デモの参加者は、この天安門事件以後に生まれている。生まれた時から反日教育だけしか受けてこなかった連中である。また、親もその世代であることもある。
しかし、日本に来た中国人はその共産党の言う矛盾を、日本人の対応により益々感じるそうだ。そして留学生など帰国したがらない方が多い。日本語版や英語版などのgoogle等で、「天安門事件」を検索してショックを受ける中国人留学生も多い。日本の「プロパガンダ」とし、他の国の言語版のgoogleで「天安門事件」を検索するもほぼ同じ結果だったそうだ。
中国経済が下降線をたどる時、中国の「統計」の信憑性がモノを言う。統計に信憑性がない景気が下降する国から多くの資金が流出するのは誰の目にも明らかである。この時中国がどのように変化するのか、世界の関心事である。