青空と紙風船

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映画「みんなの学校」上映会&木村先生の講演会~苫小牧市ふくし大作戦2016~

2017年02月26日 | 障害者福祉

2月12日(日)、苫小牧市民会館で映画「みんなの学校」の上映会と木村泰子さんの講演会がおこなわれました。

 

2016年3月にも映画の上映会があり、その時もブログに感想を載せております。(→こちら 2016年3月 「みんなの学校」上映会

 

今回は苫小牧市の「ふくし大作戦2016」のイベントとしての開催。

そして映画だけではなく、当時校長先生でいらっしゃった木村泰子さんの講演会も行われるとのことで、ぜひお話をうかがいたく行ってまいりました。

 

映画は2度目ながら…うるうるしてしまうポイントも自分でわかりながら…「あ、もうすぐあの場面」と前もって感じるだけでうるうるしながら…学びの気持ちと感動とを味わって鑑賞いたしました。

 

講演会は17時ぎりぎりまでお話が続き、話の途中だけど時間の関係で仕方がなく先生が降壇されるようなバタバタぶり。

でも、気さくにフロアと意見を交わしながらお話されていた木村さんには合っているような感じがしました。

率直な感想は、「もっともっと子供たちのお話をうかがいたい。対話をしていたい。」ということ。また機会を探してぜひ行きたいと思っています。

 

 

講演の最初に、木村さんからフロアに「『人権、障害、共に』という言葉をよく聞くけれど、それはいったい誰のためなのか?」と問いかけがありました。

「人権」「障害」「福祉」といったことを、この言葉を使わないで説明してみて…というと、たいていの人が口を閉ざしてしまう。

「これらすべては、『自分のために、自分がすること』、と。

 

特別支援学級をつくらず、公立の小学校で地域の子供たちを皆受け入れるという大阪市立の大空小学校。

木村さんはまず「一番大事なのは、すべての子が安心して学んでいるという事実」と話されました。

「いろんな特性を持った子が集まっているのが地域の学校。

先生の言うことをきかなかったり、みんなと違って「あてはまらない」子供は、皆「発達障害では?」とレッテルを貼られる…。そして別室へうつることになる…。

それらを見ていた他の子供たちが大人になったら…

「『福祉』=『誰か困っている人に施(ほどこ)しをすること』と考えるようになってしまう。このようなことをとても危惧している。」と。

 

子供は、小さければ小さいほど大人の流れに合わせようとする。それは強いものと弱いものという関係ができてしまうのは人間の宿命。

でも、このことから学びを得るのか、いじめや暴力につながってしまうことになるのかを教えるのは大人の役割。

将来を担う宝物である子供たちに、周りの大人が教えていくこと…これを、学校の先生だけに任せるなんてもったいない。宝物はみんなで、地域で、守り育て教えていく。

社会は、予定通り想定通りにはいかないことがある。

災害がその最たるもの。

だから、「予定通りにはいかないことがあたりまえ」としてやっていくものではないか。

その、「予定通りにはいかない社会」の中でも、学ぶのは自分。

いろんな特性の子がいて、皆とは違う言動があったとして、「この子が邪魔」と思うか「この子からまわりの子は何を学べるか」と思うかが分かれ目。

 

(…木村さんのお話で印象に残った言葉が続きます。)

 

人は失敗をする。

失敗をするからやりなおしができる。

やりなおしをするから、チャレンジができる。

 

自分らしく、自分の言葉で語ること

…これは、決して話し言葉のことだけではない。いろんな自分の表現の仕方で「語る」ということを意味しています。

そして、周りのみんなは、「人として、相手をわかろうとすること」

このことが大切である、と。

 

 

 大空小学校で、唯一の決まりは、

「人にされていやなことは人にしない、言わない」ということ。

そしてこれは「人は人として対等に学びあえることの条件」と。

 

 

紙風船でもよく会話に出るのは「自分がされていやなことは、人にしないこと」という言葉。

これは、人と人とが接する上での大切なことだと私も常に思っています。

 

病気や障がいにて「相手の立場に立って考えることが苦手」と言われる人たちにも、まずはこの話をします。

 

自分にとって「嫌」と感じるのはどんなことか。

「嫌」とはどんな感覚なのか。

まずは皆それぞれに、自分自身を探るところから始めてもらっています。

 

「自分がされていやなことは、人にしない」

このフレーズではうまくいかないことも、多々出てきます。

ある講座では、人とのコミュニケーションにおいて「相手の顔(目からあごの間あたり))を見て話すこと」について取り組みました。

良くない例として、「相手の方を観ないで話す」ことを体験してもらい、どう感じるか聞くと…

「見られたら緊張するので、見ないでいてもらうとほっとする。」や「全然気になりません!」といった感想が出てきました。

 

そうか!そうだったのか!と、スタッフは気づきます。

「どうして自分がされていやなことを、人にしてしまうのだろう?」ではありませんでした。

「自分がされていやなこと」ではなかったのか、と。

 

その人のありのままを受け止めていくことはしますが、私たち紙風船は、いわゆる一般社会での就労を支援する事業所です。

本人と、企業とがうまくやっていくためには…両者に働きかけていく必要があると考えています。

だとしたら…

ご本人には、「教えること」。

「そうされると嫌な気持ちになる人がいる。だとしたら違うやり方を練習してみませんか?」と。

「就労を続けていきたいという思いがあるなら、人とうまくやっていくやり方を身に着けることが大切だし必要です」と。

 

場面によって、使い分けることができたら最高ですが、それは難しいことでしょう。

しかしながら、できないことができるようになるには、「知る」ことからが第一歩。

知って、受け入れることができれば、半分できたようなもの。

あと半分は、どう対処するかを学び、実践すること。(と簡単に書きましたが、なかなか難しい。)

 

そして周囲(人、企業、その他)には…

特別なことはありません。

ご本人におこなうことと、やることは同じです。

 

「教えること」

それは…

こういった人です。

こういう感覚をもっています。

そのために、周囲の理解があると助かります。

ぜひ、お願いします。

そうしていただければ、この人の良い部分が見え、ご本人も発揮することができます。

…というように、です。

単純じゃないことは重々承知しておりますが、それでも、やることは「人と人とがわかりあうこと/わかりあおうとすること」に尽きるのではないでしょうか。

 

木村さんは、

「子供たちのまわりの社会を育てていくこと」

「まわりの子を、育てていくこと」

をお話しされていました。

「トラブルメーカー」と言われてしまう子がいたとして、その子が安心して学校にいられるようになるには…

「まわりの子がその子を見る目が変われば、敵ではなくなる。安心していられるようになる。」と。

 

映画の中で、親の学習会の様子が出ていました。

そこに登場していた大阪市立大学の堀智晴先生が言っていました。

 

「まわりの子が変わる」

「親の見方が変わる」

(30年も経てば…)「地域が変わる」

 

特別なことではなく、日々の、日常の積み重ねが地域を変えることにつながる。

つなげるのは私たちひとりひとりだということなのです。


 

大空小学校の取り組みを、特別なものとしないように。

教育現場だけの取り組みで終わらせないように。

子供は、やがて成長して大人になる。

今、紙風船に通所しているみんなは、当然のことながらそれぞれの子供時代を経て来ている。

病気、障がいがあることでのつらい経験もそれぞれにたくさん味わってきている。

みんなに、何か施しが必要なわけではない。

 

人と人とがあたりまえに対話ができること

あたりまえに気遣えること

自分ができることを、精一杯表現すること

 

これらを通して、紙風船では人生の選択肢を増やす支援を今後も続けていきます。

お読みいただきまして、本当にありがとうございました。

マウスでスクロールした方、お疲れ様でした。

ここが終点です。

もし、よろしければ…戻っていただき、せめて「青い字」のところをお読みください。

木村泰子先生や映画の中の言葉で印象的だったものです。

いずみまさこ

※誤字脱字の訂正は、2月中に修正しますのでお許しを~

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