「万引き家族」

評価：★★★

是枝裕和監督
リリー・フランキー、安藤サクラ、松岡茉優、城桧吏他出演

「万引き家族」を見たよー。
普段邦画を滅多に見ないけど、パルムドールを獲ったから、というミーハーな理由で。

貧困つら…。

安藤サクラって初めて見たんだけど、演技うまいね！
あの人が泣くところで、私も一緒に泣いた。
奥田瑛二と安藤加津の娘なのか〜〜。

子に窃盗をさせたり、貧困でどん詰まり生活の中、肩を寄せ合って刹那的に笑って暮らす、
その薄氷のような「家族の絆」「幸せ」が痛々しい。
終盤で実はあの家族は…と明らかになるんだけど、「家族は血の繋がりだけで成り立つ
ものではない」という話なのね。

樹木希林演じるおばあちゃん、つら…老人の食べ方つら…。
私もいつかああなるのか、と思うと、つらい。

児童相談所だか警察？、警察か、の、池脇千鶴と高良健吾の薄っぺらさは演技が下手なの？
ああいう演技なのか？
池脇千鶴は下手なのか…なんか台詞が浮いてたな…高良健吾はシンゴジラと同じだったから、
やっぱり下手なのか。
第三者としてはああなるのが普通だろうけど、薄っぺらな正義感から非難することはたやすい。
池脇千鶴と大島優子が出ているのかと思ったら、池脇千鶴だけだった（笑）。

住まいがなくなるとやばいので（ホームレスまで行かずとも、ネカフェ暮らしとかね…そうなるとそこから
抜け出すのがとても難しくなる）、「万引き家族」は家があるからまだマシ…とか思ってしまった。
そういう問題ではない。
自分も仕事がなくなったらあんなふうになるのかなぁと思うと、鬱々とするよ。
すぐにはならないにしてもさ…おそろしす。
貯金がそれなりにあって、保険にも入っていても、十分とは言えないだろうし。

翔太が「父親」と決別したことと、虐待親のところに戻されたゆりが、「母親」から教えられたことや
「柴田家」で受けた愛情を忘れていないだろう姿が、この映画の希望であり、救いなのかな。

本作での食事の仕方の汚さを取り上げて、是枝監督は日本人のマナーが分かってないとか、
本当に貧しい人はカップ麺など食べずに自炊するとか、そんなトンチンカンな批判があるけど、
そういう人たち、大丈夫なの…？と思う。
どんな感想を持ち、どんな批判をしても自由だけど、ちょっと明後日方向すぎるのでは…。
正しい姿勢で綺麗に食べるような躾をするような家庭ではないし（そういうことの表現でもあるのでは？）、
本当に貧しくなってくると、調理器具や調味料を揃えて、原材料を買って、きちんと料理するのも難しく
なるものだろうし、そもそも「自炊して節約しよう」という発想があるような家庭でもないし、
貧しく成ると精神的にもどん詰まって来るものじゃないのかね。
そもそも、普通の家庭（って何だ）に育っても、食べ方が綺麗じゃない人はたくさんいるし…（私も
箸の持ち方おかしいし）。