ギスギスした警察小説を求めて、伊兼源太郎「祈りも涙も忘れていた」読み終えた。
伊兼源太郎は「警視庁監察ファイル」3部作をAmazonオーディブルで聞いたばかりで、
本作で4作目。
26歳の新人警察官僚が神戸と思しき神浜市なる架空の都市のあるV県警に赴任し、
管理官として現場捜査官と対立したり、巨悪に立ち向かう話。
序盤の現場捜査官をやり込めるところまでは良かったのに、その先がシャキッとしなかった。
話を大きくしたわりに、終わり方が唐突でバタバタしすぎだし、読者置き去りなので
いまいち盛り上がらない。
肝心なところで主人公の思考を描かなすぎて唐突。
一番ダメなのは、主人公と成海の会話の嘘っぽさというか、あんな会話で魅力を
感じるのか?ということ…人によっては魅力を感じるのか。
作中でラマイオリヒという作家の文章がたびたび挿入されるんだけど、実在の作家なの?
それとも創作?
その文章が結構長いんだけど、興味なくて一切読まずに飛ばしてしまった。
読んだらもっと味わい深かったのか?
バーの場面をカットしても話が成り立ったのでは…
と思ってしまう。
バーの場面なしでは話は成り立たないだろうし、作者はあそこを描きたかったのだろうけど、
どうもあそこがベタベタと感傷的すぎて苦手。
もっとヒリヒリと渇いてギスギスしてほしい。
文句ばかり書いてしまったけど、終盤までは、成海周りを除けば、ギスギスしてて
楽しかったよ。
伊兼源太郎の「警視庁監察ファイル」の皆口も要らないなぁと思ったので(皆口は
主人公並みのキャラだけど)、この人の描く女性キャラが苦手なんだと思う(笑)。
「警視庁監察ファイル」では主人公の幼馴染の弁護士、本作では主人公と大学同期の
新聞記者が出てきて、どちらもとても良いキャラで良い役回りを与えられながら今ひとつ
活躍しないところまで同じで、面白い。もったいない。