ようつべで、展覧会の絵のピアノバージョン聴いてて、「次の動画」がこれだったんですが、これはちょっとびっくり。
この曲については以前、第1楽章のカデンツァであれこれ書いたつもりだったのですが、今探したら見当たらなかったのでちょっと書きます。
第1楽章のカデンツァなんですが、通常版と ossia というのがあります。
ossia は、「または」とかいう意味だそうで、「通常のカデンツァのかわりにこっちでもいいよ」っていうものだそうです。
おいらが最初にこの曲をきいたのはラザール・ベルマンので、これはossia です。
この演奏。
Rachmaninov - P Con No. 3 - Berman
始めから地味ですよね。いや、ほんとの最初はしょうがないんですが、57秒のところからが重要で、この演奏ではここも地味です。
ラフマニノフだと2番に聴きなれていたおいらは、なんか平板な曲だなあと思っていたのですが、
カデンツァでびっくり。
↓これ。カデンツァだけ。
Rach #3 - Cadenza - Lazar Berman
うひょ~、なんかすごい迫力という感じで。
しかし、曲全体としては、あまりいい曲とは言えなくて、やっぱり2番だよね、って感じで聞きましたが。
少しして、ホロヴィッツのレコードを買ったんですが、
これがまたびっくり。
全然違うんですよね。
その時買ったのは78年のライブでオーマンディ指揮のやつ。
・・でしたが、今日は、著作権切れててかつ比較しやすい51年のフリッツ・ライナー版で。
Rachmaninov - P Con No. 3 - Horowitz 51
57秒のところからが、全然違います。
平板じゃない!ホロビッツすごい!と驚いたわけです。
で、良くわかっていないおいらは「これ、カデンツァどうなるの?」とおもったら、ベルマンと違うんですよ。あれ?
高速でチャチャッと弾いてるカデンツァ。あらら、ですよ。
10分ごろからですが、特に10分30秒あたりからのところ。
高音で チャチャ チャチャ チャチャチャチャチャチャ ってなってます。
ossia だと、 ズンズン ドンドン ズンズン ドンドン ズンズンドンドンドンドンですからね。
ホロヴィッツのは、通常版のカデンツァで、ベルマンのがossiaと。
その後、いくつか聴いてみたら、57秒(もちろん時間は演奏によって違いますけけどw)のところからの違いは、カデンツァの違いだったのです。
カデンツァをossiaにすると、とにかくそこが最大音量になります。酷く出次回音で弾かねばならないので、相対的に他の部分がおとなしめになるんですね。
人間の腕力には限界がありますから。
はじめのうちからドカンと大きな音を出して弾いてしまうと、ossiaが引き立たないのですよね。
したがって、ossiaじゃないほうが、全体としては起伏のある演奏になるというわけだったのです。
そこから、この演奏のカデンツァはossiaかそうじゃないかを、はじめの57秒(当社比)からの部分を聴くだけで判断できるという無意味な極意をマスターしたわけですが、
しかし・・
続く


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