映画館で観てから2ヶ月くらいたって今更ですが、2021年映画ベスト書く前にこれだけはあげとかなければ、と書きます。
ネタバレなしで(本質的な部分のネタバレはなしで)書いてます。
ネタバレなしで(本質的な部分のネタバレはなしで)書いてます。
(写真はサントラCDより)
007最新作。ありがとう、お疲れさまダニエル・クレイグ。結論から言うと、めっちゃ面白かった。
先日アップした私的ボンドベストテンを見てお分かりのように私はロジャー・ムーア時代のボンドが好きなのです。
あのころのボンドの敵は悪事のスケールが大きかった。人類滅亡クラスの悪事も珍しくなかった。
しかし、ティモシー・ダルトンのボンド以降、映像的には派手になっても敵のやることはセコくなってきた。せいぜいが英国と中国の武力衝突を起こしてやろうくらいなものだった。(十分デカいがボンド世界では控えめな方だ)
その点今回のフレディ・マーキュリーじゃなくてラミ・マレック演じる悪役は、きちんと全人類滅亡クラスの悪事を考えてくれている。本当なら悪事を大成功させてから「Mama, Just killed men」などと一曲歌ってほしかった。って、いやまたあいつが口パクで歌い始めたらビリー・アイリッシュちゃんがかすむだろ。
で、当然我らがボンドが、やばい敵と戦うわけだが、なにしろ歴代ボンド史上1番のヘタレだが、多分1番のMで拷問されるの好きそうで、もしかしてわざと捕まってんじゃない疑惑のダニエル・クレイグだからちょいと不安なのです。
とは言えダニエルも5作目。ムーア7、コネリー6(+1)に次いでの歴代3位。ちなみに出演期間で言うとムーアは13年間に対してクレイグは15年間でボンド期間歴代トップなのである。(ショーン・コネリーが分家作品の「ネバー・セイ・ネバー・アゲイン」を入れると19年間になるのだけど)
卒業作品というか、連続シリーズダニエル007の最終回にふさわしいスケールデカデカな作品で締めくくりとなり、しょぼくれたストーリーでただただ退屈だったカジノと慰めを思うと尻上がりに良くなっていった結果として素晴らしいシリーズとなったのだった。
プロデューサーの戦略勝ちだったと思う。
コネリーからブロスナンまでボンドは基本的に1話完結型の作品だった。
それを連続シリーズにして、前作のラストから始まるような脚本にし、シリーズを進めながらレギュラーを増やしていく。そしてきちんと「最終回」を作る。
ボンド役者6人目だけど、このようにきちんと卒業させてもらえたボンド役者は初めてだ。そういえばシリーズ内できちんとMも卒業アンド引継ぎが行われたし、これまでにないボンド像を作るのに成功しただけでなく、人はやがて去るという新しいシリーズ像を作ることにも成功した。
ラスト、賛否両論あるだろうけど、私は単純に心を打たれ、エンドクレジットの終わりの「James Bond will return.」のお決まり文を観て、次作というより新しいシリーズが楽しみになった。
そうはいってもダニエルボンドは、最初の二作は魅力不足だったと思うけど、シリーズの功労者はやっぱサム・メンデスなんでしょうね。スカイフォールから急に面白くなったもの。
そのメンデスの作ったボンドの世界観を継承したのが、キャリー・ジョージ・フクナガ監督で、名前から想像できる通りに日系アメリカ人である。と言ってもアメリカ生まれアメリカ育ちで、絶対納豆と味噌汁より、ピザとコーラな精神の方だと思います。
フクナガ監督、正直全く聞いたことなく、ピアースブロスナンのボンド以降いつも、そこそこ知名度のある監督が担当してきたのに、随分思い切った人選だなと正直思いました。
ダニエル以降だけ見ても
カジノロワイアル→マスク・オブ・ゾロのマーティン・キャンベル(爆弾マスター)
慰めの報酬→チョコレートのマーク・フォースター
スカイフォールとスペクター→アメリカンビューティのサム・メンデス
…と結構なビッグネームでやってきたのにここに来て、え?誰?な人選は勇気いることだったと思う。
ですがプロデューサーの慧眼というか、大成功でした。
自分の日系の血を意識してか、フレディマー…じゃなくてラミ・マレックに能面被せたり、ラストの決戦の場が「日露で領土問題でもめてる
島」って、アレですよね。安倍晋三が「日本固有の領土」と表現するのをやめたあの4島のどこかよね。
007シリーズいつも国名は実名だし、少し前も北朝鮮の悪党と戦ったりで安倍晋三と違って忖度というものを知らない。
007シリーズといえばイアン・フレミングが変なニッポン贔屓だったせいで、ニッポンニッポンした描写がちょくちょくでてくる。もろ日本が舞台で丹羽哲郎や浜美枝が出演しスペクターの秘密基地を日本の情報部所属の忍者部隊が急襲する『007は二度死ぬ』を筆頭に、ゴールドフィンガーの帽子投げの殺し屋、ムーンレイカーの剣道キラー、美しき獲物たちのジャパニーズ風ラブホテル、消されたライセンスの忍者チーム、その系譜をきちんと受け継ぐ能面殺し屋の登場で本作は紛れもなく本家シリーズであることを印象付けるわけです。
畳ばりの部屋で正座してボンドを待つラミ・マレックは、狙われた街のメトロンかよと思ったけど、その後のボンドの見事な土下座は惚れ惚れするばかりだった。今時日本映画でもあんなに見事な土下座は見ない。
ただし本作がもっとも影響を受けたというかオマージュ強めなのはジョージ・レイゼンビーがボンドを演じた第6作『女王陛下の007』ではないかと思う。
同作でルイ・アームストロングが歌った「We have all the time in the world」のインスト版(ハンス・ジマーによるアレンジ)が、序盤のボンドと前作に続き登場のアデルをブルーに燃えさせたレア・セドゥのラブリーなシーンにかけて、さらにオリジナル音源も別の場面でかける。
また女王陛下のオープニングタイトルシーンに使用されたインストナンバーの「On her majesty's secret service」のアレンジが、ボンドとMの会話シーンに使われる(なぜそこで使われたのかわからないが)
愛する者の死というテーマも、『女王陛下』と違った形ではあるが引き継がれているし、敵がウィルスを使うという所にも関連がある。
一作だけの短命に終わったジョージ・レイゼンビーの作品に、シリーズ最長を勤め上げたダニエルの最終作でオマージュを捧げるというのも悪くない。
などと、書いてるとキリがない上にまとまりもないのでこの辺で終わりにしたいのだけど、映像のカッコ良さ、アクションの面白さ、特撮のかっこよさ、そしてビリー・アイリッシュの主題歌もシリーズ歴代ベスト3に入れても良さそうな素晴らしさだし、大スクリーンで観れて大満足、ありがとうアンドお疲れ様ダニエル!
p.s.キューバのシーンでボンドを助ける女の子めっちゃかわいい。よくあれだけ激しく動いてポロリしないなという衣装だが、そこはCIAの最高の技術が投入されているんでしょう
007最新作。ありがとう、お疲れさまダニエル・クレイグ。結論から言うと、めっちゃ面白かった。
先日アップした私的ボンドベストテンを見てお分かりのように私はロジャー・ムーア時代のボンドが好きなのです。
あのころのボンドの敵は悪事のスケールが大きかった。人類滅亡クラスの悪事も珍しくなかった。
しかし、ティモシー・ダルトンのボンド以降、映像的には派手になっても敵のやることはセコくなってきた。せいぜいが英国と中国の武力衝突を起こしてやろうくらいなものだった。(十分デカいがボンド世界では控えめな方だ)
その点今回のフレディ・マーキュリーじゃなくてラミ・マレック演じる悪役は、きちんと全人類滅亡クラスの悪事を考えてくれている。本当なら悪事を大成功させてから「Mama, Just killed men」などと一曲歌ってほしかった。って、いやまたあいつが口パクで歌い始めたらビリー・アイリッシュちゃんがかすむだろ。
で、当然我らがボンドが、やばい敵と戦うわけだが、なにしろ歴代ボンド史上1番のヘタレだが、多分1番のMで拷問されるの好きそうで、もしかしてわざと捕まってんじゃない疑惑のダニエル・クレイグだからちょいと不安なのです。
とは言えダニエルも5作目。ムーア7、コネリー6(+1)に次いでの歴代3位。ちなみに出演期間で言うとムーアは13年間に対してクレイグは15年間でボンド期間歴代トップなのである。(ショーン・コネリーが分家作品の「ネバー・セイ・ネバー・アゲイン」を入れると19年間になるのだけど)
卒業作品というか、連続シリーズダニエル007の最終回にふさわしいスケールデカデカな作品で締めくくりとなり、しょぼくれたストーリーでただただ退屈だったカジノと慰めを思うと尻上がりに良くなっていった結果として素晴らしいシリーズとなったのだった。
プロデューサーの戦略勝ちだったと思う。
コネリーからブロスナンまでボンドは基本的に1話完結型の作品だった。
それを連続シリーズにして、前作のラストから始まるような脚本にし、シリーズを進めながらレギュラーを増やしていく。そしてきちんと「最終回」を作る。
ボンド役者6人目だけど、このようにきちんと卒業させてもらえたボンド役者は初めてだ。そういえばシリーズ内できちんとMも卒業アンド引継ぎが行われたし、これまでにないボンド像を作るのに成功しただけでなく、人はやがて去るという新しいシリーズ像を作ることにも成功した。
ラスト、賛否両論あるだろうけど、私は単純に心を打たれ、エンドクレジットの終わりの「James Bond will return.」のお決まり文を観て、次作というより新しいシリーズが楽しみになった。
そうはいってもダニエルボンドは、最初の二作は魅力不足だったと思うけど、シリーズの功労者はやっぱサム・メンデスなんでしょうね。スカイフォールから急に面白くなったもの。
そのメンデスの作ったボンドの世界観を継承したのが、キャリー・ジョージ・フクナガ監督で、名前から想像できる通りに日系アメリカ人である。と言ってもアメリカ生まれアメリカ育ちで、絶対納豆と味噌汁より、ピザとコーラな精神の方だと思います。
フクナガ監督、正直全く聞いたことなく、ピアースブロスナンのボンド以降いつも、そこそこ知名度のある監督が担当してきたのに、随分思い切った人選だなと正直思いました。
ダニエル以降だけ見ても
カジノロワイアル→マスク・オブ・ゾロのマーティン・キャンベル(爆弾マスター)
慰めの報酬→チョコレートのマーク・フォースター
スカイフォールとスペクター→アメリカンビューティのサム・メンデス
…と結構なビッグネームでやってきたのにここに来て、え?誰?な人選は勇気いることだったと思う。
ですがプロデューサーの慧眼というか、大成功でした。
自分の日系の血を意識してか、フレディマー…じゃなくてラミ・マレックに能面被せたり、ラストの決戦の場が「日露で領土問題でもめてる
島」って、アレですよね。安倍晋三が「日本固有の領土」と表現するのをやめたあの4島のどこかよね。
007シリーズいつも国名は実名だし、少し前も北朝鮮の悪党と戦ったりで安倍晋三と違って忖度というものを知らない。
007シリーズといえばイアン・フレミングが変なニッポン贔屓だったせいで、ニッポンニッポンした描写がちょくちょくでてくる。もろ日本が舞台で丹羽哲郎や浜美枝が出演しスペクターの秘密基地を日本の情報部所属の忍者部隊が急襲する『007は二度死ぬ』を筆頭に、ゴールドフィンガーの帽子投げの殺し屋、ムーンレイカーの剣道キラー、美しき獲物たちのジャパニーズ風ラブホテル、消されたライセンスの忍者チーム、その系譜をきちんと受け継ぐ能面殺し屋の登場で本作は紛れもなく本家シリーズであることを印象付けるわけです。
畳ばりの部屋で正座してボンドを待つラミ・マレックは、狙われた街のメトロンかよと思ったけど、その後のボンドの見事な土下座は惚れ惚れするばかりだった。今時日本映画でもあんなに見事な土下座は見ない。
ただし本作がもっとも影響を受けたというかオマージュ強めなのはジョージ・レイゼンビーがボンドを演じた第6作『女王陛下の007』ではないかと思う。
同作でルイ・アームストロングが歌った「We have all the time in the world」のインスト版(ハンス・ジマーによるアレンジ)が、序盤のボンドと前作に続き登場のアデルをブルーに燃えさせたレア・セドゥのラブリーなシーンにかけて、さらにオリジナル音源も別の場面でかける。
また女王陛下のオープニングタイトルシーンに使用されたインストナンバーの「On her majesty's secret service」のアレンジが、ボンドとMの会話シーンに使われる(なぜそこで使われたのかわからないが)
愛する者の死というテーマも、『女王陛下』と違った形ではあるが引き継がれているし、敵がウィルスを使うという所にも関連がある。
一作だけの短命に終わったジョージ・レイゼンビーの作品に、シリーズ最長を勤め上げたダニエルの最終作でオマージュを捧げるというのも悪くない。
などと、書いてるとキリがない上にまとまりもないのでこの辺で終わりにしたいのだけど、映像のカッコ良さ、アクションの面白さ、特撮のかっこよさ、そしてビリー・アイリッシュの主題歌もシリーズ歴代ベスト3に入れても良さそうな素晴らしさだし、大スクリーンで観れて大満足、ありがとうアンドお疲れ様ダニエル!
p.s.キューバのシーンでボンドを助ける女の子めっちゃかわいい。よくあれだけ激しく動いてポロリしないなという衣装だが、そこはCIAの最高の技術が投入されているんでしょう