昨年末に香港のリンゴ・ラム監督が亡くなられていたことを、恥ずかしいことながら今更知った。敬愛する監督でした。遅くなりましたが心よりご冥福をお祈りいたします。
映画秘宝の追悼文には代表作の「友は風の彼方に」のことを「レザボアドッグスに影響を与えたと言われている」などと書かれていたが…
「影響を与えた」「と言われている」?なに寝ぼけた事書いてんだ、ふざけんじゃねーぞバカ
「友は風の彼方に」を見れば、「レザボアドッグス」がただのパクリであること明白じゃないか。たしかタランティーノ自身も翻案したことを認めていたと思うが、認めるまでもなく明らかに「同じ」なんだよ。
「友は風の彼方に」の終盤40分を100分に伸ばしたのがレザボアなんだよ。
「友は風の彼方に」の終盤の展開。
潜入捜査官のユンファは強盗団のダニー・リーらと共に強盗に参加するが、任務を忘れダニー・リーに友情を感じていたユンファは彼を救うために警備員を射殺してしまい、一方で自らも被弾し重傷を負う。
アジトに戻ったダニー・リーたちは誰かが警察に情報を漏らした、警察の犬がいると生き残った仲間同士で疑いあい、ユンファが疑われるがダニー・リーは彼をかばう。
やがて警官隊にアジトが包囲され最後にユンファはダニー・リーに実は俺がと告白。そして残った仲間で撃ち合いになり
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これほどそっくりなのにもかかわらず、レザボアドッグスのタランティーノの脚本は「脚色」ではなくオリジナル扱い。タランティーノの傑作などと世間で言われ続けることに強い違和感を感じて止まない。
彼はリンゴ・ラムをパクっただけなんだ。パクリだろうとリメイクだろうと面白ければもちろん良いのだけど、見れば見る程「レザボアドッグス」より断然「友は風の彼方に」の方が面白いと思えて仕方ないのだ。
リンゴ・ラムもそのことをもっと言っても良かったのでは…
リンゴ・ラムの香港時代の作品にはもう一つ語り継ぎたい傑作があり「プリズン・オン・ファイヤー」で、これも主演チョウ・ユンファ。
ユンファといえばジョン・ウーとのコラボ作が有名だが、リンゴ・ラムとも熱い信頼関係のもと多数の傑作を残している。
「プリズン・オン・ファイヤー」は刑務所の物語。ほんとは真面目な良いやつなのに誤って人を殺してしまった若者が刑務所に入り、暴力や嫌がらせを受けるのだが、先輩受刑者のチョウ・ユンファに助けられそして彼から人生について色々教わっていく。刑務所が舞台のクロサワ映画風展開。ドラマとしては「友は風の彼方に」ほど強くはないけどチョウ・ユンファのキャラクターとしてはシリアス一辺倒な「友は〜」より、苦しい中でも飄々としている「プリズン〜」の方がすきだ。
90年代にハリウッドで香港の映画人を監督に迎えてアクション映画を撮るのが流行った。
ハリウッドというより、ジャン=クロード・ヴァン・ダムの中で流行ってただけかもしれないが、とにかくヴァン・ダムはジョン・ウーやツイ・ハークといった香港の監督に自分主演のB級アクションを撮らせた。その一環でリンゴ・ラムにも撮らせていた。作品のできはともかくヴァン・ダムに見る目があったのは確かだ。
リンゴ・ラムのハリウッドデビュー作となったヴァン・ダム主演映画「マキシマム・リスク」はヴァン・ダム作品の中ではかなり面白い。
何をやってもとにかく安っぽかったヴァン・ダム映画にこのころアクション映画としての面白さがキチンと付いてきていた。
「マキシマム・リスク」はマフィアに殺された双子の弟の仇を討つ話で、ストーリーはなんて事ないが、銃弾視点のカットが差し込まれる銃撃戦などメチャメチャかっこよく(実はリンゴ・ラムの香港時代の「フル・コンタクト」でやってる演出だが)ヴァン・ダム映画がこんなにセンスいいはずない!?と我が目を疑うほどの素晴らしさだった。
ヴァン・ダムとは他にも一作「レプリカント」(未見)という作品を撮っており、ヴァン・ダムからも気に入られていたのだと思われる。しかし結局ハリウッドではジョン・ウーほどの成功は収められなかった。
ウーほどスタイリッシュな映像美の監督ではなかったし、もともとリンゴ・ラム映画はジョン・ウー映画をより文学的に洗練させたようなドラマ作りとキャラクターによるアクション映画が売りだったので、ただのアクション映画職人が欲しかったハリウッドには向かなかった
リンゴ・ラムとジョン・ウーは対照的な香港の二大監督だった。
2人ともユンファをこよなく愛した。
リンゴ・ラムの映像演出にはジョン・ウーのようなケレン味は無かったが、丁寧に脚本を書きドラマのためのアクションを撮る監督だった。
ジョン・ウーはアクションとドラマを一つに溶け込ませた独自の世界を持っていたが、リンゴ・ラムはそれぞれを独立させることを考えていた気がする。
それでも2人とも登場人物に高潔さと美しさを求めた点も似ている。「フルコンタクト」で、天井から滴る水滴でナイフを清めてから敵を刺し、そしてナイフについた血を同じ水滴で洗い清めるという演出は行動の崇高さだけを求めるジョン・ウーには撮れない、思想としての美学を追求するリンゴ・ラムならではのシーンだったと思う。
ともかくはっきりしているのは、世界はペキンパー、深作、フランケンハイマーに続いてまたしても偉大な、偉大すぎるアクション映画の巨匠を失ったのである。
しかし、リンゴ・ラムが描いてきた高潔な精神とカッコいいアクション演出は永遠に僕たちの心に生き続ける。
ありがとうリンゴ・ラム
で、タランティーノ、お前は追悼文の一つくらい書いたんだろうな!!?
映画秘宝の追悼文には代表作の「友は風の彼方に」のことを「レザボアドッグスに影響を与えたと言われている」などと書かれていたが…
「影響を与えた」「と言われている」?なに寝ぼけた事書いてんだ、ふざけんじゃねーぞバカ
「友は風の彼方に」を見れば、「レザボアドッグス」がただのパクリであること明白じゃないか。たしかタランティーノ自身も翻案したことを認めていたと思うが、認めるまでもなく明らかに「同じ」なんだよ。
「友は風の彼方に」の終盤40分を100分に伸ばしたのがレザボアなんだよ。
「友は風の彼方に」の終盤の展開。
潜入捜査官のユンファは強盗団のダニー・リーらと共に強盗に参加するが、任務を忘れダニー・リーに友情を感じていたユンファは彼を救うために警備員を射殺してしまい、一方で自らも被弾し重傷を負う。
アジトに戻ったダニー・リーたちは誰かが警察に情報を漏らした、警察の犬がいると生き残った仲間同士で疑いあい、ユンファが疑われるがダニー・リーは彼をかばう。
やがて警官隊にアジトが包囲され最後にユンファはダニー・リーに実は俺がと告白。そして残った仲間で撃ち合いになり
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これほどそっくりなのにもかかわらず、レザボアドッグスのタランティーノの脚本は「脚色」ではなくオリジナル扱い。タランティーノの傑作などと世間で言われ続けることに強い違和感を感じて止まない。
彼はリンゴ・ラムをパクっただけなんだ。パクリだろうとリメイクだろうと面白ければもちろん良いのだけど、見れば見る程「レザボアドッグス」より断然「友は風の彼方に」の方が面白いと思えて仕方ないのだ。
リンゴ・ラムもそのことをもっと言っても良かったのでは…
リンゴ・ラムの香港時代の作品にはもう一つ語り継ぎたい傑作があり「プリズン・オン・ファイヤー」で、これも主演チョウ・ユンファ。
ユンファといえばジョン・ウーとのコラボ作が有名だが、リンゴ・ラムとも熱い信頼関係のもと多数の傑作を残している。
「プリズン・オン・ファイヤー」は刑務所の物語。ほんとは真面目な良いやつなのに誤って人を殺してしまった若者が刑務所に入り、暴力や嫌がらせを受けるのだが、先輩受刑者のチョウ・ユンファに助けられそして彼から人生について色々教わっていく。刑務所が舞台のクロサワ映画風展開。ドラマとしては「友は風の彼方に」ほど強くはないけどチョウ・ユンファのキャラクターとしてはシリアス一辺倒な「友は〜」より、苦しい中でも飄々としている「プリズン〜」の方がすきだ。
90年代にハリウッドで香港の映画人を監督に迎えてアクション映画を撮るのが流行った。
ハリウッドというより、ジャン=クロード・ヴァン・ダムの中で流行ってただけかもしれないが、とにかくヴァン・ダムはジョン・ウーやツイ・ハークといった香港の監督に自分主演のB級アクションを撮らせた。その一環でリンゴ・ラムにも撮らせていた。作品のできはともかくヴァン・ダムに見る目があったのは確かだ。
リンゴ・ラムのハリウッドデビュー作となったヴァン・ダム主演映画「マキシマム・リスク」はヴァン・ダム作品の中ではかなり面白い。
何をやってもとにかく安っぽかったヴァン・ダム映画にこのころアクション映画としての面白さがキチンと付いてきていた。
「マキシマム・リスク」はマフィアに殺された双子の弟の仇を討つ話で、ストーリーはなんて事ないが、銃弾視点のカットが差し込まれる銃撃戦などメチャメチャかっこよく(実はリンゴ・ラムの香港時代の「フル・コンタクト」でやってる演出だが)ヴァン・ダム映画がこんなにセンスいいはずない!?と我が目を疑うほどの素晴らしさだった。
ヴァン・ダムとは他にも一作「レプリカント」(未見)という作品を撮っており、ヴァン・ダムからも気に入られていたのだと思われる。しかし結局ハリウッドではジョン・ウーほどの成功は収められなかった。
ウーほどスタイリッシュな映像美の監督ではなかったし、もともとリンゴ・ラム映画はジョン・ウー映画をより文学的に洗練させたようなドラマ作りとキャラクターによるアクション映画が売りだったので、ただのアクション映画職人が欲しかったハリウッドには向かなかった
リンゴ・ラムとジョン・ウーは対照的な香港の二大監督だった。
2人ともユンファをこよなく愛した。
リンゴ・ラムの映像演出にはジョン・ウーのようなケレン味は無かったが、丁寧に脚本を書きドラマのためのアクションを撮る監督だった。
ジョン・ウーはアクションとドラマを一つに溶け込ませた独自の世界を持っていたが、リンゴ・ラムはそれぞれを独立させることを考えていた気がする。
それでも2人とも登場人物に高潔さと美しさを求めた点も似ている。「フルコンタクト」で、天井から滴る水滴でナイフを清めてから敵を刺し、そしてナイフについた血を同じ水滴で洗い清めるという演出は行動の崇高さだけを求めるジョン・ウーには撮れない、思想としての美学を追求するリンゴ・ラムならではのシーンだったと思う。
ともかくはっきりしているのは、世界はペキンパー、深作、フランケンハイマーに続いてまたしても偉大な、偉大すぎるアクション映画の巨匠を失ったのである。
しかし、リンゴ・ラムが描いてきた高潔な精神とカッコいいアクション演出は永遠に僕たちの心に生き続ける。
ありがとうリンゴ・ラム
で、タランティーノ、お前は追悼文の一つくらい書いたんだろうな!!?