秩父事件の映画化。松本ロケもあり知り合いがエキストラ出演したということもあって観に行った(公民館で一日だけの上映。よくやった) 。知り合いの識別は不可能だった。田中実が役所に談判に行くシーンらしかったのだが。まあいい
神山征二郎という作家は実は結構好き。何のひねりもないNHK的演出をする男とずっと思っていたが、実は表面的にはそう見えても、かなりのヒネクレ作家だと思う。
「ひめゆりの塔」「月光の夏」などストレートな反戦ものを手がけたり、「大河の一滴」「宮澤賢治・その愛」「遠き落日」なんかはやっつけ仕事なのか本気でやってるのか微妙。「さくら」はかなり意欲的な作品だっただろう。「郡上一揆」は頑張った。考えてみると彼は権力に反抗する映画を多く撮る。国が「死ね」と言えば「絶対生きろ」という人たちを描き、無理だ無駄だと言われればやり遂げてしまうような人を描き、税金よこせと言われれば払いませんと言う人たち。正義っぽいがどっちかというと反骨精神のみから来てる部分の強い人たち。
体制迎合のNHKと一緒にするなんてとんでもない。しかし、人の良さと批判かわしの無難さから作品はいつもパンチに欠ける。
秩父事件を扱った本作は、神山の全作品中最もスケールのでかいもので歴史スペクタクルの体裁を整えている。モブシーンの多さ。襲撃シーンの力強さ。俳優たちの力みまくった熱い演技(かっこいいんだよね、みんな)。
募金をつのり資金をかき集めて、制作費は4億になったという。すごい執念とは思うが、反面この映画は4億程度で作れるスケールの物語ではなかった気がする。
高利貸し襲撃シーンは力が入っているが、政府側の反撃により秩父反乱軍が壊乱する辺りは適当に流している(流さざるを得なかったのだろう)。反乱が上げ潮から引き潮に移り変わる、歴史映画として重要なシナリオ転換点をセリフだけで済ましちゃうあたり、なんとも歯がゆい。
秩父反乱軍の武器は竹やりが主力。それと刀と少々の先込め式火縄銃(戦国期と大差ない)。人数も多く勢いもあり、高利貸しや地元の警官隊程度には勝てるが、元込め式のライフル銃で武装した明治政府軍にはとてもかないっこない。
絶対に負ける。反乱軍幹部たち(のインテリ系)はそんなこと百も承知だったはずだ。負けるとわかっちゃいるがそれでも闘う・・・そんな悲壮にして歴史的には意義のある闘いに挑む滅びゆく者たちの滅び様を描けば、この映画はもっと感動的になったのではないだろうか。
主要幹部が極刑に処せられたところもモノローグだけで流さず、「ブレイブハート 」のメルみたく「フリーダーム!!!!!!」と大声で叫ばせたりすればよかったのに・・・
いろいろ残念でならない。
金持ち・地主・高利貸しにべったりの明治政府、軍拡のため弱者に犠牲を強いる明治政府・・・そんな体制に反旗を翻した秩父事件は、監督の語る通り映画にする価値は充分にあろう。しかしこの程度の内容では一般大衆の心に秩父事件の重要さを刻み付けるにはいたらないだろう。
神山征二郎だから映画化した、まことに彼らしい作品であることはわかるのだが、この物語には80年代角川映画のようななりふりかまわぬ娯楽志向こそ必要不可欠だったのだ。
神山征二郎という作家は実は結構好き。何のひねりもないNHK的演出をする男とずっと思っていたが、実は表面的にはそう見えても、かなりのヒネクレ作家だと思う。
「ひめゆりの塔」「月光の夏」などストレートな反戦ものを手がけたり、「大河の一滴」「宮澤賢治・その愛」「遠き落日」なんかはやっつけ仕事なのか本気でやってるのか微妙。「さくら」はかなり意欲的な作品だっただろう。「郡上一揆」は頑張った。考えてみると彼は権力に反抗する映画を多く撮る。国が「死ね」と言えば「絶対生きろ」という人たちを描き、無理だ無駄だと言われればやり遂げてしまうような人を描き、税金よこせと言われれば払いませんと言う人たち。正義っぽいがどっちかというと反骨精神のみから来てる部分の強い人たち。
体制迎合のNHKと一緒にするなんてとんでもない。しかし、人の良さと批判かわしの無難さから作品はいつもパンチに欠ける。
秩父事件を扱った本作は、神山の全作品中最もスケールのでかいもので歴史スペクタクルの体裁を整えている。モブシーンの多さ。襲撃シーンの力強さ。俳優たちの力みまくった熱い演技(かっこいいんだよね、みんな)。
募金をつのり資金をかき集めて、制作費は4億になったという。すごい執念とは思うが、反面この映画は4億程度で作れるスケールの物語ではなかった気がする。
高利貸し襲撃シーンは力が入っているが、政府側の反撃により秩父反乱軍が壊乱する辺りは適当に流している(流さざるを得なかったのだろう)。反乱が上げ潮から引き潮に移り変わる、歴史映画として重要なシナリオ転換点をセリフだけで済ましちゃうあたり、なんとも歯がゆい。
秩父反乱軍の武器は竹やりが主力。それと刀と少々の先込め式火縄銃(戦国期と大差ない)。人数も多く勢いもあり、高利貸しや地元の警官隊程度には勝てるが、元込め式のライフル銃で武装した明治政府軍にはとてもかないっこない。
絶対に負ける。反乱軍幹部たち(のインテリ系)はそんなこと百も承知だったはずだ。負けるとわかっちゃいるがそれでも闘う・・・そんな悲壮にして歴史的には意義のある闘いに挑む滅びゆく者たちの滅び様を描けば、この映画はもっと感動的になったのではないだろうか。
主要幹部が極刑に処せられたところもモノローグだけで流さず、「ブレイブハート 」のメルみたく「フリーダーム!!!!!!」と大声で叫ばせたりすればよかったのに・・・
いろいろ残念でならない。
金持ち・地主・高利貸しにべったりの明治政府、軍拡のため弱者に犠牲を強いる明治政府・・・そんな体制に反旗を翻した秩父事件は、監督の語る通り映画にする価値は充分にあろう。しかしこの程度の内容では一般大衆の心に秩父事件の重要さを刻み付けるにはいたらないだろう。
神山征二郎だから映画化した、まことに彼らしい作品であることはわかるのだが、この物語には80年代角川映画のようななりふりかまわぬ娯楽志向こそ必要不可欠だったのだ。