ブロガー&SNS映画レビュアーの10年代映画ベストテン
便乗企画_2010年代(さらにいくつもの)ベストテン_映画サントラ!
映画ベストテン企画をお楽しみの皆様。ここまで読んでいただきありがとうございます。
ここでは、映画音楽サントラの2010年代を振り返ってみたいと思います。
といいましても、ここに関しては別に多くの方の投票に基づくわけではなく、当ブログ管理人によるただの独断と偏見です。
そんなもん、企画外の普通のブログ記事で書けと思われるかもしれませんが、まあ興味のない方は、とばしてください。
次の記事→【8-01】参考資料 2010年代主要映画賞
10年代映画ベストテンTOPへ
なお、文中ややdisり気味の部分もあったりしますが、個人の感想なので読み流していただけると幸いです。
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【2010年代映画サントラベストテン】
1位 マグニフィセント・セブン (ジェームズ・ホーナー&サイモン・フラングレン)
2位 アベンジャーズ/エンドゲーム (アラン・シルベストリ)
3位 リンカーン (ジョン・ウィリアムズ)
4位 ジョーカー (ヒドゥル・グドナドッティル)
5位 セッション (ジャスティン・ハーウィッツ)
6位 グランド・ブダペスト・ホテル (アレクサンドル・デスプラ)
7位 ア・ゴースト・ストーリー (ダニエル・ハート)
8位 007 スカイフォール (トーマス・ニューマン)
9位 ヘイトフル・エイト (エンニオ・モリコーネ)
10位 スターウォーズ フォースの覚醒 (ジョン・ウィリアムズ)
ではカウントダウン形式で解説していきます!
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次点 『海獣の子供』(Music by 久石譲)
こういうことはあまり言いたくないのですが、私は久石譲さんの音楽が正直言ってあまり好きではありません。
映画観ながら、「うわ、音楽ひでーなークソうるせーなー、誰だよこんな久石譲みたいな音楽書くやつ」って思ってたらエンドロールで「音楽 久石譲」って見てズッコケることが過去に何度かありまして、『悪○』とか『○くりび○』とかですけど
でも今回は、「うわーすごいなーこの音楽。誰だろ、海外から呼んだのかな」って思ったらエンドロールで「音楽 久石譲」って見てぶったまげるという私史上初の事件だったもので、それを書き残すためにここにあげました
と、書いておきながらまだサントラ買ってませんが、必ず書います。
10位 『スターウォーズ フォースの覚醒』(Music by John Williams)
こういうことはあまり言いたくないのですが、私はJJエイブラムズの映画が正直言って全く好きではありません。スターウォーズも7と9はクソだと思ってますが、続三部作は音楽に関してだけは流石巨匠の貫禄とSW愛を感じる凄さでした。
最近のJWには珍しく新テーマもいっぱい書いたし、なんといってもフィラデルフィアまで行ってJW指揮の生演奏でレイのテーマとかレジスタンスのマーチとか聞いちゃったから!
あとテンには入れなかったけど『最後のジェダイ』サントラも素晴らしかったと付記しておきます
新テーマは少なかったのだけど、エンドロールでキャリー・フィッシャーへの献辞が表示されるのに合わせて演奏していたレイアのテーマのピアノソロに涙
9位 『ヘイトフルエイト』(Music by Ennio Morricone)
こういうことはあまり言いたくないのですが、私はクエンティンタランティーノの映画が正直言って全く好きではありません。この『ヘイトフルエイト』もその年のワーストクラスの映画でした。
しかし、タランティーノという男がエンニオ・モリコーネにアカデミー賞を与えるために遣わされたのであれば、その映画史的な重要性は認めたいと思います。
「モリコーネがオスカーホルダーになった!」は10年代サントラ10大ニュースの一つに入ります。
最近のハリウッドには珍しく長めに用意されたオープニングタイトルバックでモリコーネの音楽をじっくり堪能でき、その辺もタランティーノの巨匠への敬意を感じます
モリコーネのベストとは思えないけど、しかしモリコーネ節が炸裂しまくるサウンドトラックはやっぱり素晴らしかったです。
オスカー受賞で同じ年にフォースの覚醒でノミネートされていたジョンウィリアムズに祝福されている画は、いいもの観れたと思いました。
8位 『007スカイフォール』(Music by Thomas Newman)
やっとポジティブな発言から始めることができますが、トーマス・ニューマンという人は90年代から大好きで、映画音楽を支えてきた偉大な人です。とっくにアカデミー賞とっていていいくらいのキャリアなのに、まだ受賞歴はありません
『ショーシャンクの空に』『アメリカンビューティ』『ファインディングニモ』でも取れないんだからちょっとかわいそう
そんなトーマスニューマンの盟友サムメンデスが007を手掛けることになり、こんなネクラ監督にボンド映画が務まるのかよと不安になったものの、蓋を開けてみればボンド史上ベスト5に入るくらいの大傑作。
音楽もデビッドアーノルドでなく、トーマスニューマンと聞いて実は最初は不安だったものの、サントラも素晴らしかった。いつもの繊細なトーマスニューマンサウンドで、ボンド映画らしいパンチに欠ける感じはないでもないけど、映像と完全シンクロした職人技は流石という他なく、サントラアルバムも聴き込むほどに味の出てくる良さがありました
そして、続けて『スペクター』も担当し、ボンド映画史上3人目の複数作品での音楽担当の快挙も達成!
スピルバーグにもJWの後継者と目されてかJWが体調不良で降板した『ブリッジオブスパイ』の音楽を任されたし、相当遅咲きだけど、これからトーマスニューマンの時代が来ると思います!
ちなみにスカイフォールのスコア版サントラにはアデルの主題歌は収録されておりませんので、それ目当ての人はご注意を(私はスコア盤ディスク買って、アデルの主題歌はダウンロードして、プレイリスト「Skyfall」にまとめて聴いております。あと『ドクターノー』からのボンド音楽ベスト盤プレイリストも勝手に作って、よく聴いておりますよ!)
7位 『ア・ゴースト・ストーリー』(Music by Daniel Hart )
異様なくらいとんがったこの映画。音楽が不気味なくらいセンスいいのに、登場人物はシーツかぶったお化けって。
イケメン作曲家のダニエル・ハートさんはこの映画で初めて知りました。デビッド・ロウリー監督作品を多数手掛けているそうで、ロバートレッドフォード引退作の『さらば愛しきアウトロー』も担当しております。
クラシカルでも、ジャズでもなく、ポップでもなく、現代芸術家の個展のBGMに似合いそうな雰囲気。
なんというか音楽もイケメンなんです
アメリカ映画では珍しいタイプというか、アクション映画やヒーロー映画に向いてるとは思いませんが…って言ってもそれこそ全然向いてないヒドゥルさんがハマったりするから分かりませんが…センスいい系映画や意識高い系映画で今後重宝されそうな気がします。43才ですか。これから来る人ですね。
6位 『グランドブダペストホテル』(Music by Alexandre Desplat)
この10年で一気に巨匠化した作曲家と言えばアレクサンドル・デスプラです。
毎年のようにアカデミー賞にノミネートされ、この10年で2回受賞しました。
『アルゴ』のような音楽の目立たない映画でも作曲賞にノミネートされるあたり、この人がいかに人気があるかを示していました。この人に基本ハズレはありません。ジョン・ウィリアムズの後継者という感じがします。トーマスニューマン以上に。現代の巨匠です! (とはいえ『ゴジラ』(ギャレゴジ)の音楽は「わかってねーな!!」って思いましたけど)
もっとも58才ということで全然若手じゃないですね。
そんな売れっ子デスプラですが、初めてのアカデミー受賞となったのが、今ほど有名じゃなかった頃からの付き合いのウェス・アンダーソンの作品だったのは嬉しかったろうと思います。
だからシルベストリの初めてのオスカーはゼメキス作品であってほしいし、ダニーエルフマンならティムバートンであるべきだし、トーマスニューマンならサムメンデスであって欲しいのですよ。
私は『グランドブダペストホテル』こそ、現段階におけるデスプラの最高作だと信じています。
変な高級感はまったく醸さずに、シンプルな曲作りに徹底し、映画により深みを与えている。何より楽しそうだ。
ウィキペディアより写真
どことなくサリエリに似てる。あ、本物じゃなくてFマーリーの
5位 『セッション』(Music by Justin Hurwitz)
オリジナルスコア至上主義の私としては、既成曲メインのサントラを推すのは少し気が引けるのですが、それでも何でもこのサントラはかなり聴き込みました。
ジャスティンハーウィッツのオリジナルスコアも少しあって、それも聴かせるのだけど、なんといっても白眉は、CARAVAN終盤の怒りのハイパードラムソロのところ、何回聴いてもテンション上がる
サントラ的にも映画自体も『ラ・ラ・ランド』より全然好きです。
35才ですか。若いなー。イケメンというとちょい微妙だが才能はすごい。
4位 『ジョーカー』(Music by Hildur Guðnadóttir)
ヒドゥル・グドナドッティルと読みます。アイスランドの美人チェリストにして作曲家です。アイスランド人には名字がなく、グドナドッティルは「グドナの娘」みたいな意味です。
『ジョーカー』という映画を傑作にしたのは、まずホアキンの演技があり、次に色々な解釈可能な脚本があって、それで映像ももちろんだけど、ヒドゥルさんの素晴らしい音楽も大きく貢献していると思うのです。
あがるような曲ではないけれど、拡張高くて、それでいて掴みどころのなさがジョーカーっぽい。チェロの音がグイグイと心の中に入ってきて、触れられたくないところをまさぐられるような嫌な感じもまた素晴らしいというか、いつまでも後を引きます。
ただ電子音をブルブルさせてるだけのハンス・ジマーの音楽なんかとは違って心をえぐってくるのです。とまた余計なdisりが口を滑りましたが、ともかくヒドゥルさんのアカデミー賞受賞は当然すぎる結果だったと思います。
おや37才ですか。ダニエルさん、ジャスティン君といい若くて才能ある作曲家がグイグイくるのは嬉しいですね。
ジャスティンかダニエルと付き合えばいいのに!
3位 『リンカーン』(Music by John Williams)
若いの万歳しておきながら、3位は超巨匠。ウィリアムズクラスになると、10に2つくらい入れないと失礼です。
2010年代のウィリアムズのベストワークは絶対『リンカーン』です。
ベテランになるとメロディ作りに飽きたのか、ワンテーマ押し切りか、メロディなしのアンダースコア系でお茶を濁すことが多くなります。ウィリアムズも00年代後半はそういう傾向があったのですが、10年代になって急にまた若いときのようなメロディメーカーぶりが復活してきました。
リンカーンは全体的には偉人の偉業を称える系音楽で技術的には(若いジャスティンやヒドゥルさんのようには)とがってはいないのですが、それでもそこは巨匠です。サントラは壮大な交響詩。様々なテーマが入れ替わり立ち替わり、そして感動のうちに幕を閉じるのは神神しく感じます。それでいて音楽が浮いてない。『戦火の馬』とかちょっと乗りすぎちゃってうるさいところもあったのですが、『リンカーン』はBGMに徹しそれでいてサントラで聞いても響くのが完璧でした。
またリンカーンがイリノイ州選出の議員だからシカゴ響で演奏するなどというJWだから許されるワガママとか、巨匠というステータスを利用しまくるところも素晴らしいですね。
スピルバーグ作品もちょこちょこと休むようになった10年代ですが、2016年の指揮ぶりをみるとまだ全然元気そうなので、もうしばらくは映画音楽の真ん中に陣取っててくれそうです。
2位 『アベンジャーズ /エンドゲーム』(Music by Alan Silvestri)
そして2位もやはり巨匠…な割にフットワークが軽いシルベストリ先生です。
ヒドゥルさんの音楽がいくらしびれるカッコ良さと新しさが魅力とはいえネクラ系DCと違い、ど王道なマーベルの王道なヒーロー音楽。悪いやつ、強い、やばい、大ピンチ、からの信念と友情と愛と正義の逆転勝利を彩るクッソ王道な音楽!
2020年にもなって、これを書ける人いるか?!ウィリアムズも年老いて、ゴールドスミスもポールドゥリスも今は亡く、ジマーはそういう音楽を変えた人だし、今の世界にこんなどストレートな音楽をしかし想像を遥かに超える熱量で書ける人はシルベストリ先生しかいない。
キャプテンアメリカファーストアベンジャー から始まり、マーベル映画の要所要所を抑えながら、30代のルドウィグ・ゴランソンが『ブラックパンサー』でオスカーを手にしたのを横目で見つつ、『バックトゥザフューチャー』のころから映画音楽の最前線にいるのに未だオスカーなしのシルベストリ先生の万感の思いのこもった『エンドゲーム』サントラは、聴くだけで感動しまくりの最高の1枚!
アッセンブル!のとこの曲なんて何回聴いても心があがるよ!
こんなに魂を熱くするヒーロー映画音楽は、マジな話ジョン・ウィリアムズの『スーパーマン』以来ではなかろうか!?
「ならば私はアラン・シルベストリだ!(パチン)」
1位 『マグニフィセント・セブン』(Music by James Horner & Simon Franglen)
無駄に1人で熱くなってお贈りしております2010年代サントラベストテンの第一位は、ジェームズ・ホーナーの遺作のこれです!
この10年で一番感動したのは間違いなくこのアルバムでした!
2010年代の映画音楽界の最大のニュースは、「ジェームズ・ホーナーの急死」という悲報でした。彼は自らが操縦していた飛行機の墜落事故で帰らぬ人となりました。
私がこんなに映画音楽を好きになったきっかけはホーナーの『スタートレック2』でした。映画音楽の素晴らしさを最初に教えてくれたのはホーナーだし、さらに言えばホーナーがいなければ映画をここまで好きになることもなかったかもしれない。
愛という言葉すら陳腐に感じるほど私の人生にとってホーナーの音楽は欠かせないものでした。
『マグニフィセントセブン』は彼が最後に手がけた作品です。発表順だとこれより後になったものもあるかもしれませんが。
この作品はサイモン・フラングレンとの連名になってますが実質的にはほとんどフラングレンが書いたものと思われます。
ホーナーは仲の良かったアントワン・フークワ監督による『七人の侍』のリメイクのリメイクにとても乗り気でテーマ曲を書き始めたところでした。その時に不幸な事故にあったのです。
『マグニフィセントセブン』の音楽制作が白紙になると、奮起したのはフラングレンでした。彼は当時映画音楽の世界ではほぼ無名でしたが、長年ホーナー音楽の編曲などを手がけており、超有名な『タイタニック愛のテーマ』にも彼の名前がクレジットされています。
彼はホーナーの書き残したわずかなスコアをもとにいくつかの曲を作りスタジオで録音までしてそのデモテープでアントワン・フークワに私にやらせてください!とプレゼンを行い、そして大作映画の作曲担当として大抜擢されました。
その音楽は…こ…これは…どう聴いてもホーナーの新作としか思えないじゃねーか!フラングレン!
それは単に「ぽい」だけでなく、一音一音にの全てにホーナーの精神が染み渡っていた!
映画も面白かったのだけど、音楽の感動に忙しくて、映画は印象薄い、などというと7人に撃たれるかもしれないけど
ホーナー音楽の全てが、いいとこはもちろん悪いところも含めて完璧に再現されている。
無駄に尺八ならしまくるとことか、ホーナーお馴染みのフレーズのリユースとか、他人の曲を惜しげもなく活用するところとか(『荒野の七人』のテーマをうっすら重ねてくる、しかもホーナーっぽい尺八の音で!)
情緒的でスカッとするよりしんみりさせる盛り上げとか
何もかもホーナーが憑依したとしか思えない!
デモを聞いたアントワン・フークワも、おいおいジェームズは生きていたのか?!と言ったんじゃないでしょうか
あまりにも似過ぎていて鳥肌を超えて涙すら溢れてくる。まるで青木隆治の美空ひばりものまねを聴いているかのような。
私の青春のホーナー、あなたの意志は少なくとも1人には完全に受け継がれていました!
サントラのラスト、映画だとエンドクレジットでのみかかるエルマー・バーンスタインの『荒野の七人のテーマ』はちょっと迫力不足だったけど。ホーナーならどんな演奏したかな?
『宇宙の7人』で映画音楽のキャリアをスタートさせたホーナーの、終着点が『マグニフィセント・セブン』であり、弟子が全てを引き継いで終わるという人生もとても美しいと思います。
素晴らしい映画音楽を、ありがとうございました!ジェームズ・ホーナー!!!!
蛇足ながら前にも書いたかもしれませんが私の独断のホーナー音楽の歴代ベストテン
1.スニーカーズ
2.スタートレック2カーンの逆襲
3.エイリアン2
4.ウィロー
5.コクーン
6.ボビー・フィッシャーを探して
7.アバター
8.ロケッティア
9.今そこにある危機
10.ゴーリキーパーク
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と、そんなこんなで超絶熱くなった2010年代サントラベストテンでした
テンからこぼれましたが
『インターステラー』(Music by Hans Zimmer)
『レディプレイヤーワン』(Music by Alan Silvestri)
『ドラゴンタトゥーの女』(Music by Trent Reznor & Atticus Ross)
なども良かったです。
あと番外編として
『async』 (Music by 坂本龍一)
こちらはサントラじゃなくて2017年発売のただの教授のアルバムなのですが、コンセプトが「架空のタルコフスキー映画のサントラ」という意味のわからないもので、言われてみると『ストーカー』とかにあわないこともないような・・・
そんなこんなで、20年代もまた素晴らしい映画音楽に出会えますように
すでに最近は『フォードvsフェラーリ』(Music by Marco Beltrami & Buck Sanders)のスコア版サントラで週末のランニングはぶっ飛ばしてます!
(ALIQOUI film映評のページ 管理人しん)
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映画ベストテン企画をお楽しみの皆様。ここまで読んでいただきありがとうございます。
ここでは、映画音楽サントラの2010年代を振り返ってみたいと思います。
といいましても、ここに関しては別に多くの方の投票に基づくわけではなく、当ブログ管理人によるただの独断と偏見です。
そんなもん、企画外の普通のブログ記事で書けと思われるかもしれませんが、まあ興味のない方は、とばしてください。
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なお、文中ややdisり気味の部分もあったりしますが、個人の感想なので読み流していただけると幸いです。
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【2010年代映画サントラベストテン】
1位 マグニフィセント・セブン (ジェームズ・ホーナー&サイモン・フラングレン)
2位 アベンジャーズ/エンドゲーム (アラン・シルベストリ)
3位 リンカーン (ジョン・ウィリアムズ)
4位 ジョーカー (ヒドゥル・グドナドッティル)
5位 セッション (ジャスティン・ハーウィッツ)
6位 グランド・ブダペスト・ホテル (アレクサンドル・デスプラ)
7位 ア・ゴースト・ストーリー (ダニエル・ハート)
8位 007 スカイフォール (トーマス・ニューマン)
9位 ヘイトフル・エイト (エンニオ・モリコーネ)
10位 スターウォーズ フォースの覚醒 (ジョン・ウィリアムズ)
ではカウントダウン形式で解説していきます!
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次点 『海獣の子供』(Music by 久石譲)
こういうことはあまり言いたくないのですが、私は久石譲さんの音楽が正直言ってあまり好きではありません。
映画観ながら、「うわ、音楽ひでーなークソうるせーなー、誰だよこんな久石譲みたいな音楽書くやつ」って思ってたらエンドロールで「音楽 久石譲」って見てズッコケることが過去に何度かありまして、『悪○』とか『○くりび○』とかですけど
でも今回は、「うわーすごいなーこの音楽。誰だろ、海外から呼んだのかな」って思ったらエンドロールで「音楽 久石譲」って見てぶったまげるという私史上初の事件だったもので、それを書き残すためにここにあげました
と、書いておきながらまだサントラ買ってませんが、必ず書います。
10位 『スターウォーズ フォースの覚醒』(Music by John Williams)
こういうことはあまり言いたくないのですが、私はJJエイブラムズの映画が正直言って全く好きではありません。スターウォーズも7と9はクソだと思ってますが、続三部作は音楽に関してだけは流石巨匠の貫禄とSW愛を感じる凄さでした。
最近のJWには珍しく新テーマもいっぱい書いたし、なんといってもフィラデルフィアまで行ってJW指揮の生演奏でレイのテーマとかレジスタンスのマーチとか聞いちゃったから!
あとテンには入れなかったけど『最後のジェダイ』サントラも素晴らしかったと付記しておきます
新テーマは少なかったのだけど、エンドロールでキャリー・フィッシャーへの献辞が表示されるのに合わせて演奏していたレイアのテーマのピアノソロに涙
9位 『ヘイトフルエイト』(Music by Ennio Morricone)
こういうことはあまり言いたくないのですが、私はクエンティンタランティーノの映画が正直言って全く好きではありません。この『ヘイトフルエイト』もその年のワーストクラスの映画でした。
しかし、タランティーノという男がエンニオ・モリコーネにアカデミー賞を与えるために遣わされたのであれば、その映画史的な重要性は認めたいと思います。
「モリコーネがオスカーホルダーになった!」は10年代サントラ10大ニュースの一つに入ります。
最近のハリウッドには珍しく長めに用意されたオープニングタイトルバックでモリコーネの音楽をじっくり堪能でき、その辺もタランティーノの巨匠への敬意を感じます
モリコーネのベストとは思えないけど、しかしモリコーネ節が炸裂しまくるサウンドトラックはやっぱり素晴らしかったです。
オスカー受賞で同じ年にフォースの覚醒でノミネートされていたジョンウィリアムズに祝福されている画は、いいもの観れたと思いました。
8位 『007スカイフォール』(Music by Thomas Newman)
やっとポジティブな発言から始めることができますが、トーマス・ニューマンという人は90年代から大好きで、映画音楽を支えてきた偉大な人です。とっくにアカデミー賞とっていていいくらいのキャリアなのに、まだ受賞歴はありません
『ショーシャンクの空に』『アメリカンビューティ』『ファインディングニモ』でも取れないんだからちょっとかわいそう
そんなトーマスニューマンの盟友サムメンデスが007を手掛けることになり、こんなネクラ監督にボンド映画が務まるのかよと不安になったものの、蓋を開けてみればボンド史上ベスト5に入るくらいの大傑作。
音楽もデビッドアーノルドでなく、トーマスニューマンと聞いて実は最初は不安だったものの、サントラも素晴らしかった。いつもの繊細なトーマスニューマンサウンドで、ボンド映画らしいパンチに欠ける感じはないでもないけど、映像と完全シンクロした職人技は流石という他なく、サントラアルバムも聴き込むほどに味の出てくる良さがありました
そして、続けて『スペクター』も担当し、ボンド映画史上3人目の複数作品での音楽担当の快挙も達成!
スピルバーグにもJWの後継者と目されてかJWが体調不良で降板した『ブリッジオブスパイ』の音楽を任されたし、相当遅咲きだけど、これからトーマスニューマンの時代が来ると思います!
ちなみにスカイフォールのスコア版サントラにはアデルの主題歌は収録されておりませんので、それ目当ての人はご注意を(私はスコア盤ディスク買って、アデルの主題歌はダウンロードして、プレイリスト「Skyfall」にまとめて聴いております。あと『ドクターノー』からのボンド音楽ベスト盤プレイリストも勝手に作って、よく聴いておりますよ!)
7位 『ア・ゴースト・ストーリー』(Music by Daniel Hart )
異様なくらいとんがったこの映画。音楽が不気味なくらいセンスいいのに、登場人物はシーツかぶったお化けって。
イケメン作曲家のダニエル・ハートさんはこの映画で初めて知りました。デビッド・ロウリー監督作品を多数手掛けているそうで、ロバートレッドフォード引退作の『さらば愛しきアウトロー』も担当しております。
クラシカルでも、ジャズでもなく、ポップでもなく、現代芸術家の個展のBGMに似合いそうな雰囲気。
なんというか音楽もイケメンなんです
アメリカ映画では珍しいタイプというか、アクション映画やヒーロー映画に向いてるとは思いませんが…って言ってもそれこそ全然向いてないヒドゥルさんがハマったりするから分かりませんが…センスいい系映画や意識高い系映画で今後重宝されそうな気がします。43才ですか。これから来る人ですね。
6位 『グランドブダペストホテル』(Music by Alexandre Desplat)
この10年で一気に巨匠化した作曲家と言えばアレクサンドル・デスプラです。
毎年のようにアカデミー賞にノミネートされ、この10年で2回受賞しました。
『アルゴ』のような音楽の目立たない映画でも作曲賞にノミネートされるあたり、この人がいかに人気があるかを示していました。この人に基本ハズレはありません。ジョン・ウィリアムズの後継者という感じがします。トーマスニューマン以上に。現代の巨匠です! (とはいえ『ゴジラ』(ギャレゴジ)の音楽は「わかってねーな!!」って思いましたけど)
もっとも58才ということで全然若手じゃないですね。
そんな売れっ子デスプラですが、初めてのアカデミー受賞となったのが、今ほど有名じゃなかった頃からの付き合いのウェス・アンダーソンの作品だったのは嬉しかったろうと思います。
だからシルベストリの初めてのオスカーはゼメキス作品であってほしいし、ダニーエルフマンならティムバートンであるべきだし、トーマスニューマンならサムメンデスであって欲しいのですよ。
私は『グランドブダペストホテル』こそ、現段階におけるデスプラの最高作だと信じています。
変な高級感はまったく醸さずに、シンプルな曲作りに徹底し、映画により深みを与えている。何より楽しそうだ。
ウィキペディアより写真
どことなくサリエリに似てる。あ、本物じゃなくてFマーリーの
5位 『セッション』(Music by Justin Hurwitz)
オリジナルスコア至上主義の私としては、既成曲メインのサントラを推すのは少し気が引けるのですが、それでも何でもこのサントラはかなり聴き込みました。
ジャスティンハーウィッツのオリジナルスコアも少しあって、それも聴かせるのだけど、なんといっても白眉は、CARAVAN終盤の怒りのハイパードラムソロのところ、何回聴いてもテンション上がる
サントラ的にも映画自体も『ラ・ラ・ランド』より全然好きです。
35才ですか。若いなー。イケメンというとちょい微妙だが才能はすごい。
4位 『ジョーカー』(Music by Hildur Guðnadóttir)
ヒドゥル・グドナドッティルと読みます。アイスランドの美人チェリストにして作曲家です。アイスランド人には名字がなく、グドナドッティルは「グドナの娘」みたいな意味です。
『ジョーカー』という映画を傑作にしたのは、まずホアキンの演技があり、次に色々な解釈可能な脚本があって、それで映像ももちろんだけど、ヒドゥルさんの素晴らしい音楽も大きく貢献していると思うのです。
あがるような曲ではないけれど、拡張高くて、それでいて掴みどころのなさがジョーカーっぽい。チェロの音がグイグイと心の中に入ってきて、触れられたくないところをまさぐられるような嫌な感じもまた素晴らしいというか、いつまでも後を引きます。
ただ電子音をブルブルさせてるだけのハンス・ジマーの音楽なんかとは違って心をえぐってくるのです。とまた余計なdisりが口を滑りましたが、ともかくヒドゥルさんのアカデミー賞受賞は当然すぎる結果だったと思います。
おや37才ですか。ダニエルさん、ジャスティン君といい若くて才能ある作曲家がグイグイくるのは嬉しいですね。
ジャスティンかダニエルと付き合えばいいのに!
3位 『リンカーン』(Music by John Williams)
若いの万歳しておきながら、3位は超巨匠。ウィリアムズクラスになると、10に2つくらい入れないと失礼です。
2010年代のウィリアムズのベストワークは絶対『リンカーン』です。
ベテランになるとメロディ作りに飽きたのか、ワンテーマ押し切りか、メロディなしのアンダースコア系でお茶を濁すことが多くなります。ウィリアムズも00年代後半はそういう傾向があったのですが、10年代になって急にまた若いときのようなメロディメーカーぶりが復活してきました。
リンカーンは全体的には偉人の偉業を称える系音楽で技術的には(若いジャスティンやヒドゥルさんのようには)とがってはいないのですが、それでもそこは巨匠です。サントラは壮大な交響詩。様々なテーマが入れ替わり立ち替わり、そして感動のうちに幕を閉じるのは神神しく感じます。それでいて音楽が浮いてない。『戦火の馬』とかちょっと乗りすぎちゃってうるさいところもあったのですが、『リンカーン』はBGMに徹しそれでいてサントラで聞いても響くのが完璧でした。
またリンカーンがイリノイ州選出の議員だからシカゴ響で演奏するなどというJWだから許されるワガママとか、巨匠というステータスを利用しまくるところも素晴らしいですね。
スピルバーグ作品もちょこちょこと休むようになった10年代ですが、2016年の指揮ぶりをみるとまだ全然元気そうなので、もうしばらくは映画音楽の真ん中に陣取っててくれそうです。
2位 『アベンジャーズ /エンドゲーム』(Music by Alan Silvestri)
そして2位もやはり巨匠…な割にフットワークが軽いシルベストリ先生です。
ヒドゥルさんの音楽がいくらしびれるカッコ良さと新しさが魅力とはいえネクラ系DCと違い、ど王道なマーベルの王道なヒーロー音楽。悪いやつ、強い、やばい、大ピンチ、からの信念と友情と愛と正義の逆転勝利を彩るクッソ王道な音楽!
2020年にもなって、これを書ける人いるか?!ウィリアムズも年老いて、ゴールドスミスもポールドゥリスも今は亡く、ジマーはそういう音楽を変えた人だし、今の世界にこんなどストレートな音楽をしかし想像を遥かに超える熱量で書ける人はシルベストリ先生しかいない。
キャプテンアメリカファーストアベンジャー から始まり、マーベル映画の要所要所を抑えながら、30代のルドウィグ・ゴランソンが『ブラックパンサー』でオスカーを手にしたのを横目で見つつ、『バックトゥザフューチャー』のころから映画音楽の最前線にいるのに未だオスカーなしのシルベストリ先生の万感の思いのこもった『エンドゲーム』サントラは、聴くだけで感動しまくりの最高の1枚!
アッセンブル!のとこの曲なんて何回聴いても心があがるよ!
こんなに魂を熱くするヒーロー映画音楽は、マジな話ジョン・ウィリアムズの『スーパーマン』以来ではなかろうか!?
「ならば私はアラン・シルベストリだ!(パチン)」
1位 『マグニフィセント・セブン』(Music by James Horner & Simon Franglen)
無駄に1人で熱くなってお贈りしております2010年代サントラベストテンの第一位は、ジェームズ・ホーナーの遺作のこれです!
この10年で一番感動したのは間違いなくこのアルバムでした!
2010年代の映画音楽界の最大のニュースは、「ジェームズ・ホーナーの急死」という悲報でした。彼は自らが操縦していた飛行機の墜落事故で帰らぬ人となりました。
私がこんなに映画音楽を好きになったきっかけはホーナーの『スタートレック2』でした。映画音楽の素晴らしさを最初に教えてくれたのはホーナーだし、さらに言えばホーナーがいなければ映画をここまで好きになることもなかったかもしれない。
愛という言葉すら陳腐に感じるほど私の人生にとってホーナーの音楽は欠かせないものでした。
『マグニフィセントセブン』は彼が最後に手がけた作品です。発表順だとこれより後になったものもあるかもしれませんが。
この作品はサイモン・フラングレンとの連名になってますが実質的にはほとんどフラングレンが書いたものと思われます。
ホーナーは仲の良かったアントワン・フークワ監督による『七人の侍』のリメイクのリメイクにとても乗り気でテーマ曲を書き始めたところでした。その時に不幸な事故にあったのです。
『マグニフィセントセブン』の音楽制作が白紙になると、奮起したのはフラングレンでした。彼は当時映画音楽の世界ではほぼ無名でしたが、長年ホーナー音楽の編曲などを手がけており、超有名な『タイタニック愛のテーマ』にも彼の名前がクレジットされています。
彼はホーナーの書き残したわずかなスコアをもとにいくつかの曲を作りスタジオで録音までしてそのデモテープでアントワン・フークワに私にやらせてください!とプレゼンを行い、そして大作映画の作曲担当として大抜擢されました。
その音楽は…こ…これは…どう聴いてもホーナーの新作としか思えないじゃねーか!フラングレン!
それは単に「ぽい」だけでなく、一音一音にの全てにホーナーの精神が染み渡っていた!
映画も面白かったのだけど、音楽の感動に忙しくて、映画は印象薄い、などというと7人に撃たれるかもしれないけど
ホーナー音楽の全てが、いいとこはもちろん悪いところも含めて完璧に再現されている。
無駄に尺八ならしまくるとことか、ホーナーお馴染みのフレーズのリユースとか、他人の曲を惜しげもなく活用するところとか(『荒野の七人』のテーマをうっすら重ねてくる、しかもホーナーっぽい尺八の音で!)
情緒的でスカッとするよりしんみりさせる盛り上げとか
何もかもホーナーが憑依したとしか思えない!
デモを聞いたアントワン・フークワも、おいおいジェームズは生きていたのか?!と言ったんじゃないでしょうか
あまりにも似過ぎていて鳥肌を超えて涙すら溢れてくる。まるで青木隆治の美空ひばりものまねを聴いているかのような。
私の青春のホーナー、あなたの意志は少なくとも1人には完全に受け継がれていました!
サントラのラスト、映画だとエンドクレジットでのみかかるエルマー・バーンスタインの『荒野の七人のテーマ』はちょっと迫力不足だったけど。ホーナーならどんな演奏したかな?
『宇宙の7人』で映画音楽のキャリアをスタートさせたホーナーの、終着点が『マグニフィセント・セブン』であり、弟子が全てを引き継いで終わるという人生もとても美しいと思います。
素晴らしい映画音楽を、ありがとうございました!ジェームズ・ホーナー!!!!
蛇足ながら前にも書いたかもしれませんが私の独断のホーナー音楽の歴代ベストテン
1.スニーカーズ
2.スタートレック2カーンの逆襲
3.エイリアン2
4.ウィロー
5.コクーン
6.ボビー・フィッシャーを探して
7.アバター
8.ロケッティア
9.今そこにある危機
10.ゴーリキーパーク
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と、そんなこんなで超絶熱くなった2010年代サントラベストテンでした
テンからこぼれましたが
『インターステラー』(Music by Hans Zimmer)
『レディプレイヤーワン』(Music by Alan Silvestri)
『ドラゴンタトゥーの女』(Music by Trent Reznor & Atticus Ross)
なども良かったです。
あと番外編として
『async』 (Music by 坂本龍一)
こちらはサントラじゃなくて2017年発売のただの教授のアルバムなのですが、コンセプトが「架空のタルコフスキー映画のサントラ」という意味のわからないもので、言われてみると『ストーカー』とかにあわないこともないような・・・
そんなこんなで、20年代もまた素晴らしい映画音楽に出会えますように
すでに最近は『フォードvsフェラーリ』(Music by Marco Beltrami & Buck Sanders)のスコア版サントラで週末のランニングはぶっ飛ばしてます!
(ALIQOUI film映評のページ 管理人しん)
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