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映画ブロガーら有志23名による「10年代映画ベストテン」発表!

スコット・ピルグリムVS.邪悪な元カレ軍団 【監督:エドガー・ライト】

2012-03-19 21:31:54 | 映評 2011~2012
個人的評価: ■■■■■■
[6段階評価 最高:■■■■■■、最悪:■□□□□□]


2011年のゴールデンウィークに東京に登山グッズを買いに行った時、ついでに観た映画。
その日は公開初日だった。しかし渋谷の映画館の客の入りはあまり良くなかった。
初日だったのが幸いしてか、今は休刊(廃刊?)となった「ぴあ」の出口調査隊に感想と満足度のインタビューを受けた。そのインタビューはぴあに掲載された。ここに転記する
「100点・・底抜けに面白い!予測出来ない展開と、いけてない主人公やイケメン元カレたちなどキャスティングもいい。ゲームをしているようなノリで、ゲームオタクだった学生のころの気持ちを思い出した」

この時はすごく嬉しかったのだが、その後まもなくして「ぴあ」が無くなるとは思いも寄らなかった・・・

というわけで、この映画は私のツボにはまった。めちゃめちゃ面白く、DVDも買ったし原作の漫画も買ったし、2011年の私のベストワンムービーに認定した。
しかし世間の評価は芳しくなく、「キネマ旬報」ベストテンでは投票した人が一人もいないし、「映画秘宝」ではベストランキングで20位と渋い結果に。しかも同誌のワーストランキングでは6位になっている。
毎年比較的に批評系映画雑誌のベストと親和性の高いと思ってる私のベストだが、この作品に限っては全くずズレた。でもそれがかえってこの作品への愛を強くする。マイノリティな映画ファンであることって、俺だけがこの作品の良さを知ってるって思うのは嫌いじゃない。
ちなみに世間的にはあまり評価されてないが、個人的にはすごく愛している作品をなんとなく列挙してみる
「山猫は眠らない」(ルイス・ロッサ)
「ナイト・アンド・ザ・シティ」(アーウィン・ウィンクラー)
「フラワーズ・オブ・上海」(ホウ・シャオシェン)
「シャンドライの恋」(ベルナルド・ベルトルッチ)
「贅沢な骨」(行定勲)
「闇打つ心臓」(長崎俊一)
「XX エクスクロス~魔境伝説~」(深作健太)
どれもヒットしたわけでも賞をとったわけでもなく、失敗作扱いされたりする作品だが、私個人はとても愛している。
そんな私の宝箱にひっそりしまわれるような映画にまた一つめぐりあえたわけだ。

ともかく「スコット・ピルグリム」だ
冒頭ユニバーサル映画のテーマ(多分ジェリー・ゴールドスミス作曲)が、ファミコン、MSX、セガ(SG-1000II~マーク3)世代に懐かしいPSG音源(昔のゲームのピコピコ音。ドラムの音はノイズ音を利用して表現していた)で奏でられた瞬間にもう心を鷲掴みにされた気分。
ロックバンドのベーシストだがゲームオタクで女にもてるけど自己中で嫌われそうで顔は微妙というキャラの主人公。イケてない要素とイケてる要素がごちゃまぜでバランスとれずに喧嘩してるような設定がよい。
しかもバトルシーンになると超絶技を繰り出しジャンプ漫画にも負けない超人バトルに発展する。強いと言えば強いキャラである。彼は基本的には人の助けを借りず自分自身の力と機転で敵に勝つ。強くて音楽やってて、恋愛遍歴もそこそこあるが、性格ブスな憎める男が、様々な敵と戦いながらレベルアップを繰り返し、性格がよくなっていく・・・そんな一風変わったロール・プレイングゲーム感覚で見ていられる、バトルアクションラブコメアドベンチャー映画なのだ。
原作よりもゲーム愛はより強く描かれており、パックマンのような古典ゲームから、最近のゲームまで主にジャパンのビデオゲームへの愛とオマージュがぎっしり。
何気に空中に現れた「1UP」アイテムが後に伏線とするなど物語にも隙が無い。
スコットと対決する7人の元カレ軍団はどれも個性的で、しかも強い。
インド人のマシューが、マサラガールズたちと踊りながら火の玉攻撃を始めたシーン(原作には無い)のインパクトは生涯忘れないだろう。
そして主役とライバルのバトルだけでなく、ワンパターンになりかけたところでヒロインのバトルを盛り込んでくるのは、少年漫画の定番かつ王道パターン。
一度は敗れた相手に、必殺アイテムでパワーアップしてリベンジする展開に燃えなきゃどこで燃える。
そんな夢のようなハイテンションで、ゲームで漫画の2時間強。素晴らしい体験だった。

監督のエドガー・ライトは、「ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!」という超傑作アクションコメディを撮ったイギリスの気鋭の監督。
「ホット・ファズ」と「スコット・ピルグリム」の二作で私の「新作は絶対チェックしたい注目監督」に認定。ちなみに私の同じ注目監督は他にクリント・イーストウッド、スティーブン・スピルバーグ、トニー・スコット、デビッド・フィンチャー、ペドロ・アルモドバル。そんな錚々たる面子の中に堂々仲間入りさせた。
そういえばスピルバーグの「タンタンの冒険」でエドガー・ライトが脚本としてクレジットされていた。夢のコラボ!!と思ったが「タンタンの冒険」はつまらなかった。

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ブロガーによる00年代(2000~2009)の映画ベストテン
↑この度、「ブロガーによる00年代(2000~2009)の映画ベストテン」を選出しました。映画好きブロガーを中心とした37名による選出になります。どうぞ00年代の名作・傑作・人気作・問題作の数々を振り返っていってください
この企画が講談社のセオリームックシリーズ「映画のセオリー」という雑誌に掲載されました。2010年12月15日発行。880円


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