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映画ブロガーら有志23名による「10年代映画ベストテン」発表!

アカデミー賞特集・一人反省会~受賞結果ふりかえり

2022-03-31 01:27:00 | 映画賞
ご存じの通りのことと思いますが、アカデミー賞が発表され、今年もまた「例年にない」結果となりました。私の予想は、いっぱい外しました。これは例年通り?
もう過去の受賞やノミネートデータを基にした受賞予想など意味がないのかもしれません。が、それでも来年の予想に向けて振り返りをしてみたいと思います。
もう結果がどうのより、ウィル・スミスのビンタしか印象に残ってない感じなんですが‥‥

受賞結果
作品賞___コーダ あいのうた
監督賞___パワーオブザドッグ
脚本賞___ベルファスト
脚色賞___コーダあいのうた

主演女優__ジェシカ・チャスティン(タミーフェイの瞳)
主演男優__ウィル・スミス(ドリームプラン)
助演女優__アリアナ・デボーズ(ウエストサイドストーリー)
助演男優__トロイ・コッツァー(コーダあいのうた)

国際長編__ドライブマイカー
長編ドキュ_サマーオブソウル
長編アニメ_ミラベルと魔法だらけの家

撮影賞___デューン
美術賞___デューン
衣装賞___クルエラ
編集賞___デューン
作曲賞___デューン
歌曲賞___007 ノー・タイム・トゥ・ダイ
音響賞___デューン
視覚効果__デューン
メイク___タミーフェイの瞳



作品賞候補作と重要部門のノミネート状況をおさらい
|作品賞候補作___|監督|脚本|編集|演技|
|〇ベルファスト___|〇_|◎_|X_|〇_|
|◎コーダ______|X_|◎_|X_|◎_|
|〇ドントルックアップ|X_|〇_|〇_|X_|
|〇ドライブマイカー_|〇_|〇_|X_|X_|
|〇デューン_____|X_|〇_|◎_|X_|
|〇ドリームプラン__|X_|〇_|〇_|◎_|
|〇リコリスピザ___|〇_|〇_|X_|X_|
|〇ナイトメアアリー_|X_|X_|X_|X_|
|〇パワーオブザドッグ|◎_|〇_|〇_|〇_|
|〇ウェストサイドストーリー__|〇_|X_|X_|◎_|

-------------------
私の予想
作品賞___✕パワーオブザドッグ
監督賞___◎パワーオブザドッグ
脚本賞___◎ベルファスト
脚色賞___◎コーダあいのうた

主演女優__◎ジェシカ・チャスティン(タミーフェイの瞳)
主演男優__◎ウィル・スミス(ドリームプラン)
助演女優__◎アリアナ・デボーズ(ウエストサイドストーリー)
助演男優__◎トロイ・コッツァー(コーダあいのうた)

国際長編__◎ドライブマイカー
長編ドキュ_✕フリー
長編アニメ_◎ミラベルと魔法だらけの家

撮影賞___✕パワーオブザドッグ
美術賞___◎デューン
衣装賞___✕ウエストサイドストーリー
編集賞___✕チック、チック…ブーン!
作曲賞___✕パワーオブザドッグ
歌曲賞___✕ミラベルと魔法だらけの家
音響賞___◎デューン
視覚効果__✕スパイダーマン:ノーウェイホーム
メイク___✕クルエラ


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20部門中11部門的中…かろうじて50%超えました…てへぺろ

今回作品賞をとった「コーダあいのうた」ですが、監督賞にノミネートされないばかりか、42年間で2度しかなかった「編集賞にノミネートされずに作品賞を受賞する」という極めて珍しいケースとなりました。
作品賞と監督賞の「ねじれ受賞」は、この10年で6回目。しかもうち3回は監督賞にノミネートされない作品が作品賞をとったことになります(他の2回は「アルゴ」「グリーンブック」)。作品賞と監督賞は一致するもの…などという考えは完全に過去のものとなりました。
一方で、作品賞と脚本部門の一致率はさらに上がりました。2000年以降の23回中17回で一致しています。その期間で言えば脚本部門にノミネートされずに作品賞をとったケースは0回です。
来年の作品賞受賞予想では監督賞も編集賞も一旦置いといて、脚本部門が第一優先で考慮すべき部門であると言ってよいでしょう。

一方で監督賞を受賞した「パワー・オブ・ザ・ドッグ」ですが、これが監督賞1部門だけでの受賞という、これまた極めて珍しいケースとなりました。こういうケースはよっぽど昔、第二次大戦前とかそれくらい遡らないと出てこないケースだと思います。
結果として「パワー・オブ・ザ・ドッグ」は「コーダ」または「デューン」との直接対決にすべて敗れた形となります。何しろ監督賞は「コーダ」と「デューン」がノミネートされていなかったのですから。

しかししかし、女性監督作品という観点で見ると「コーダ」のシアン・ヘダー監督も女性なわけで2年連続で女性監督による作品が作品賞を取りました。
そして2年連続で女性監督が監督賞を受賞しました。
そして「コーダ」は女性主人公の映画です。女性主人公の映画の作品賞受賞は1980年以降前回まで11回しかありませんでした。この5年で3度目の女性映画の作品賞受賞となりました。
こういうところに、アカデミー賞の変革が効き始めたことを感じます。

その他部門ごとに雑感です

【作品賞と監督賞】
「コーダ」が「パワーオブザドッグ」に勝ったが監督賞は「パワーオブザドッグ」がとった。これの意味するところは、作品賞と監督賞の嗜好が全然違うのかもしれないということです。
作家性とか作家主義とかは作品賞に関しては求められていない…ような気がします。
「コーダ」は作家性で観る映画とは思えず、誰もが楽しめる最大公約数的な映画だと思いました。今後のシアン・ヘダー監督の活躍次第では「コーダ」を作家性の文脈で再評価できるかもしれませんが。
そうなると、アカデミー会員を増やして多様性を持たせたことでカンヌなどと作品がかぶるようになった…と言われていましたが、ちょっと違うのかもしれません。
とにかくアカデミー賞が作品の評価=監督の評価ではなくなったのは確かだと思います。監督部門は、撮影や作曲や美術なんかと同じ映画における技術部門の一つとみなされているのかもしれません

【脚本】
ケネス・ブラナーがオリジナル脚本賞を受賞で、彼の初オスカーになります。名優で名監督と言われてきた彼が脚本でやっと初受賞です。ずっと好きな人だったのでうれしいです。最近の彼のポアロはどうかと思いますが。

【演技部門】
もうね、なんかね、暴力はダメだよ、とどうしてもそんなこと思ってしまいます。
クリスロックだって言葉の暴力じゃないかと言う向きもあります。それはそうです。あれもダメです。でもそれとこれとは別々に論じるべき問題です。
助演男優賞を受賞したトロイ・コッツァーさんの手話のスピーチはとても感動的な瞬間でした。ジェシカさんもアリアナさんも素敵でした。

【長編ドキュメンタリー】
いやもう暴力はダメだよ…以下略

【国際長編】
濱口監督おめでとうございます。ここだけは落とせない、たのむぅぅぅっと一番固唾をのんだ瞬間でした。

【撮影・編集など】
デューンとりすぎ問題
まず撮影はさ、だって映ってるもの大体CGでしょ。撮影は映画のルックを決めるとても芸術的かつ職人的な仕事だと思うのだけどデューンのルックにおいてカメラの果たした役割ってどれほどのものなんでしょ。
編集も、私は「チック、チック…ブーン!」がとるべきだったと思います。編集によって面白くなっていた映画なんだし。一方でデューンはどうですか。あのテンポの悪さで編集賞って…

【作曲】
ここも「デューン」ですが。映画音楽の巨匠に君臨し続けたハンス・ジマーが意外にもやっと二度目の受賞となったわけで、ジマーのことは嫌いじゃないのでこの受賞はいいのですが、グラディエーターやインセプションやインターステラーの方がいい仕事だったと思うなあ。まあ受賞は時の運もあることなのでいいんですが。でも90年代のとにかくかっこいいジマーを知っていると最近の雰囲気音楽だけのジマーはちょっともの足りなさを感じます。といってもハリウッドの映画音楽をジョン・ウィリアムズ型のロマン派というかライトモティーフ型のアプローチから、重々しい雰囲気をだす技巧的にはミニマルな方向にもっていったのはジマーなのです。彼が現在の主流の映画音楽を作ったのです。
まあちょっとオスカー記念でサントラ買ってじっくり聞きこんでみようと思います。

【主題歌】
予想は外しましたが、ビリー・アイリッシュ好きだし、ノータイムトゥダイも好きな曲だからうれしいです。そう、実はこの曲も本編のスコア担当でもあったハンス・ジマーがアレンジャーをつとめ、劇中でもこの歌のメロディをうっすらのせたりしていい効果を出していたのでした。

【その他】
今回いくつかの部門を事前収録してビデオで流すということをやった式でしたが、やっぱりああいうのは味気ないなと思いました。
そして007シリーズ60周年とかいって、シリーズの名シーンを流す的なコーナーあったのですが…どうせビリー・アイリッシュのステージあるんだからその時一緒にやれば時間短縮になったのに。そういうことで時間使うなら、1部門でも多くライブで授賞式しろよって思いました。

今回もう一つ、ゴッドファーザー50周年とかで、コッポラとパチーノとデニーロが出てきましたかが、これだってあの三人にプレゼンターさせるとかすればよかったのに…と思いましたが、そんなことよりコッポラの口から一作目のプロデューサーであるロバート・エヴァンズへの賛辞が出てきたのにちょいと驚きました。
エヴァンズの自伝「くたばれハリウッド」でコッポラをディスりまくっていたというか、コッポラとかなりもめたことが書かれていましたので。その本によるとコッポラはゴッドファーザーを2時間の映画にしたかったのに、エヴァンズが編集作業を指揮して(コッポラは締め出して)3時間にしたそうです。
その後も「コットンクラブ」をコッポラに企画をとり上げられて作品はめちゃめちゃにされたとか、恨みつらみいっぱい書いてました。エヴァンズは2019年に亡くなってるので、今はコッポラにとってもいい思い出なのかもしれません。

今回、総合司会を立てたのはいいですが、正直司会の三人はあんま面白くなかったです。総合司会というわりにあまり出てこないし、出演者いじりはするけど、映画愛を感じませんでした。今思い返せばビリー・クリスタルの司会って素晴らしかったな…

おまけにウィル・スミス事件ですから、来年はリスクヘッジのため全部門事前収録にするなんてことになりかねない。
つくづく、暴力はダメ!絶対! って思いました。

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そんな感じでございます
果たして、来年のアカデミー賞ではどんな前代未聞が起こるでしょうね!
それではまた!
素晴らしい映画でお会いしましょう!!
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