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中国に「よくない印象を持つ」と答えた人はドイツで71%フランスで70%に達した。 

2024年11月20日 20時27分27秒 | 全般
先月発表の世論調査では中国に「よくない印象を持つ」と答えた人はドイツで71%フランスで70%に達した。 
2020年11月22日

以下は昨日の産経新聞からである。
三井美奈 パリ支局長
*彼女は現役の女性記者としては希少な本物のジャーナリストである*
EUの対中政策 再考の時
欧州結束、米新政権の「求心力」カギ
米国の政権交代を前に、中国の動きが活発だ。
日中韓など15ヵ国が15日、地域的な包括的経済連携(RCEP)の協定に署名したニュースは、欧州でも「バイデン氏が中国と対峙する初の関門」(仏紙 ルモンド社説)と強い関心を集めた。 
習近平国家主席は、これに先立つ12日、フランスが主催する国際会議「パリ平和フォーラム」にオンライン出席した。
「多国間主義を守り、一国主義に対抗せねばならない」と米国へのライバル心をむき出しにした。
地球温暖化や新型コロナウイルスヘの対策など、欧州で関心が高い問題をあげて、「一緒にやろう」と呼びかけた。
ほんの少し前なら、習氏の熱弁はもっと注目されたかもしれない。
だが、新型コロナの「第2波」にあえぐ欧州で、中国に対する視線は冷ややかだ。
今春の第1波襲来峙、中国は医療品を欧州に送り、「中国への感謝」を強要した。
中国批判を封じ込めるような、高圧的な世論工作は反感を招いた。
先月発表の世論調査では中国に「よくない印象を持つ」と答えた人はドイツで71%フランスで70%に達した。  
中国の焦り  
EUは、トランプ米政権の中国たたきとは一線を画した。
中国を「競争相手」と位置付けながら、協力の道を探った。  
トランプ政権は温暖化対策「パリ協定」やイラン核合意を一方的に離脱し、EUを貿易の「敵」と位置付けた。
EUは大きな衝撃を受け、中国を頼りにせざるを得なくなった。
そこへ、パリ協定復帰を公約に掲げたバイデン氏が現れ、多国間主義を掲げた。
習氏が慌てるのも当然だろう。 
一方で、EU経済にとって中国市場は欠かせない。
独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は新車販売の4割を中国に頼る、フランスのブランド産業でも、中国は大事な顧客。
経済規模の小さい東欧諸国は、中国の気前のよいインフラ投資を歓迎する。 
メルケル独首相は2005年の就任以来、12回中国を訪問した。
日本は6回だから、思い入れの強さは明らかだ。
昨秋の北京訪問は、香港で民主化デモが高まるさなかだった。
メルケル氏は記者会見で 「暴力はよくない。対話による政治解決を」と述べるにとどめ、中国批判を避けた。
対中関係への配慮から、新彊ウイグル自治区の人権侵害で米国が制裁をかけても、EUは及び腰だった。 
技術力競合 
ところが、経済でも中国への懐疑論が強まっている。
中国は市場開放に動くどころか、国内企業を保護し、技術力で欧州と競合するようになったからだ。 
04年以降、中国の高速鉄道事業に参入した独シーメンスや仏アルストムは、中国側への技術移転を迫られた。
中国は欧州の技術を吸収し、国産化を進めた。
15年に発足した国営企業「中国中車」は世界最大の鉄道車両メーカーとなり、いまでは中国の国内案件をほぼ独占する。 
EUは「中国第一」の商慣行、閉鎖市場を何とか改善しようと、中国との投資協定締結を目指した。
交渉は7年に及ぶのに、中国は全く譲歩しない。
それどころか、事態は悪化している。
北京にある欧州商工会議所は今年の報告書で、「公共入札では外資規制が強まった。欧州企業に商機があるのは、地元企業と技術競合しない分野だけ」と指摘した。
欧州が先行した環境関連技術でも、中国は猛追した。
人工知能(AI)やデジタル産業では、欧州を凌駕する。
欧中の力関係は過去10年で逆転した。 
勢いを得た中国企業は、欧州インフラ市場に攻勢をかける。
スウェーデンやポルトガルの地下鉄建設入札で、次々と競り勝った。
EU企業からは「普通ではありえない低価格だ」という不満が出た。 
外交の迷い
中国への視線は厳しくなったものの、EUには確固たる対中政策がない。
EUの27加盟国中、少なくとも15ヵ国は、中国と巨大経済圏構想「一帯一路」の覚書を結んでいる。
「米国とともに中国と正面対決せよ」という国は目下皆無だ。  
ドイツ機械工業連盟(VDMA)で東アジア政策を担当するオリバー・バック氏は、「EUが中国と対等な投資協定を結べるとは、正直言って期待してはいない。欧州市場でも中国はライバル。それでも、中国市場の魅力は、とてつもなく大きい」と話す。 
こうした迷いは、外交に反映されている。
EUではフランスに続き、ドイツが9月、「インド太平洋戦略」を発表した。
ドイツの戦略は中国だけでなく、日本や東南アジア諸国とも関係を深める、という方針にとどまる。
「台湾」「香港」の文字は皆無だ。
対中警戒感が高まるインド太平洋諸国とは当然、意識のズレがある。
今月5日、オーストラリア、ドイツの両国防相がオンライン対談を行った。  
レイノルズ豪国防相は、中国の海洋進出を念頭に、「軍事力による現状変更があってはならない。将来はドイツとも国防で協力したい」と呼びかけた。
これに対し、クランプカレンバウアー独国防相は「中国は野心的な目標のため、だれかを犠牲にしてはいけない。法の支配は重要」と、原則を述べるにとどまった。
「ドイツは中国と関係が深いが、価値観は米国と共有している」と、悩ましい心情も吐露した。 
抗議や警鐘 
欧州の優柔不断な姿勢が変わるとすれば、米新政権のリーダーシップ次第だろう。
バイデン陣営の発言からは、北大西洋条約機構(NATO)やアジアの同盟国とともに、中国を封じ込めようとしていることが分かる。 
欧州側にも米国に呼応する素地ができ始めた。
中国の影響が今や庶民生活でも顕著だからだ。
欧州では、スマートフォン市場の3割を苹為技術(ファーウェイ)、小米科技(シャオミ)の中国勢が占める。 
米国は今夏、監視カメラの世界最大手、杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)を 「共産主義中国の軍事企業」と認定し、制裁対象リストに載せた。
EU本部では、同社製品が入り口警備に使われている。
ぼんやりしているうちに、EU中枢まで中国の監視技術が入り込んだ。
EU職員組合は今月、「新彊ウイグル自治区の人権侵害に加担している疑惑企業。その製品を使ってよいのか」と抗議し、個人データの保護を欧州委員会に求めた。 
EU欧州議会で中国部会代表を務めるラインハルト・ビューティコファー議員(独出身)は、「中国は国際秩序を覆し、自国中心の世界につくり変えようとしている」と警鐘を鵈らす。
中国の人権侵害だけでなく、共産党による独裁政治、経済支配への危機感が、地理的に離れた欧州でもようやく論じられるようになった。
バイデン氏の大統領就任で、同議員の「米国やほかの民主主義国と連携して立ち向かうべきだ」という訴えが、支持を伸ばすのは間違いない。


2022/11/18 in kyoto
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