座間郷総鎮守 鈴鹿明神社ブログ「社務日記」

神奈川県座間市入谷西鎮座、座間郷総鎮守 鈴鹿明神社の神事や日々の様子、神社の豆知識をお知らせ致します。

「対」の考え

2012年06月07日 | 神社知識・作法・歴史

神社によく神前の守護として狛犬(こまいぬ)が置かれているのは皆さんご存じのことと思います。この鈴鹿明神社にも本殿前に一対、鳥居前に一対狛犬が配置されています。ですがこの狛犬、よく見ると右と左で違う姿をしています。

本殿前の狛犬

向かって右側が口を開いた「阿(あ)」の像、左側が口を閉じた「吽(うん)」の像で、「あうんの呼吸」などと言う通り二体の像が一組であることを表していると言われています。しかしこれにはもっと大きな違いがあって、実は右側の像が「獅子(しし)」、左側の像が「狛犬」であるそうなのです。

大正時代建立の鳥居前の狛犬。左の像は子供を抱えています

陰陽道では獅子は「陽」を表しており、「昼」「光」「男性」「活発さ」などを意味しています。対照的に「陰」の狛犬は「夜」「影」「女性」「落ち着き」の意味があります。あまり目立たない事ですが、あらゆる点で左右に分かれた一組の存在、と言えそうです。(ちなみに獅子は中国などには実在していなかったので、狛犬と同じく架空の動物として作られています)

日本の神話には、二つで一つ、という存在が少なくありません。当社の御祭神である「伊佐那岐命」も「伊佐那美命」と共に国生みをした神ですし、二神の生んだ神々の中にも、男女一組の神や兄弟神として生まれた神が多くあります。

一つで完璧にできあがったものは無い、と言うことでしょうか。補い合う、支え合うというのは日本人の昔からの美意識であるようにも感じられます。