神社、というのは神様のお住まいとして建てられたものです。ご参拝の方は奥の神様に向かって鈴を鳴らしてお参りをし、私達神主も本殿奥の神様に向かって祝詞を上げ、お祭りを行います。
では地鎮祭や竣工式、新居のお祓いなど神社の外で行う神事ではどこに向かってお祭りをするのでしょうか。
そういった時、神道では『神籬(ひもろぎ)』を設けて神事を行います。
これはいわば仮の御神体。「籬」はあまり見かけない文字ですが一字だと「まがき」と読み、竹などを編んで作った垣根、という意味があります。「神」の「籬」で、神様の領域であることを表しています。
多くの場合は榊の大枝を用い、紙垂や麻を付けて神聖性のしるしとします。神事の最初にこの神籬に神様をお招きし、最後に神様をお送りするその間、本殿と変わらない作法でお祭りを執り行います。
今年初夏の御田植祭の様子。毎年、神籬に田の神様をお招きして行う神事です
全てにおいて“神居ますが如く”お祭りを行えと神主は教わるものですが、同じように神様もお祭りの間私達の心根を見ているものです。見られて恥ずかしくない自分を保つよう、常に心がけなければいけませんね。