神社のお祭りにおいては、神様の正面というものをとても大事にします。私達は『正中(せいちゅう)』と呼びますが、本殿奥の御神座から出口の鳥居まで、神様の正面にはみだりに入ってはいけない、とされています。
「参道の真ん中は神様が通るから歩いては駄目」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか?神事のなかでも、神主が神様の正面に立つのは祝詞を奏上するとき、玉串をお供えするときなど一部の場面に限られます。
たとえば、『屈行(くっこう)』という作法があります。この正中を横切る際には、頭を下げて屈むようにして歩く、という作法です。考えてみれば人同士でも目の前を横切るときは軽く頭を下げるものです。神事には事細かな作法がありますが、実は人同士の礼儀を基にしているのがわかります。
今年夏の例大祭の様子。神主、参列者とも正中を避けて並んでいます