今日は昨日に増して涼やかな、ただし雨の一日となりました。
いきおい社務もご来社の方の御祈祷、祭事の準備など屋内で出来ることが中心になりますが、今日はその中で近日に控えた上棟祭のための『棟札』の奉製を行いました。
「八百万(やおよろず)の神々」と言われるように、神道では全てのものに神様が宿るとされています。私達神主はそれぞれのお祭りに応じて神様に神饌や祝詞を捧げるわけですが、この棟札も建築を司る神様へ捧げるものです。
表には4柱の神様の御神名が記されています。
『屋船久久能知神(やふねくくのちのかみ)』 ・・・ 樹木、植物を司る神です。建物を建てるに際しその土地の木を無視することは出来ません。故に地鎮祭や宅神祭などでも御祭神としてお招きします。
『屋船豊受姫神(やふねとようけひめのかみ)』 ・・・ 食物を司る神で、伊勢神宮の外宮の御祭神でもあります。久久能知神と併せて“屋船神”と称されることもあります。
『手置帆負神(たおきほおいのかみ)』 ・・・ 社殿や道具の製作を司る神です。
『彦狭知神(ひこさしりのかみ)』 ・・・ 手置帆負神と並んで道具の製作を司る神です。「古事記」など神話でも登場する御神名で、初代神武天皇の宮殿を造営したのもこの2神の子孫と伝えられています。
棟札の裏面には工事に携わった方の名前や上棟祭の日時、祭事を行った神主(神社)の名前などが記されますが、すると表も裏も関わった神様・人の名前で一杯になります。
人同士の世界でもそうですが、周りのいろんな存在に支えられて一つの営みが完成する、という教えであるように思います。
棟札は屋根裏に納めます。古い御屋敷などで目にすることもあります