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夫:お~い!これから紅葉を見に行くぞ。早く支度してくれ。
妻:何よ。お昼ご飯を食べたばかりで、もう1時近くなのよ。どこまで行くつもりなの?
夫:家から約2時間くらいかかる場所。
妻:え~っ、だったら着くのは3時じゃないの。今は日没が早くなってきたから、4時半には
暗くなり始めるのよ。そんなに慌ただしいのはいやだな。
夫:それは十分承知だよ。でも、今年はまだ紅葉の名所に行っていないし、今日は快晴で
風もないから絶好のチャンスだと思うよ。
卓上のフォトスタンドの写真を入れ替えようとして、今年の紅葉の写真が無いことに気
付いたんだ。付き合ってくれないかな。
妻:私もカメラ女子の一人だし、最新のコンパクトデジカメを買ったばかりだから、写しに
行きたい気持ちはあるけど、この時間からではね~。
夫:(カメラ女子って若い女性を指すのだと思うけど・・・、まあ、聞き流しておこう。)
そうだよ、カメラ女子としてはシャッターチャンスには貪欲でなければいけないんじゃ
ないかい。お気に入りの1枚は撮影場所にいる時間の長さではなく、ピーンと閃く構図
を見つけることが大切だものね。きっと、いいシャッターチャンスが待っているよ。
妻:それじゃあ、気分転換をするつもりで付き合うわ。運転は私がするね。
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慌ただしく出かける準備をした二人は紅葉の名所として有名なお寺に向かいました。
交通事情に恵まれて3時前には目的のお寺に到着。趣きがある門のそばのイチョウと
モミジが素晴らしい色付きで、青空に映えています。階段にはイチョウの黄色い葉がじゅ
うたんのように散り落ちて、いい風情です。
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妻:今年の紅葉は少し遅いのかな?最高の色付きになるにはもう少し時間がかかるよう
ね。さてと、どのアングルで写そうかな?
夫:私は一眼レフで写すよ。カメラ女子とカメラおやじの腕比べだ。この近所には紅葉で
有名なお寺がいくつかある。だから一ヶ所のお寺にいる時間は20分ぐらいにしよう。
陽が落ちる前に何ヶ所巡ることができるかな。
妻:わかった。集中して写真を撮るから声をかけないでよ。お寺に来たんだから、まずは
お賽銭を入れて拝まなければいけないし、慌ただしい撮影会になるわね。
夫:おい、このポイントはいいぞ!モミジの葉に当たる光線の具合が最高だし、後ろにあ
る寺の屋根とのバランスも絶妙だ。この時間帯だから見られる色彩じゃないのかな。
午後に出てきてよかった。
妻:思いつきで出かけてきた言い訳にしか聞こえないけど、う~ん、いい感じね。
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二人はそれぞれがお気に入りの構図を見つけてシャッターを切りました。そしてさらに
2ヶ所のお寺を廻って、最後のお寺に到着しました。
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夫:暗くなってきたから、今日の撮影会は終わりにしよう。いい写真が撮れたかい?
妻:もう、こんな慌ただしい撮影は嫌よ。帰る前に今日の印象をひとこと言わせて。
着いた、拝んだ、写した、そして帰った。
まさにこんな感じで、お寺の風情を楽しむ余裕が全然なかったわね。
夫:朝から来ればもっとゆっくりできて、撮影のポイントをじっくりと探せたのにね。
これから、また仕事が忙しくなるので、今年の紅葉狩りはこれが最初で最後だと思
って許してくれ。
妻:はい、はい。帰ってからこの写真を整理しながら、もう一度紅葉狩りを楽しむことに
するわ。