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娘:お父さん、これは私からのバレンタインデー・プレゼントです。はい、どうぞ。
父:チョコレートかい?嬉しいな。
娘:残念でした!中身を見てよ。
父:アレッ、指先が無い手袋だ。
娘:そうよ。健康診断でメタボリックシンドロームの危険度3と認定されたお父さんに
チョコレートをプレゼントするわけにはいかないでしょ。
だから、今回は私が編んだこの手袋にしたのよ。
父:気を遣ってくれたのか、それはありがとう。実は、このあいだ、たまたま君がこの
形の手袋をしてパソコンを操作しているのを見て、「僕も欲しいな・・」と思っ
ていたんだよ。チョコレートよりもこっちのほうが嬉しいな。
娘:気に入ってくれた?実は、もうひとつプレゼントがあるのよ。
父:エッ、まだあるの?
娘:うん、これもどうぞ。
父:オッ、手編みの靴下だ。履いてみてもいいかい?
娘:もちろん、いいわよ。
父:ドッコイショ。最近は身体が硬くなって、椅子に座らないと靴下が履けないんだよ。
年はとりたくないもんだな。
娘:身体が硬くなっただけじゃなくて、お腹が出っ張ってるから履きにくいんじゃない
の?それに、年をとるのは自然の摂理。あきらめが肝心よ。
父:お母さんに似て、相変わらず辛辣だな。だけど、この靴下も手袋も僕にピッタリだ。
暖かいな~。
娘:お母さんが貯め込んでいた在庫の毛糸を使って作ったから、好みの色じゃないかも
しれないけど、使ってくれると嬉しいな。
父:もちろん使わせてもらうよ。色も悪くないしね。ありがとう。そうだ、お母さんに
見せびらかしてこよう。
娘:お母さんなら3日前から同じ形の手袋と靴下を使ってるわよ。気付かなかったの?
父:全然、気付かなかったよ。マズイな。
娘:相変わらず、お母さんのことをちゃんと見ていないのね。そんなことじゃダメよ。
「僕もお母さんと同じものをもらったよ。」とかなんとか言って、見せてくれば?
父:そうだな。それがいい、そうするよ。サンキュー!「おかあさ~ん、あのな・・」