ショートシナリオの館

ボケに抵抗するため、日常生活の中から思いつくままに書いています。月2回・月曜日の投稿を目指します。

浅草界隈の文学散歩 & 幻となった花魁道中見物

2015-04-20 08:30:38 | 日記




首都圏に住んでいる高校時代の同級生3人が喜寿を迎えたことを機会に始めた街歩き。
魅力に富んだ文学や歴史探訪の第2弾は「浅草」です。

ヒデ: 今日は「樋口一葉」と「池波正太郎」を中心に浅草の文学散歩をするよ。

ノブ: 案内役のヒデが雨男だから心配だったけど、やっぱり降っちゃったね。吉原の花
    魁(おいらん)道中が目当てだったのにナ~。

ヒデ: 雨男でゴメン。ホームページで確認したら、花魁道中は明日に順延なんだってさ。

ヤス: 仕方ないよ。でも、心配するな。明日、この近くに来る用事があるから、花魁道中
    を写真に収めてメールで送るよ。こういうこともあるさ。ドンマイ・ドンマイ。

ヒデ: それはありがたいな。せめて写真だけでも見たいから。

つくばエクスプレスの浅草駅に集合した3人は最初の訪問地「池波正太郎記念文庫」に
向かいました。

ヒデ: この台東区中央図書館の中に「池波正太郎記念文庫」があるんだ。普通は生誕
    地に記念館ができることが多いよね。でも、より多くの人に知ってもらいたいとい
    うことから、ここに決まったそうだよ。

館内には文机や愛用の遺品をはじめとして、映画の台本や多くの著作本が所蔵されて
います。「剣客商売」「鬼平犯科帳」「仕掛け人・藤枝梅安」などのお馴染みシリーズの
コーナーや自筆原稿、自筆絵画、食・映画・旅・人生に関するエッセイなど、どれもこれ
も興味深いものばかりです。

ノブ: 彼の作品は本だけでなくテレビでも親しんでいるから、どれを見ても楽しいね。

ヤス: 若い女性にも人気があるみたいだな。見学者が結構多いよ。

ヒデ: 記念品を販売しているからよかったらどうぞ。次は鷲(おおとり)神社に向かうよ。

浅草の鷲神社は「おとりさま」として江戸時代から親しまれてきました。参拝を済ませた
3人のおしゃべりも弾みます。

ヒデ: 樋口一葉の代表作「たけくらべ」でも、ここの祭礼「酉の市」の様子が記述されて
    いるんだ。だからここは外せない場所さ。

ノブ: 初めて来たけど、大きいんだね。文学からは外れるけど、あの正面にある「おでこ
    を撫でれば賢くなる」という「なでおかめ」は面白いね。ここは一葉の時代にも、
    さぞかし賑わったんだろうな。次は是非「酉の市」の日に来ようよ。

ヤス: そうだね。それがいい。

ヒデ: 次は樋口一葉記念館に行くよ。

雨の重みで垂れ下がった桜の花を愛でながら、「樋口一葉旧居跡」を確認した後、一葉記
念公園が併設されている「一葉記念館」に入りました。

ヒデ: ここには一葉の少女時代、萩の舎時代、小説家を志した頃の竜泉寺町時代、一葉
    文学が花開く本郷丸山福山町時代それぞれの資料や直筆の「草稿」「書簡」等が
    多く展示されているんだ。また、当時の竜泉寺町や駄菓子屋の模型などもあるよ。
    24歳6ヶ月という短い生涯だったけど、せめて彼女の息遣いを感じ取ってみよう
    よ。

ヤス: 生活に苦しみながら、「たけくらべ」「にごりえ」「十三夜」といった秀作をわずか1年
    半で発表したのに、若くして肺結核で死去したのが本当に惜しまれるね。

ノブ: 付け加えてもいいかな?五千円札には一葉の肖像が描かれているけど、
    A000002A番の紙幣がここにあるはずだよ。1番は日本橋の「日本銀行金融研究
    所貨幣博物館」、4番は王子駅近くの「お札と切手の博物館」にあることまでは確
    認済みだけど、3番がどこにあるのかは調べきれなかったよ。
    知っている人が居たら教えて欲しいな。

ヒデ: ノブは前回、日本銀行を担当しただけに詳しいね。さてと、次は昼ごはんだ。

3人は「フーテンの寅さん」で有名な渥美清さんをはじめ、浅草の芸人さんがよく来たとい
う「ますみ寿司」でチラシ寿司を注文。店内にある昔の写真を見ながらの昼食です。

ヒデ: 本来なら、このあと花魁道中を見学する予定だったけど、雨で順延になっちゃった
    からせめて花魁道中が行われる通りと花魁の街「吉原」の今を紹介するよ。
    その後、池波正太郎生誕碑のある「待乳山聖天(まつちやましょうでん)」に向か
    うことにする。

ノブ: 確か、この店の向かいの商店街は漫画家ちばてつやさんの「あしたのジョー」が
    活躍した山谷だよ。漫画も文学のうちだ。立ち寄ってみるべきだな。

ヤス: 「あしたのジョー」はテレビでも見たな。主題歌も良かった。僕も行きたいよ。

3人は「あしたのジョー」が活躍した「いろは商店街」を散策後、「一葉桜通り」「吉原大門」
「振り返り柳」を見て、待乳山聖天に着きました。

ヒデ: ここに「池波正太郎生誕碑」があるんだ。彼が下町生まれであることも作品の内容
    に影響を与えているのだろうね。この階段の上が待乳山聖天。歌川広重画にも描
    かれていて、心の毒を清める「大根」と財宝・商売繁盛の「巾着」が特徴的だね。
    大根を奉納する姿は浮世絵にも描かれているんだよ。

ノブ: 台東区全体で「池波正太郎」を支えているんだね。こうした応援があれば後世にも
    彼の作品はしっかりと残っていくだろうな。

ヤス: ここの庭園は綺麗だし、スカイツリーもよく見えるね。

ヒデ: 今日の文学散歩はここまでだけど、浅草寺をお参りしてから解散することにしよう
    よ。ここまでの歩数は8,000歩。前回よりは距離が短かったね。

ヤス: 案内、どうもありがとう。次回は僕が担当するよ。

ノブ: それは楽しみだ。よろしく頼むな。

ヒデ: ヤス、花魁道中の写真を必ず送ってよ。待っているからね。