<冬の食卓を支える大産地>
茨城県は白菜の生産量が全国第1位の大産地。主に冬から春にかけて生産されています。
特に、冬場の白菜の生産量は圧倒的に多く、11月から1月にかけての東京都中央卸売市
場への出荷量のシェアは9割にもなります。
茨城県内では南西に位置する八千代町が最大の白菜産地です。大正期に栽培が試みられ
るようになり、戦後、夏場のスイカと冬場の白菜を組み合わせた経営が広がり、生産は
拡大していきました。昭和41年に創設された国の指定野菜価格安定対策事業を契機にさ
らに本格的な栽培が始まり、大消費地東京にも近いことから、県内一の大産地を築くま
でになったのです。野菜価格の低迷や食の多様化などを受け、農家戸数は減少してきた
ものの、1農家当たりの栽培面積は拡大し、現在では、畑一面に白菜が広がる大規模な
農業経営が行われています。
<白菜の豆知識>
(1)白菜は、明治8年に中国から日本に伝承されました。当時は葉が巻かない品種ば
かりでしたが、名古屋市中川区にある『野崎採種場』が、品種改良により国内で
初めて結球白菜の開発に成功しました。白菜の歴史は意外に浅いのです。
(2)白菜は寒さ(霜)に弱い野菜です。寒さを乗り切るため、11月から12月にかけて、
白菜の葉先の部分をヒモで縛って、中身を凍結させないようにします。作業は単
純ですが、1個1個白菜の頭を縛っていくため、大変な作業になります。
(3)寒さ(霜)は白菜の天敵ですが、寒さから身を守るために、葉に蓄えられたでん
粉などをブドウ糖へ変化させて、体の中の水分が凍る温度(凝固点)を低下させ
ます。白菜が寒さにあたると甘みが増すと言われる理由は、この自己防衛により
糖分が増加するためです。
(4)外葉の育ち具合が球のできを左右します。甘くてみずみずしい大玉のハクサイを
採るには、外葉を大きく育てる、タイミングの合った追肥がポイントです。種ま
きから収穫までの日数は、約60日〜120日となります。
<美味しい白菜の選び方。見分けるポイントは?>
①外葉が生き生きとした緑色で、巻きがしっかりしているもの。
②重量感のあるもの。
③芯の切り口が白く、みずみずしいもの。
(黒い斑点は特に問題ない)
白菜表面に黒い斑点が現れたものがありますが、これはゴマ症と呼ばれています。
その正体はポリフェノールで、気温が高かったり低かったり、肥料が多すぎたりな
どの栽培環境のストレスによって生じるものです。食べても全く害はなく、また食
用にも特に問題はありません。
<白菜の栄養素>
西洋のキャベツに対して、東洋を代表する葉菜である白菜は成分的にはやはりキャ
ベツと似ています。水分が95~96%ですが、色々な栄養素が微量ながらまんべんな
く含まれています。ビタミンC やミネラルであるカルシウム、カリウム、マグネシ
ウム他にアブラナ科(大根、かぶなど)の辛味成分であるイソチオシアネートなど
も含まれています。一般的には、塩を多量に使う漬けものは血圧が上がるとされて
いますが、白菜漬けの場合には、白菜に含まれるカリウムがナトリウムを排泄して、
塩分を過剰にとるリスクを軽減させます。イソチオシアネートは、がんや動脈硬化
を予防するといわれています。
<白菜は生で食べられる>
生だとシャキシャキ感をより楽しめるうえ、白菜本来の甘味を存分に味わう事ができ
ます。特に冬の寒い時期に栽培された白菜は甘味が増しており「果物のような甘さ」
が楽しめます。白菜には沢山のビタミンCが含まれています。ビタミンCは加熱調理
すると、含有量が減少してしまいますが、生だとしっかりと摂取する事ができます。
<食べきりサイズのかわいいベビー白菜>
お一人様用の使いきりサイズのベビー白菜というのがあります。片手で持てるくらい
の小さな白菜です。地元のスーパーで見かけたことがあります。白菜の品種の中では
一番病害虫にかかりやすく、繊細で栽培に手間がかかりますが、通常の白菜に比べて
繊維質が細かく、青臭さや筋っぽさや、味にクセが無いため、サラダなど生食はもち
ろん、鍋料理、炒め物、漬物、和洋中どんな料理にも合いオススメです。まずは火を
通さず生で食して甘みを感じてみて下さい。もちろん火を通しても美味です。
是非ご賞味下さい。
<八千代町の新名物「白菜キムチ鍋」>
「必ず八千代町産白菜と県内産豚肉をたっぷり使用すること」を条件とした「白菜キ
ムチ鍋」を町内の19店舗の飲食店で提供されています。具材や味付けをそれぞれ工夫
し、オリジナルの「白菜キムチ鍋」を提供しています。白菜のキャラクター「八菜丸」
(はなまる)のイラストが入ったのぼり旗が目印です。白菜を使った料理は、鍋だけ
ではありません。町内のお肉屋さんで販売されている、白菜を使ったメンチカツや八
千代産の白菜を使った「八千代ラーメン」などがあります。 八千代町が自慢する白菜
料理の数々を現地で堪能してみませんか。