ショートシナリオの館

ボケに抵抗するため、日常生活の中から思いつくままに書いています。月2回・月曜日の投稿を目指します。

茨城味自慢:昔ながらの原木栽培にこだわった「生シイタケ」

2023-01-23 07:23:58 | 日記

茨城県内各地で「原木シイタケ」の栽培が行われています。肉厚で歯ごたえがよく、香りや

風味が豊かで、栄養もたっぷりです。皆さんはシイタケの旬は秋と思われていませんか。

実は栽培技術の向上で夏季を除く通年で収穫され、店頭で並んでいます。但し、この店頭で

見られるのは、ほぼ菌床栽培のシイタケで、オガクズや化学肥料を固めた人工的なブロック

で育てています。他方、店頭で見かける機会はほとんどありませんが、その名の通り、原木

から生えてくるシイタケを収穫する原木シイタケがあります。生産効率の差から、生産量の

比較では菌床のシイタケが10に対して原木のシイタケは1というのが現状ですから、原木

シイタケは店頭で見つけるのが難しいのです。更に、原木栽培のシイタケは「乾しシイタケ」

としても加工され、商品化されていますから、ますます原木栽培の生シイタケを店頭で見る

ことが難しい存在となっています。茨城県はこの原木栽培の生シイタケづくりでは、全国で

5位、そして関東では群馬県に次ぐ2位の生産地です。今回は昔ながらの原木栽培にこだわ

った茨城県の「原木栽培の生シイタケ」を紹介します。

 

<国別キノコ生産量ランキング・・・日本は2位>(2020年度)

1位は中国(4000万t)で断トツ、2位日本(47万t)、3位アメリカ(37万t)で中国が世界の

93%をほぼ菌床栽培で生産しています。尚、日本のキノコは海外でも販売されており、

「Shimeji(シメジ)」「Eringi(エリンギ)」「Enoki(エノキ)」「Shitake(シイタケ)」

などの名前で販売されています。

 

<都道府県別生産量ランキング>

シイタケ栽培には「菌床栽培」と「原木栽培」の2種類。そして、それぞれの栽培方法で、

「乾シイタケ」と「生シイタケ」が生産されています。このため、県別に得意分野があると

いう特徴があります。

総シイタケ生産量では菌床栽培の生シイタケが圧倒しています。そして、原木栽培のシイタケ

はほとんど乾シイタケの生産に特化しています。ここで紹介する原木栽培の生シイタケがいか

に貴重なのかがわかりますね。更に、原木栽培生シイタケ生産量はここ10年連続して下降して

おり、今では半減しています。今後、ますます貴重性が高まってきます。関東圏では群馬県と

茨城県が5位以内にランクインしていますが、他の都県は10位以内にはありません。原木栽培

の生シイタケは集中発生して日持ちしないので、大半が乾シイタケとして流通しているのです。

一方、生シイタケでは同じ形、同じ大きさでそろえて栽培しやすいので、菌床栽培シイタケで

の生産が圧倒しており、生シイタケとして流通しているのです。

 

<原木シイタケ栽培の歴史>

日本書紀、今昔物語などにも登場していたとされるシイタケは、日本人の食文化と密接につな

がって おり、現在でも生産量・消費量が5位のキノコです。

(1) 古くは鎌倉時代の記録(1223 年)に、中国に向けて乾燥シイタケを 輸出したことが残されて

  います。

(2) 室町時代・安土桃山時代には茶会の席(1592 年)でシイタ ケ料理を出した献立なども残され

  ています。

(3) 江戸時代になると市場性をもつようになり 流通量も増えてきたとされていますが、この時

  代 までのものは全て山林で採取した天然のシイタケだったと考えられます。

(4) 昭和に入ると、鉈目部分に腐朽材を埋め込む方法が考案され、シイタケ栽培の基礎ができ

  ました。

(5) 全国に原木シイタケ栽培が普及したのは、昭和 18 年くさび型の木片にシイタ ケ菌を純粋

  培養した

    種菌の製造に成功したことによります。この簡便な接種方法により全国に普及しました。

 

<原木シイタケの豆知識>

1.旬は秋っぽいですが、春と秋の 2 回:キノコは秋というイメージが強いので、シイタケも

  秋が旬と思われがちですが、旬は春と秋の 2 回あります。秋に収穫されたシイタケは「秋

  子」と呼ばれ、春のシイタケは「春子」と呼ばれます。「秋子」は香りが良く、「春子」

  は寒い冬を耐え、旨みを蓄えているシイタケです。「春子」は「秋子」に比べ柄が短く、

  全体的に肉厚です。

2.シイタケは暑さに弱い:夏季に原木栽培のシイタケは生産されません。それはシイタケが

  暑さに弱く、40℃を超えると死んでしまうからです。原木栽培の生シイタケ生産量が10年

  前から半減していますが、地球の温暖化の影響もあると思います。

3.シイタケは洗うべきか洗わざるべきか?:シイタケなどのキノコ類は、洗うと水っぽくな

  り、風味が逃げてしまうので、洗わないのが原則です。(なめこだけはOKです)汚れは軽

  く払うか、湿らせたペーパータオルで拭きましょう。ゴミや汚れはカサの裏側のヒダ部分

  にたまりやすいので確認しましょう。

4.原木を叩くとシイタケはよく育つ:産地では、「山に雷が落ちた後はシイタケがよく育つ」

  と言われます。落雷を感知すると、シイタケ菌の活動力、生命力が活性化し、シイタケが大

  きく育つのです。子孫を残そうという本能でしょうね。実際、原木をカナヅチで10回叩く

  と収穫が2倍になるという実験結果がYou tubeの動画にありました。シイタケ栽培の現場で

  は、原木を水に浸けたり、原木をフォークリフトで地面に何度も叩きつけることも行われて

  います。つまり、シイタケを強く大きく育てるには、大切に守ることだけではなく、試練を

  与えてそれを克服させることが必要なのです。

5.生シイタケの栄養:食物繊維が豊富に含まれています。大腸の働きを促し、便秘の解消や予

  防に効果的です。紫外線を当てるとビタミンDに変化するエルゴステロールを含んでいます。

  ビタミンDにはカルシウムの吸収を助ける働きがあり、骨粗しょう症の緩和と予防にも有効

  です。生しいたけは、日光に当てると、ビタミンDが増え、香りも増します。食べる前に1

  ~2時間軽く干すだけでも効果があります。うま味のもとであるグアニル酸は、加熱すると

  増加し、香りとうま味がアップします。また、昆布やかつお節の出汁と合わせると相乗効果

  でうま味が増します。

6.生シイタケの選び方:カサの色は薄茶色で、ムラやシミがなく、ハリがあるものを選びまし

  ょう。パック入りのものは水滴の付いていないものを選びましょう。軸が太く、裏のヒダは、

  白く、しっかりと張っているもの。カサは肉厚で開きすぎていないものが良品です。

7.生シイタケの保存方法:湿気を嫌うので、ひだを上にしてキッチンペーパーで包み、冷蔵保

  存します。2、3日なら常温保存できます。すぐに使い切れない場合は、カサと軸を切り離

  し、使いやすい大きさに切って冷凍を。冷凍することで、うま味成分が出やすくなり、味が

  よくなると言われています。そのまま鍋に入れるとうま味が逃げません。

8.乾燥シイタケは値段が高い?:販売されている価格をパっと見たところ、乾燥シイタケは生

  シイタケに比べ価格が高いです。日本食品標準成分表によると、水分含有量は生シイタケが

  91%に対し、乾燥シイタケは9.7%です。仮に生シイタケと乾燥シイタケを同じ水分量で考え

  た場合、生シイタケ100gは乾燥シイタケ1,000gに相当するのです。そう考えると、乾燥シイ

  タケはかなりお買い得かも知れません。

9.原木シイタケと乾シイタケの使い分け:原木シイタケは菌床シイタケに比べると、味や香り

  が強く、繊維質もしっかりしているので歯ごたえもあります。料理をする時に、シイタケを

  メインにシイタケの持ち味を強調する料理の場合は、原木シイタケがマッチします。一方、

  他の食材との味のバランスをとる場合のシイタケは、菌床シイタケがマッチしますので、料

  理に合わせて使い分けをしてみることもおすすめです。

 

<変わり種シイタケ>

(1)ちいたけ:四国山脈の徳島県の奥山で 自生する天然種を栽培した椎茸。徳島県の特産品

    です。 使いやすい大きさと軸まで全部味わえる、 独特な食感と濃い味わいが楽しめま

    す。 小さいけれど、これでも大人の椎茸。人の手で改良されていない天然品種だから

    大きくなりません。

(2)ジャンボシイタケ:原木シイタケの発生個数を減らすことで大きく育てます。通常サイ

    ズより3倍以上大きく、肉厚なのが特徴です。大きいものではかさの直径が10cm以上

    にもなるものもあります。肉厚で柔らかいけど歯ごたえ良く、香りバツグンの特大シ

    イタケです。そのまま炙って醤油を垂らして食べれば口中きのこの香りで満足です。

    その他、ステーキとしてや肉詰めししても美味しいです。

 

<茨城県の原木シイタケ栽培>

茨城県の原木栽培での生シイタケの生産量は、関東圏内では群馬県に次ぎ第2位です。県内で

盛んなのは①つくば市、②常陸太田市、③鉾田市です。原木椎茸の特徴は、何といっても香り

のよさと風味です。肉厚で感触がよいのも喜ばれます。自然の中で、無農薬、無添加で栽培で

き、自分たちの気候、風土を見ながら、どの菌を植えるかを生産者が決めます。生産されたシ

イタケは大部分が乾シイタケに加工されますが、一部は生シイタケとして直販店や道の駅など

で店頭に並びます。

 

(原木の調達)

「原木」に適しているのはクヌギ、コナラ、ミズナラなどいわゆるドングリがなる木。これら

は樹皮が比較的厚いため内部に養分を蓄えやすく、乾燥しにくいためしいたけ菌が蔓延しやす

いと言われています。特にクヌギは成長が早く、8~15年ほどの短い間に原木に適した太さに

なることから重用されています。伐採の時期は11月~4月頃になり、原木1本太さ5~14cm、

長さ90cm程度になります。

 

(植菌)

伐り倒したクヌギの原木に、しいたけ菌である「タネコマ」を打ち込みます。これを「植菌」

と呼びます。種菌の種類には成型駒、木片駒にオガ菌などがあり、それらの品種も様々で各

農家のみなさんが自分の栽培形態にあったものを選んで植菌しています。

 

(仮伏せ)

植えたあとは、植菌した原木に完全な活着・伸長を図るため、長い長い培養期間に入ります。

春頃ぐらいまでビニールなどをかけて保温、保温します。

 

(本伏せ、天地返し)

春に気温が上がり始めた頃、原木を組みなおして通風をはかり、適度に散水します。また菌

糸を均等に繁殖させるために2.3か月に1回原木の上下表裏を反転させる天地返しを行います。

伏せ込みの期間は1年半! 毎年2月~3月頃に植菌するのですが、それからふた夏が過ぎる

まで伐採地などで横にして寝かせておくのです。「伏せ込み」を行う理由はしいたけ菌糸を

原木全体に蔓延させるためです。

 

(原木の組み込み)

ふた夏めが過ぎた秋にようやく原木を起こし、2本の原木が支え合うような形に原木を組み

ますが、この組み方やどこに組むかなど、それぞれの生産者さんのこだわりがあるようです。

 

(しいたけの発生)

菌糸が原木内に蔓延した状態をホダ木(植菌した時点でもホダ木という)といい、それを冷

水につけ、刺激を与えて発生させる。浸水時間はホダ木の状態により左右され、6時間~2日

ぐらいになる。 浸水したホダ木を1日程度おいて自然に水を切り発生させる場所に移動させ

展開します。そこから1週間程度で収穫できるぐらいの大きさに成長します。このようにし

て、起こした原木に厳しい冬の寒さを経験させた後、春の温かい空気があたると、ようやく

原木しいたけが発生! 原木を伐ることから始めてしいたけが発生するまで、なんと2年以上

かかります。

 

(休養)

収穫の終わったホダ木を休ませるため、別のハウスまたは、山に移動させます。約1ヶ月、

散水と保温によって、しいたけ菌が新たに木の栄養を貯めて、次の発生に備えます。

 

 原木栽培のシイタケは春と秋に多く出回り、春は身が締まっていて凝縮したうま味を、秋

は香り高い味わいを楽しめます。

 

昔ながらの原木栽培にこだわった茨城県の「生シイタケ」を是非ご賞味あれ!

 

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