ショートシナリオの館

ボケに抵抗するため、日常生活の中から思いつくままに書いています。月2回・月曜日の投稿を目指します。

茨城味自慢;日本が生んだ佃煮文化を届けたい

2024-06-16 07:21:03 | 日記

茨城県の佃煮といえば、霞ヶ浦で漁獲されるハゼや貝類などを、醤油や砂糖で
煮込んだものが代表格で、湖畔には佃煮の加工会社が点在しています。茨城県
の佃煮の歴史は明治時代からで、佃煮の創業者は、奥村吉郎兵衛という人物。
東京の佃島で佃煮の製法を学んだ後、郷里に帰って、当時は肥料にしかならな
かったハゼを佃煮にしました。西南の役で軍用食料として認められ、その後も
佃煮製造は周辺地域に広まり、産業として定着しました。その功績をたたえる
碑が、行方市粗毛の上羽神社にあります。現在の霞ヶ浦の佃煮にはハゼ、ワカ
サギ、エビの漁獲品以外にも、くるみや生姜などを使った製品がありますが、
いずれも、素材の美味しさを活かすためにみりんに頼らず、地元茨城のまろや
かな醤油や秘伝の隠し味でコクと照りを出しています。農林水産大臣賞を過去
8回受賞した「出羽屋」や、漁師がつくる「安部」などが有名です。霞ヶ浦が
育む、四季折々の恵みを、古いのれんと確かな技術で丹念に手作りした風味豊
かな味の佃煮を紹介します。

<佃煮文化の誕生>

佃煮文化の歴史は400年以上で、発祥の地は東京の佃島です。誕生秘話として
定説になっているのが「本能寺の変で、命の危険を感じた家康が堺を脱出する
際に、手助けをしたのが、大阪の摂津国佃村の漁師たちで、船の他、小魚を塩
辛く味つけた道中食も提供。家康は無事に三河(現在の愛知県)に辿りつきま
した。その後、家康は江戸に幕府を開くにあたり、江戸には漁師が少なかった
ことから、佃村の漁師を江戸に呼び寄せます。彼らが居住地としたのが隅田川
の中洲の小島。この島は「佃島」と名付けられました。佃島の漁師は江戸幕府
への献上品にならない、小魚を煮付けて保存食として食べていたのですが、そ
れが参勤交代で土産として持ち帰った武士によって全国に広まり、「佃島で作
られた煮物=佃煮」として広まった」といいます。初期の佃煮は現在のような
しょうゆと砂糖を使ったものではなく、塩のみで煮たシンプルなものだったよ
うです。本格的に佃煮が全国区で知られるようになったのは日清・日露戦争後
です。軍用食として採用されたからです。この頃には現在に近い食味になって
いたようです。

<佃煮とは伝統の味>

佃煮は、小魚、小エビ、貝類、昆布などの水産物や野菜などの農産物を原料に
砂糖、醤油、飴、みりん、調味料などで作られた濃厚な調味液を浸透させ甘辛
く煮つめた加工食品です。各地には、それぞれ郷土色豊かな自慢の料理や名産
品がありますが、佃煮もその一つですね。 佃煮は、あまりに身近な食品だか
らなのか、空気のようにあまり意識される存在ではありません。ところが、コ
ンビニやスーパーなどで人気のオニギリでは、佃煮昆布のオニギリが必ずラン
キングの上位に入っています。ふだん意識はしないけど、皆さんが大好きな食
べ物、それが佃煮です。グルメや飽食と言われる時代にこそ、歴史を持った伝
統的な日本特有の食べ物として、また、最も貯蔵性の長い保存食品として見直
したいものですね。

<佃煮の種類>

佃煮の種類は使用する原料によって分類されます。主な佃煮だけで118種類の佃
煮があるといわれていますが、この他に地方の特産品もいろいろあります。

1.水産佃煮:昆布、わかさぎ、いわし、あさり、えび、しじみなどの佃煮
2.農産佃煮:ふき、葉唐辛子、豆、キャラブキ、ワラビ、ごぼうなどの佃煮
3.その他の佃煮:いなご、くるみ、蜂の子などの佃煮

これ以外に、混合佃煮製品といって2品、あるいは3品を一緒に煮た佃煮もあり
ます。さらに、人気商品の昆布佃煮でも、塩昆布、角切昆布、昆布巻、しそ昆布
など多くの種類があります。その他にあめ煮、でんぶ、しぐれ煮など、その形状
や製造方法によっても多種に分かれるので、これらを数えあげれば佃煮の種類は
相当な数になります。

<佃煮の豆知識>

1.佃煮原料の栄養価

佃煮は水産物、農産物などを原料とし、醤油、砂糖、食塩、水飴などで甘辛く煮
詰めた加工食品ですが、素材をまるごと使用するため、各素材の栄養価をそのま
ま摂取することができる素晴らしい食材です。たとえば、海藻類は、ビタミン、
ミネラル、植物繊維などが豊富に含んでいます。魚類・貝類では、良質なタンパ
ク質や各種ビタミン、カルシウム、鉄、リンなどを多く含み、農産類では、豊富
な食物繊維や各種ビタミン、カルシウム、アミノ酸などが多く含んでいます。

めずらしい食材では、「畑のカルシウム」と呼ばれる、いなごには豊富なカルシ
ウムが含まれております。また、健康食材として大人気のくるみには、抗酸化値
が最も高く、さらに各種ビタミンや食物繊維、ミネラル、メラニン、マグネシウ
ムなど人間の健康維持、増進に必要な成分が豊富に含まれています。そんな原料
をそのまま味わえる佃煮はまさに健康食と言えるのでないでしょうか。

2.6月29日は佃煮の日

佃煮発祥の地、佃島の守り神である住吉神社が建立されたのが正保2年(1646年)
6月29日。「29」と「佃煮」をかけ、「佃煮の日」になりました。

3.姿、形が違うが、れっきとした佃煮の仲間たち

 (1)しぐれ煮:牛肉のしぐれ煮・ハマグリのしぐれ煮など

佃煮が関東の佃島発祥とされているのに対し、しぐれ煮は関西生まれの保存食と
して知られています。たくさんのたまり醤油と千切りにした生姜をたっぷりと絡
ませて、甘辛の煮汁をしっかりと煮詰めるのが、しぐれ煮の特徴です。三重県桑
名のハマグリのしぐれ煮が有名ですね。

(2)でんぶ:桜でんぶ・おぼろなど

でんぶとは、魚肉や鶏肉を加工したもので、これらを茹でた後、皮や骨を取り除
いてすり鉢で身をほぐします。ほぐした身を酒、みりん、砂糖、塩などと混ぜな
がら、フライパンで炒ることで完成します。桜でんぶの場合はここに食紅も入れ
て、ほんのり桜色に仕上げます。「魚を元の形がないほどに崩した無粋な料理」
という意味だそうです。

(3)甘露煮:くるみ。黒豆、柚子、ユリ根、ソラマメの甘露煮など

甘露煮の「甘露」の名前の由来は中国とインドにあります。甘露煮は、水飴を使
っているのが特徴です。砂糖と共に糖分を多く使用しており、味は佃煮よりも甘
く、蜜に覆われたような見た目です。

(4)あめ煮:サツマイモ、レンコン、ニンジン、かぼちゃのあめ煮など

あめ煮とは、水飴を極端に多く使用することで、甘くつやよく煮たものです。甘
露煮は煮汁を濃くして、素材に味をしみ込ませるのに対して、あめ煮は煮汁を薄
くして、素材の持ち味を生かします。

4.佃煮(魚介類のみ)の一年間の消費量ランキング(2020年)

1位は秋田県で911円、2位は三重県で782円、3位は滋賀県で730円・・・12位が
茨城県で440円でした。最下位は沖縄県の100円となっています。たしかに、沖縄
料理に佃煮のイメージはありませんね。

5.自分で佃煮を作る

材料はしらす干し、醤油、酒、みりん、砂糖だけ。フライパンに材料をすべて入
れ、美味しそうな色になるまで心を込めて炊きます。それだけで完成です。もう
見るだけでお腹が鳴ります。できたての佃煮はやわらかくて美味しい!もちろん
冷まして、味が染み食感のいい佃煮も美味しいです。簡単なので皆さんもぜひ挑
戦してね!

6.佃煮は冷蔵庫で保存を

佃煮はもともと保存食ですが、最近は健康志向を反映して塩分が昔よりも控えめ
になりつつあります。ご家庭では冷蔵庫へ入れましょう。しばらく食べないとき
は、密閉容器に入れて冷凍保存もできます。

<代表的な佃煮の製造方法>

佃煮製品には原料の原形のまま、或いは、食べ易い形にした単一品と混合品とが
ありますが、いずれも日本人の嗜好に合わせて原料素材と醤油の風味を生かした
もので、甘味を程よく調和させた調味液が素材によくにじみ込むまで丹念に煮熟
又は焼煮して原料素材中の水分が調味液中の塩分、糖分その他の調味料と入れか
わるまで煮詰め、保存性を高めた調理加工食品です。

(1)〔浮かし煮〕(うかしに)

浮かし煮は、生鮮原料や形が崩れやすい材料で作る場合に適した製造方法です。
事前に原料をよく選別、洗浄し水を切っておきます。水、寒天、醤油、砂糖、水
飴など調味した煮熟用の煮液を釜に入れて加熱、沸騰させます。沸騰した煮液の
なかに前処理済の原料を投入して一定時間煮た後、これを別の容器にすくい上げ、
ただちに冷却用の盤またはコンベアに薄く広げて乗せ、送風機、扇風機などで風
を送って冷却する製造方法です。

(2)〔煎り付け煮〕(いりつけに)

昆布やスルメ、干しえび等の乾燥材料やいかなご、わかさぎ等の比較的形が崩れ
にくい材料で作る場合は、煎り付け煮が適しています。事前に配合調味した糖度
の高い調味液を、一定の少量釜に入れ、加熱沸騰させ、その中へ前処理済の原料
を投入して焦げつくことのないよう手早くかき混ぜながら煎炊きします。こうし
て液が全部の原料に浸透したとこで、別の容器にすくい取る方法で、冷却は浮か
し煮の場合と同様に行います。

(3)〔浸漬法〕(しんしほう)

煮豆の場合はほとんどこの方法が採用されていますが、佃煮でも農産原料品、昆
布などでこの方法が一部使われています。ボイル、水炊きなどによって充分水分
を含ませ軟化させた原料を、熱い調味液のなかに漬け込んで煮熟したと同じ効果
を得る方法です。一定時間浸漬することによって、原料中の水分と漬込液中の塩
分、糖分その他が入れ替わって味がつきます。

見た目にはそんなに大差のない3つの製造方法ですが、食べてみると意外にもそれ
ぞれ味の違いが感じられます。基本の佃煮、生姜を感じるしぐれ煮、甘くツヤツ
ヤした甘露煮。好みを見つけてみてはいかがでしょうか。

 

<茨城県の佃煮メーカー>

ここでは霞ヶ浦産にこだわり、湖畔で漁から加工まで一貫生産している企業を紹
介します。(HPより)

1.農林水産大臣賞を過去8回受賞した「出羽屋」

出羽屋は、霞ヶ浦の畔で佃煮をつくり続けて80余年。昭和7年創業より、霞ヶ浦
湖畔の本社工場で佃煮・煮干をつくっています。霞ヶ浦で獲れるわかさぎ、えび、
白魚をはじめ、くるみや昆布を使った様々な商品を取り扱っています。

佃煮は保存食として、固く塩辛く炊き上げ日持ちすることが大切にされてきまし
た。しかし、私たちは「日持ち優先のものは作らない」をポリシーに、素材の味
を生かした佃煮を作っています。ずっと食べ続けてもらえる佃煮をつくっていく
こと。それを大切にしていきます。

2.漁師が作る佃煮「安部」

あべ佃煮の始まりは、帆曳船で有名な霞ヶ浦の漁師です。漁師だけに、魚の鮮度
には徹底してこだわっています。加工所の目の前には満々と水を湛える広大な霞
ヶ浦が広がっています。水揚げされてから加工所に運搬されるまで、特殊な方法
で魚の鮮度を保っています。あべ佃煮の炊き込みは、みりんに頼らずコクと照り
を出すために、地元茨城のまろやかで長期熟成させた「清原醤油」を使い、秘伝の
隠し味を用いて味の深みをつけ、じっくり時間を掛けることで、どこにもまねの
できない独自の味を守り続けています。

3.日本の食卓にいつまでも佃煮文化を届けていきたい「島田商店」

株式会社島田商店では、先代から引き継いだ佃煮伝統製法を大切に守り、また、
伝統を土台に常に技術革新に磨きをかけていきます。わたしたちは、これからの
日本を背負っていく世代の方々にも「美味しい」と言ってもらえる商品づくりを
通して、日本の食卓に新しい佃煮文化をお届けします。

4.通なあの方もきっと喜ぶ味「小松屋」の佃煮

製法については、吟味された素材を、わかさぎは湯引きをしたり、えびは炒り込
みなどの伝承の技法を用い、新鮮な帆立のぷりぷりした食感を残すために浅煮き、
また低温調理など時代を取り入れた新たな製法と、無添加醤油や本味醂、清酒等
を贅沢に使い、他とは違う上品な味の佃煮に仕上げます。

贈答品としても重宝されている佃煮は、和食には欠かせない食品の一つです。通
販で佃煮を購入して、さまざまな地域の味を楽しんでいる人も多いでしょう。

是非茨城県、霞ヶ浦の佃煮を加えてくださいね!

 

 

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