長い間、キヨちゃんは足の裏の魚の目に悩まされていた。場所が悪いのか薬を貼ってもすぐにずれてしまい、なかなか完治しないのである。
ある日仕事から戻ると、父がいつになく真剣に
「母ちゃんを病院へ連れていけ。」
と言うのである。何事かと問うと、どうやら足の親指に鉄板を落とした為、骨折しているかもしれないというのだ。見るとキヨちゃんの足は真っ青でパンパンに腫れ上がっている。それでも「ことうない(大事ない)ことうない 」と言っていたが、私は無理矢理病院に連れていった。
何故怪我をしたかというと、父とふたりで鉄板を運んでいたとき、石に乗り上げた魚の目が飛び上がるほど痛く、うっかり手を離したというのである。可哀想だがおまぬけな話である。
病院でレントゲンを撮って貰うと、案の定骨折していた。
「これは痛いでしょう。」
と医者(せんせい)が問うと、
「ええ、前からこの魚の目が。」
とキヨちゃん。
「ああ、いやいや魚の目じゃなくてね、骨がね、折れてるんですよ。」
さらに説明する医師に、さらに彼女はこう言う。
「いやあ、骨は別に。痛いのは魚の目で。」
ついに説明をあきらめた医師はギプスを勧めた。しかしキヨちゃんは
「そんなもんしたら、長靴はけん。畑仕事できん。」
と断ったのだ。
「いや、痛くてどっちみち仕事にはならんかと・・・。」
医師も困りながらも根負けした。
結局キヨちゃんはギプスもせず、休みもせず、父と私に止められながら畑へも出て、今に到っている。そして今でも痛いのは魚の目だったと語っている。
この魚の目には後日談があって、ついに魚の目にも我慢できなくなったキヨちゃんは県立病院を尋ねた。そこのドクターが何をどう勘違いしたのかレントゲンを撮ったのである。彼女の名誉のために断って置くが決してキヨちゃんのせいではない。彼女は「魚の目が痛い」と言ったのだ。当然魚の目だからレントゲンに写るはずもなく。
「う~ん、これは皮膚科に行って貰おうかな。」
と言われ、千二百円をぼったくられたのである。
つくづく魚の目には悩まされるキヨちゃんであった。
ある日仕事から戻ると、父がいつになく真剣に
「母ちゃんを病院へ連れていけ。」
と言うのである。何事かと問うと、どうやら足の親指に鉄板を落とした為、骨折しているかもしれないというのだ。見るとキヨちゃんの足は真っ青でパンパンに腫れ上がっている。それでも「ことうない(大事ない)ことうない 」と言っていたが、私は無理矢理病院に連れていった。
何故怪我をしたかというと、父とふたりで鉄板を運んでいたとき、石に乗り上げた魚の目が飛び上がるほど痛く、うっかり手を離したというのである。可哀想だがおまぬけな話である。
病院でレントゲンを撮って貰うと、案の定骨折していた。
「これは痛いでしょう。」
と医者(せんせい)が問うと、
「ええ、前からこの魚の目が。」
とキヨちゃん。
「ああ、いやいや魚の目じゃなくてね、骨がね、折れてるんですよ。」
さらに説明する医師に、さらに彼女はこう言う。
「いやあ、骨は別に。痛いのは魚の目で。」
ついに説明をあきらめた医師はギプスを勧めた。しかしキヨちゃんは
「そんなもんしたら、長靴はけん。畑仕事できん。」
と断ったのだ。
「いや、痛くてどっちみち仕事にはならんかと・・・。」
医師も困りながらも根負けした。
結局キヨちゃんはギプスもせず、休みもせず、父と私に止められながら畑へも出て、今に到っている。そして今でも痛いのは魚の目だったと語っている。
この魚の目には後日談があって、ついに魚の目にも我慢できなくなったキヨちゃんは県立病院を尋ねた。そこのドクターが何をどう勘違いしたのかレントゲンを撮ったのである。彼女の名誉のために断って置くが決してキヨちゃんのせいではない。彼女は「魚の目が痛い」と言ったのだ。当然魚の目だからレントゲンに写るはずもなく。
「う~ん、これは皮膚科に行って貰おうかな。」
と言われ、千二百円をぼったくられたのである。
つくづく魚の目には悩まされるキヨちゃんであった。