すずしろ日誌

介護をテーマにした詩集(じいとんばあ)と、天然な母を題材にしたエッセイ(うちのキヨちゃん)です。ひとりごとも・・・。

ウオームビズ(バックナンバー)

2007-02-08 22:06:14 | うちのキヨちゃん
 田舎の年寄りはおしなべてハードなウオームビズである。中にはパンツを五枚も履いている強者もいて、一枚減したら風邪をひいたなどと言う。
 うちのキヨちゃんもかなりのウオームビズである。それはもう「タケノコ」である。
 しかし、これを一枚ずつ脱ぐのは大変である。だからキヨちゃんは一度に脱ぐ技を持っている。風呂の脱衣場に行くと、まるで蝉の抜け殻のように、キヨちゃんの形を思わせる塊がある。そのまま足を突っ込んで引き上げれば着衣完了となる形である。
 ある日、珍しくキヨちゃんが風邪をひいた。風邪くらい放って置いても大丈夫とタカをくくっていたが、なかなか治らず、ついに私が病院に連れていった。
 田舎の年寄りにとって通院はイベントであり、ちゃんと着替えるのであるが、このときは私がしぶるキヨちゃんを無理矢理連れていったものだから、その間がなかったのだ。
 いざ診察室に入ると、究極のウオームビズが仇となった。さすがにドクターの前で一気脱ぎの技は使えず、一枚一枚脱いでいく。
 「はあぁ・・・。すごいですねえ。」
ドクターは感心するやら笑うやらである。
 いつでも地球に優しいキヨちゃんである。



コメント (4)
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