すずしろ日誌

介護をテーマにした詩集(じいとんばあ)と、天然な母を題材にしたエッセイ(うちのキヨちゃん)です。ひとりごとも・・・。

身勝手なアフレコ

2007-02-10 19:42:09 | ひとりごと
 こたつにもそれぞれ座る席が決まっているでしょう?うちの場合も特等席が父の席、向かい合う席が母(キヨちゃん)、横が私である。
 父の席は、座布団だけでなく、中に眠れるように敷物もしてあって枕もあるので、父がいない時間は、ついついそこでうたた寝をしてしまう。
 さて、ある寒い日。いつもなら活発に動く母が、「お天気も悪いし寒いし、今日は昼寝しよ~」と決めたらしく、父の席でうたた寝をしていた。
 そこからこういう光景を思い浮かべて欲しい。

 母がこたつでうたた寝をしている。自分の小屋で寝ていた愛犬が、居間に入ってくる。こっそりの母を覗き、小首をかしげてから自分の小屋へ戻る。しばらくして、もう一回同じ事を繰り返す。そしてさらにもう一回。

 この出来事、もちろん犬は喋らないわけで、ここから家族の勝手なアフレコ大会となる。

 母はこう思った。
 「あれ、お母さんが寝てる。どうしたんだろう・・・」(首を傾げる犬)
一度小屋に戻ったものの気になる犬。もう一度戻ってくる。
 「どうしたのかなあ・・・。心配だなあ。」
そしてもう一回・・・。
ああ!なんてかわいい奴なんだ!!!となるわけである。

 父はこう思った。
 「あ、父ちゃんに甘えよ~っと。あれ、母ちゃんやん」(小首をかしげる)
一度小屋に戻ったものの気になる犬。もう一度戻ってくる。
 「父ちゃん、どうしていないのかなあ。心配だなあ。」
そしてもう一回・・・。
ああ!なんて愛しい奴なんだ!!!っとなるわけである。

 私はこう思った。
 「さて、だれもいないおこたで、寝てやろっと。あれ、母ちゃんおるやん」(小首を傾げる犬)
 「しゃあないなあ」
一度小屋にもどったものの気になる犬。もう一度戻ってくる。
 「父ちゃんなら添い寝しても怒らないけど、母ちゃん怒るわなあ・・・」
そしてもう一回。
 「まだおるんじゃ。しゃあない、あきらめるか」
くっくっく!なんておもしろい奴!!!!

 飼い主の勝手なアフレコ大会である。事実は分からない。だから良いのだ。本音をばんばん喋られたら、愛犬だって文句は山ほどあるのだろうから・・・。
 
コメント (2)
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