すずしろ日誌

介護をテーマにした詩集(じいとんばあ)と、天然な母を題材にしたエッセイ(うちのキヨちゃん)です。ひとりごとも・・・。

若い頃のキヨちゃん

2009-02-24 21:32:29 | うちのキヨちゃん
 四十路ともなると、あらゆるところに衰えを感じる。だいたいが若い頃から美人だったわけでもないのだから、がっかりすること甚だしい。
 四十路でそうなのだから、80近いキヨちゃんは衰えには敏感である。二人でテレビを見ていると、どうしてもモデルや女優の美しさに目がいく。
 「まあ、きれいな髪!母ちゃんも昔はカラスの濡れ羽色って言われて、量もたっぷりあったのに、今では白髪でやせてしもうた・・・。」
シャンプーのコマーシャルのサラサラロングヘアーにため息が漏れる。写真でしか見たことがないが、若い頃のキヨちゃんは確かに黒髪を長い三つ編みにしていた。
 そして、かわいい歌声を聞くと
 「ええなあ。かわいい声じゃ。母ちゃんも昔は鈴が転がるような声じゃと言われとったけんど、今はこんなしわがれた。」
これに関しては証人も証拠もないので定かではない。
 さらに化粧品のコマーシャルの小雪さんやふかきょんのお肌。
 「まあ。きれいなお肌しとるなあ!つるつるじゃなあ。母ちゃんも若い頃はもち肌じゃったのに、今は皺だらけになってしもた。」
 私も一緒になって「いいないいな」を連呼していたとき、モデルさんの美しい背中が大写しされた。
 「母ちゃん見て!きれいな背中!ええなあ・・・。」
うっとりとつぶやく私にキヨちゃんは、しばしの沈黙の後こう言った。
 「いや、母ちゃん背中はまだこのくらい綺麗!」
・・・・。その自信と確信はどこからくるのだ。そもそも自分の背中って見えるのだろうか????恐るべしキヨちゃん。

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コメント (4)
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