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『キヨちゃんワールドの洗礼』
油断していた。
そりゃ確かに「すずしろ日誌」の中でも何度となく知らされていたし、すずからもいっぱいいっぱい聞いていたし、間接的には僕も知らない世界ではなかったけれど…
すずが入院して、キヨちゃんと二人の生活がスタートして、わずか二日めでキヨちゃんワールドに足を踏み入れることになろうとは…
病院で、すずの夕食を済ませて帰って来ると「風呂できてるけど、先にごはんしてから入りなよ、後で母さんも入るから」とキヨちゃん母さん。「はぁい」と夕食をいただく僕くりりん。「食欲無くても、こういう時には無理にでも食べなきゃだめですよ。体がもたなくなりますよ」とキヨちゃん母さんに話などしながら。
そして、お風呂に向かう僕くりりん。もう灯りもついてて、服を脱いで浴室へ入り、お風呂の蓋を開けたら…空っぽ!
「や、やられた~」
もう今夜はお風呂やめようかとも思ったけれど、寒いしキヨちゃん母さんも後で入ると言ってたし、とにかくお湯を入れながらバスタブのなかでなんとか寒さをしのぐ。「ビジネスホテルでこんなことしたことあったなあ」なんて思い出しながら。
そしてまた、お湯は僕が入っていていっぱいめにしておかなければならないのだ。なぜなら僕がちょうどのお湯の量でも、体が小さいキヨちゃんが入ると容積が少ないので、必然的にお湯の量が少なくなってしまうのだ。
そして、なんとか体を温めて、お湯を入れ続けなから髭を剃るところまできていた。当然いつもの入浴タイムよりは、かなり時間がかかっている。そこで脱衣室からキヨちゃんの声。
「くりちゃん、遅くなったから母さんもう寝ることにするね」
「えっ、えっ、えぇ~っ!」
「お湯が入ってなかったから入れてたんですよぉ~」の僕の声は、耳の遠いキヨちゃんには聞こえることなく、すずのいない家の浴室で寂しく響いていた。
『キヨちゃんワールドの洗礼』
油断していた。
そりゃ確かに「すずしろ日誌」の中でも何度となく知らされていたし、すずからもいっぱいいっぱい聞いていたし、間接的には僕も知らない世界ではなかったけれど…
すずが入院して、キヨちゃんと二人の生活がスタートして、わずか二日めでキヨちゃんワールドに足を踏み入れることになろうとは…
病院で、すずの夕食を済ませて帰って来ると「風呂できてるけど、先にごはんしてから入りなよ、後で母さんも入るから」とキヨちゃん母さん。「はぁい」と夕食をいただく僕くりりん。「食欲無くても、こういう時には無理にでも食べなきゃだめですよ。体がもたなくなりますよ」とキヨちゃん母さんに話などしながら。
そして、お風呂に向かう僕くりりん。もう灯りもついてて、服を脱いで浴室へ入り、お風呂の蓋を開けたら…空っぽ!
「や、やられた~」
もう今夜はお風呂やめようかとも思ったけれど、寒いしキヨちゃん母さんも後で入ると言ってたし、とにかくお湯を入れながらバスタブのなかでなんとか寒さをしのぐ。「ビジネスホテルでこんなことしたことあったなあ」なんて思い出しながら。
そしてまた、お湯は僕が入っていていっぱいめにしておかなければならないのだ。なぜなら僕がちょうどのお湯の量でも、体が小さいキヨちゃんが入ると容積が少ないので、必然的にお湯の量が少なくなってしまうのだ。
そして、なんとか体を温めて、お湯を入れ続けなから髭を剃るところまできていた。当然いつもの入浴タイムよりは、かなり時間がかかっている。そこで脱衣室からキヨちゃんの声。
「くりちゃん、遅くなったから母さんもう寝ることにするね」
「えっ、えっ、えぇ~っ!」
「お湯が入ってなかったから入れてたんですよぉ~」の僕の声は、耳の遠いキヨちゃんには聞こえることなく、すずのいない家の浴室で寂しく響いていた。