囀りの象頭に抱かれ金丸座
10年ぶりに四国こんぴら歌舞伎を見てきました。
この琴平では初日には桜が満開だったそうですが、いまは葉桜に。
でも『一本刀土俵入』 『戻駕籠』 『四の切』の舞台では桜がふんだんに御目見得。
おまけに今年は又五郎丈、歌昇丈の襲名披露というおめでたい公演です。
しかも、日本最古の歌舞伎の芝居小屋で見られるのもこの上ない幸せ。
役者よし、狂言よし、劇場よし、
三拍子揃うことも「四国こんぴら歌舞伎大芝居」ならではの愉しみです。
チョン チョン――柝が入って・・・・・
「さ~て本日は賑々しくご来場のお客さまがたに口上申し~あげまする・・・・・・・」
金丸座の劇場の前では木戸芸者の口上のはじまり始まり―。
この日は唐茄子に結んだ手ぬぐいも風情よく、木戸芸者に扮していたのは地元の小学生。
プロの役者さん顔負けの身のこなし、口跡もよく、見物客から拍手喝采でしたよ。
昨年の新橋演舞場からスタートした三代目又五郎、四代目歌昇の襲名披露興行。
名古屋の御園座、京都の南座、そしてこのたびの金丸座。
6月は博多座、7月の松竹座と襲名披露は続きます。
ここで特報です!!
6月の博多座では夜の部に歌昇くんが『馬盥』で森蘭丸に挑戦します。
ぜひ、ぜひ観に行かなくちゃ
←画像は襲名披露に役者さんがご贔屓に配る手ぬぐいです。
この手ぬぐい誰にもらったと思いますか?
劇場の売店には販売しておりません。
実を云うと、琴平の某うどん屋さんの若女将からいただきました。
何気なく入った「うどん屋」さん。てんぷらうどんを注文したところ、メチャ美味しかった。
なんでも琴平に来た歌舞伎の役者さんたちのご愛用の「うどん屋さん」だとか。
その店の若女将が大の歌舞伎好き。
「この間亡くなられた京屋さん(←雀右衛門)も何回かお見えになりました」
「皮ジャンでサングラスして?」
「そう そう そうなんですよ お客さんよくご存知ですね」
それから暫く若女将と歌舞伎談議。それも「うどん屋」の店先で。
金丸座は「日本最古の芝居小屋」としての価値が認められ、国指定重要文化財に。
画像の天井右上に渡された板が宙乗り装置の「かけずり」。
天井全体に竹が組まれているのは「ブドウ棚」。
これは舞台から客席一帯に桜吹雪、紙吹雪を降らす装置であるとか。
さて劇場正面の木戸をくぐると、江戸の鼓動がきこえてくるような芝居小屋。
中では揃いの着物を着たお茶子さんのお出迎え。
10年前に来たときは地元の村のおばちゃんばかりだった。いまは若くて美人揃い。
「 中野さ~ん 」
と若い女性から声をかけられた。この讃岐路で知り合いの女性などいないのに・・・
振り返って見ると、なんと昨夜宿泊したホテルで何かと世話してくれたフロントのSさん。
昨日はホテルマン、今日は金丸座のお茶子さん。お見事な変身。
予約していた上場の升席に、Sさんがお手て繋いで案内してくれました。
平成生まれの若手役者の心意気 『一本刀土俵入』の記事はこちらからどうぞ