思い立って須磨寺に行ってきました。
例月の20日、21日は須磨寺の縁日で、この日は境内はもちろん
仁王門までの沿道も賑わっていました。
須磨は源平興亡の舞台(←一の谷合戦)となった地で、ここ須磨寺
にも平敦盛の首塚などの史跡があり、境内の宝物館には、敦盛の
青葉の笛などの源平ゆかりの品が展示されていました。
ところで一の谷合戦では、平敦盛と熊谷直実の一騎打ちは有名です
が、歌舞伎の『熊谷陣屋』でも、敦盛最期の様子を詳しく語る熊谷
直実の「物語」が、このお芝居の前半の”みどころ”であり、熊谷役者
のいちばんの芸の”見せどころ”でもあるわけです。
それと仁王門を入るとすぐの所に山本周五郎の文学碑がありました。
石碑には、山本周五郎が文壇へのデビュー作となった『須磨寺附近』
の冒頭の一節が刻まれていました。
須磨は秋であった・・・。
ここが須磨寺だと康子が言った。
池の水に白鳥が群を作っていた。
雨がその上に静かにそそいいでいた・・・。
池を廻って、高い石段を登ると寺があった。
「あなた生きている目的が分かりますか」
「目的ですか」
「生活の目的ではなく、生きている目的よ」
-原文のままー
須磨寺あたりには、ほかにも多くの史跡が残る風致地区でもあり、
若葉青葉の頃、源平の時代に思いを馳せながら散策してみるのも
また一興かと思われます。