Dream Gate ( 中野 浚次のブログ )   

本日はようこそ開いてくださいました!お芝居のことグルメを語ります!


          

3月です!!  雛祭りです!!

2011-03-02 | わたしの歳時記

 

 

3月3日は「上巳(じょうし)」 つまり「桃の節句」です。
雛の節句」ともよばれています。

女の子が産まれてはじめてのの節句を「初節句」。
雛人形には、厄除けとなる「桃の花」、体の邪気を祓うための「白酒」。
よもぎの香気が、これも邪気を祓うといわれる「草もち」が供えられます。
最近はあまり見かけませんが、正確なことも知りませんが、大正のころには、自分のかたわれでなければ絶対に合わないことから、「蛤(はまぐり)」を、桃の花とともに雛段に供えるしきたりがあったようです。

それとよく見かけるのが雛あられ」(画像/右)。

白、赤、桃の3色はそれぞれ、雪の大地()、木々の芽生え()、生命()を表しており、この3色の”雛あられ”を食べることで自然のエネルギーを授かり、健やかに生長できるという意味がこめられているようです。




ところで、舞台に雛壇の飾ってあるお芝居は、思い出すかぎりでは、ことごとく悲劇なんですね。
(※ お芝居に興味のない方は、これからの記事はパスしてください) 

もともと和製ロミオとジュリエットといわれた歌舞伎『妹背山』の山の段
義太夫狂言でも王朝物の傑作で、客席を吉野川に見立て両花道を使った演出は有名です。

定高が手にとった内裏の女雛の首がコロリと落ちて、のちの娘雛菊の死の予兆となるのです。
もちろん妹山側の大宰の御殿には豪華な雛壇が飾ってありました。

「井伊大老」(北条秀司・作)では、雪がふるというふしぎな桃の節句の朝。
雛壇の前で、直弼とお静の方が白酒を酌み交わす場面があります。
それが、さりげなく、直弼夫婦の別れのさかづきになっているのです。


上巳の節句の雛壇にさざえと蛤を供えるしきたりがあったことは、すでに書きました。
これが、みごとに、泉 鏡花の『日本橋』の舞台につかわれました。


   


「雛の節句のあくる晩、春で、朧で、お縁日・・・・・」

序幕「一石橋の朧月」(画像/上)」で、有名な芸者お孝のせりふです。

葛木晋三という医学士が、延命地蔵の縁日である3月4日の夜、大学病院の宿舎に飾っていた雛壇から、さざえと蛤を持ち出して、橋のたもとから川へ流すのを、通りかかった巡査に怪しまれるという場面です。
芸者のお孝がやはり小皿にさざえと蛤を持って出て来て、やっと誤解をとく、というストーリーです。

私が新橋演舞場でみた『日本橋』は、晋三に片岡孝夫(←現片岡仁左衛門)、芸者お孝は玉三郎でした。

お芝居がはねて、劇場を出たとき、外は雪だった。春の雪です。
そのあくる日、『日本橋』で、同じくお孝を演じた花柳章太郎さんが永眠したのである。

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