生物の形-ポリ亭のマクロ・顕微鏡写真-

 身近な動植物のマクロ写真や顕微鏡を用いて撮るミクロ写真を載せていきます。「生物の形」を気楽に楽しんでいきたいものです。

[#605] カニ脚甲殻の構造(9)甲殻を構成する精製内層の構造-偏光顕微鏡写真-

2009-02-25 16:15:50 | Weblog
◆ カニ脚を構成する精製した内層の構造を検討しています。今回は偏光子と検光子を直交させた状態の偏光顕微鏡写真です。脚の長さ方向は水平に置いてあります。レターデーションが1λの検板が光路に挿入されています。
◆ 右下の象限と左上の象限が青色です。この象限内では試料のレターデーションに検板のレターデーション(1λ:赤色)が加わって加色という現象が起ったためです。この結果はキチン分子鎖が突起周辺で楕円状に配列していると想定すると説明できます。
ミクロラボΠ ポリ亭
(註)偏光顕微鏡の原理や測定法,さらに詳しい説明については下記のブログを参照してください。
”高分子-ミクロの形-”(Yahoo!ブログ)

[#604] カニ脚甲殻の構造(8)甲殻を構成する未精製内層の構造-偏光顕微鏡写真-

2009-02-24 17:56:43 | Weblog
◆ 前回の状態で光路に検板(1λ)を挿入しました。前回の橙色が緑色に変化しています。これは試料のレターデーション(約400nm)に検板のレターデーション(530nm:赤色)が加わったためです。これを加色と言います。加色という現象は検板の屈折率が大きい方向(右斜め上方向)と試料の屈折率の大きい方向(脚の長さ方向:キチン分子鎖が配向している方向)が一致しているからです。
◆ したがって,内層においてはキチン分子鎖が脚の長さ方向に配向していると結論できます。
◆ 偏光顕微鏡測定の原理や詳しい説明は下記のブログを参照してください。
”高分子-ミクロの世界-”(Yahoo!ブログ)
ミクロラボΠ  ポリ亭

[#603] カニ脚甲殻の構造(7)甲殻を構成する未精製内層の構造-偏光顕微鏡写真-

2009-02-24 17:46:46 | Weblog
◆ 未精製の内層の脚の長さ方向を偏光子と検光子に対して右斜め上45°の角度に置いて偏光顕微鏡写真(クロスニコル)を撮りました。全体として明るく橙色に写っています。この条件では試料内のキチン分子が無配向ですと暗黒になるのですが,非常に明るく写っています。このことはキチン分子鎖が内層のなかで脚の長さ方向またはそれと垂直な方向によく配向していることを示しています。そのどちらであるかは次回の記事で明らかにします。
◆ さらに詳しい説明は下記のブログを参照してください。
”高分子-ミクロの世界-”(Yahoo!ブログ)
ミクロラボΠ ポリ亭
 

[#602] カニ脚甲殻の構造(6)甲殻を構成する未精製内層の構造-偏光顕微鏡写真-

2009-02-24 17:38:16 | Weblog
◆ 前回の撮影条件下で光路に1λの検板を挿入して撮りました。この検板の色は赤色ですから,バックは赤色になります。前回の写真は突起周辺ののぞくと全体として暗かったので,検板の色のみがみられることになります。
◆ 詳しい説明は下記のブログを参照してください。
”高分子-ミクロの世界-”(Yahoo!ブログ)
ミクロラボΠ ポリ亭

[#601] カニ脚甲殻の構造(5)甲殻を構成する未精製内層の構造-偏光顕微鏡写真-

2009-02-24 17:29:11 | Weblog
◆ カニの甲殻はキチン質の多い内層,無機成分の多い中間層,表面層より構成されています。今回は未精製の内層の偏光顕微鏡写真です。脚の長さ方向を水平に置いて撮りました。偏光子と検光子を直交させたクロスニコス状態での写真です。突起周辺に明暗のバンドが繰り返される同心円環的構造があります。全体として暗いのはキチン分子鎖が脚の長さ方向に配向しているからです。
◆ もっと詳しい説明や偏光顕微鏡の原理については下記のブログ記事を参照してください。
参考ブログ:”高分子-ミクロの世界-”(Yahoo!ブログ)
ミクロラボΠ ポリ亭

[#600] カニ脚甲殻の構造(4)甲殻の表面構造-実体顕微鏡写真-

2009-02-19 11:20:13 | Weblog
◆ このシリーズ最初のカニ脚の写真を見ますと,脚には長さに沿って片側は赤色,中央部は比較的平たんで白系,もう片側は白系の色を呈しています。今回は赤い側の顕微鏡写真を載せます。大きな突起をクローズアップしました。天辺からひげがちょろっと見えます。この突起では甲殻内部と外部が通じているようです。いわば毛穴のようなもので,甲殻内部の水分や塩分の調節をしているのかも知れません。
ミクロラボΠ ポリ亭

[#599] カニ脚甲殻の構造(3)甲殻の3層構造-実体顕微鏡写真-

2009-02-19 11:01:10 | Weblog
◆ 前回に続いて カニ脚甲殻の3層構造を示す写真を載せます。左側の赤い領域は3層が重なっており,中央のピンク色を帯びた白色領域では表面層がはぎ取られた状態で,中間層が見えています。右側の領域では表面層と中間層がはぎ取られており,キチン質の多い内層が見えています。
◆ 各層のキチン成分/無機物質/タンパク質の成分比は次の通りです。表面層(34.3%/31.7%/34.0%),中間層(29.4%/60.2%/10.4%),内層(69.4%/8.8%/21.8%)中間層は無機成分が非常に多いので硬く甲殻の強度を保持する役割を果たしています。内層(カニ肉に接する部分)ではキチン成分が非常に多く柔軟です。
◆ 成分の分離法などの詳細は次のブログを参照してください。
”高分子-ミクロの世界-”(Yahoo!ブログ)

[#598] カニ脚甲殻の構造(2)甲殻の3層構造-実体顕微鏡写真-

2009-02-10 11:41:03 | Weblog
◆ カニ脚を手で折り曲げて壊した付近の実体顕微鏡写真です。画面の横幅が約1.7mmです。甲殻が橙色の半透明の表面層,白色不透明の中間層,半透明の内層からできていることが分かります。中間層が白色で不透明であるのは無機成分が多いためであり,甲殻の強さや硬さを保持する役割を果たしています。中間層ではさらに薄い多数の層が積層されていることが分かります。ところどころに突起があります。
◆ 甲殻を水に7時間ほど浸漬して膨潤させてから鋭い針を差し込むとこれらの3層が分離できることが分かりました。その構造を検討した結果については順次説明していきます。
◆ さらに詳細な説明は下記のブログを参照してください。
”高分子-ミクロの世界-”(Yahoo!ブログ)

ミクロラボΠ(パイ) ポリ亭

[#597] カニ脚甲殻の構造(1)全体像と精製法

2009-02-09 15:09:12 | Weblog
◆ ズワイガニ(雄)脚の構造について記事を連載することにします。脚の長さに沿った中央領域は薄くて半透明です。脚の甲殻の曲がった領域の左下領域では赤っぽく,右上領域では白っぽくなっています。中央領域より曲がっている領域の方が無機成分が多いため硬くなっています。甲殻表面にはところどころ突起があります。拡大するとさらに小さい突起があるのですが,この突起周辺と突起自体において分子鎖がどのように配向しているのかなどについては後の記事で説明します。
◆ 甲殻はキチン,タンパク質,無機物質の複合体ですが,原試料とタンパク質や無機物質を除去した精製試料について様々な手法によって構造を解明しました。
◆ 研究手法や試料の生成方法は次のブログを参照してください。
”高分子-ミクロの世界-”(Yahoo!ブログ)

[#596] モンシロチョウ(11)鱗ペンの光学顕微鏡写真

2009-02-04 19:54:19 | Weblog
◆ これまで載せた鱗ペンの超マクロ写真は上方からの投射光を用い,実体顕微鏡で撮りました。今回は透過光を用い,通常の光学顕微鏡(100倍)で撮りました。
ミクロラボΠ(パイ)  ポリ亭
◆ 今回でモンシロチョウに関する記事を一応終了します。また視点を変えて眺めることもあるでしょう。次回からはカニなどの甲殻類を構成する生体膜について連載します。
◆ 蛇足ですがΠ(パイ)はポリ亭のイニシャルT.T⇒TTに由来します。