高江雅人  竹工芸職人の独り言  竹工房オンセ

高江雅人  竹工芸を初めて37年、徒然なる出来事をアップしています。

修理  下染めの意味

2009年10月03日 07時05分28秒 | 竹細工作業工程

普段の仕事に戻って、
先日、10年以上使って貰っているバッグの修理が届いた。このバッグは、私が竹バッグを作り始めた頃の作品である。もう、10年以上大切に使ってくれているのだろう。しかし、さすがに持ち手の皮ひもが擦れて痛んできた。

持ち手の交換と、網目が少しずれて、下地の白い部分が少し見える。

Cimg0523 10数年前の初期の頃は、ヒゴの下染めをしていなかった。花篭など、持ち歩かない物はそれでも良かったのだが、バッグなど、普段から持ち歩き、動きの激しい物はどうしても、網目にヅレが出てきてしまう。そんな時には、下地の染めていない部分が出てきてみっともないのだ。

初期の1年目以降は、ヒゴの状態で下染めし、形が出来上がってからもう一度染めている。そうすることで、多少網目が動いても、見た目にはまったく判らなくなるのだ。

もう一度、全部ばらばらにして染め直す事は出来ないので、もう一度、上から漆を塗って、ずれた部分にも漆の色をつけ、あまり目立たない様にすることで対処した。

Cimg0529 全体に新しい漆の艶が出て、見違えるようになりました。また、これから十数年可愛がって貰うと思うと嬉しいですね。

我々の作っている作品は、実用品ですから、磨耗したり、ぶつけたり、時には事故にあう時もあります。しかし、そんな時でも、手直ししたり、染め直したり、漆を塗ったりで、何年も何年も使うことが出来ます。

また、使い込むことで、その人しか出せない風合いをかもし出して来ます。使い込んだ時の色合いは、なんとも言えない表情を出してくれるのです。

                 by 竹工房オンセ

コメント (2)
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