本日の高住神社の状況です。
◆晴れ
◆22℃
本日はお日柄もよく、お参り手もぼちぼちと。
参拝者が増えてくると神前に上がるお神酒も増えてきます。
「九州といえば焼酎!」といったイメージを持つ人もいるでしょうが(私もそうでした)、九州とひとくちにいっても九州北部は稲作地帯が多いため、造り酒屋もたくさんあって美味しい地酒が多いんですよね。
神社の神饌(しんせん…お供え物)には順位があり、まずは米が上がり、その次に酒、そして餅…と、生(き)の米を上位にして、それから米加工品が続きます。
神道は稲作文化とともに発展してきたゆえ、必ず供物の中心には米をすえるのです。
さらに宗教と酒は切っても切れない縁があり、アルコールを飲んだときの酩酊状態が“神がかり”的な状況を生み出してきたことは、古今東西問わず宗教儀礼に酒が用いられてきた由縁であり、酒が一国の文化を表すのも、その土地土地の風土に見合った農作物とそこから生み出された発酵食品を意味するとウンヌン。
…なんて話をするのも、最近「酒の文化史」に興味が出てきたからで、色々と本を読んでいますと酒というのは単なる嗜好品ではなく、原始的ながらも“食文化の粋”を極めた素晴らしい産物と思えるんですよね。
ここに上がるお神酒を見ても銘柄は多種多様で、一般的な日本酒から純米酒、はては純米大吟醸といった高級酒も上がることも。
残念ながら私たちの口に入ることなく崇敬者の手に渡ってしまうので、これを読んで「私ももらえるかも?」と期待に胸おどる方もいらっしゃるかも知れません。
そんなお酒が神前に上がるのは時の運。それを誰に上げるかは私たちの気まぐれ(笑)
まぁメインは神様ですから、人の手に入ることを先に考えてはいけません。
九州有数の酒地帯・福岡だけあって、地酒のラベルを見比べるのは楽しいものです。
というわけで、現在上がっている日本酒のご紹介を。
左から順に
●「繁桝」…高橋商店
筑後のお酒。八女市に本社を持ち、創業は享保2年(1717年)
美味しいという評判をよく聞く銘酒で、吟醸やら種類もたくさんあります。
●「れいざん」…山村酒造
熊本は阿蘇郡高森町のお酒。宝暦12年創業。
蔵元は標高500メートルの奥阿蘇にあり、霊山阿蘇の外輪山から湧きいづる清冽な山水を…とラベルより。
●「九州菊」…林平作酒造
くすぎく、と読みます。京都郡みやこ町犀川のお酒。
今川沿いにある酒蔵で、当神社もこちらでお神酒を注文して作ってもらっています。
(写真中央なのは宣伝という大人の事情…ではありません 笑)
●「英彦山大権現」…戸渡酒造
田川郡添田町のお酒。まさに”地元のお酒”です。
創業は大正元年。英彦山のお膝元だけあって英彦山にちなんだ銘柄が多いです。
私も贈答用のお酒を買いにときどき顔出しさせてもらっています。
(ちなみにこれを真ん中にしようと思ったのですが、ラベルに生えたカビを隠すため奥にしました 汗)
●「龍颯」…藤居酒造
りゅうふう、と読むそうです。大分県は臼杵のお酒。
清酒のみならず焼酎も造っている会社。
県外のお酒もまじっていますが、酒屋やリカーショップでしか買えないであろう地酒をチョイスしてみました。
酒といえば祝いの席でもよく飲まれることからか、力強さや繁栄を彷彿させる名前が好まれるのでしょう。「英彦山大権現」や「れいざん」なんてそのままの呼称を名前にしてますし、霊山のエッセンスを取り入れることでその霊力にあやかろうなんて意思さえ感じられます。
「龍颯」も最近ここで龍神ブーム?が起きて以降、神前に上がったお酒。偶然かも知れませんが、ネーミングに惹かれるものがあったので紹介させてもらいました。
もしかしたら、お神酒を上げられる方もご祭神にふさわしい酒を選んでお供えしているのかも知れませんね。
とまあ、お酒の紹介をしたものの、実は私、あまりお酒を飲みません(笑)
違いが分かる男になるには飲む機会を増やさなきゃいけないんでしょうが、正直アルコールに強くないんですよね…
ともあれ、酒の違いを知るには量にあらず。嗜みながら違いの分かる男を目指したいと思います。
ですが、社頭で「神主さん!飲み行こうや!」と誘わないようお願いします(笑)