
掃きとりて花屑かろき秋うちは 西島麦南
秋団扇(あきうちわ) (秋の季語:生活)
秋うちは(秋うちわ) 秋扇 団扇置く 捨て団扇 忘れ団扇
季語の意味・季語の解説
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秋になって使われなくなった団扇を秋団扇(あきうちわ)と呼ぶ。
単に団扇(うちわ)とすれば夏の季語。
古くから使われる季語に「秋扇(あきおうぎ)」があるが、これより、生活感が強い。
団扇置く、捨て団扇、忘れ団扇などの副題も「あはれ」を感じさせる。
季語の用い方・俳句の作り方のポイント
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クーラーの普及したこの時代に、夏の季語として団扇(うちわ)に注目するということだけを見ても、俳人というのは特異な表現者です。
ただ、それに飽き足らず、涼しくなってあまり見向きもされなくなった「秋」の団扇にも詩情を抱き、それを季語として積極的に詠んでいこうというのですから…
俳句はなんとも懐の深い文芸です。
秋団扇が俳人に詠ませようとするもの…
それはやはり「 あはれ 」であると思われます。
嫁がせて秋の扇を使ひけり 沢 ふみ江
捨てられぬ扇文箱の中に在り 大森扶起子
出囃子にそつと畳める秋扇 寺井芳子
語り部のときどき使ふ秋扇 日下野仁美
信濃にもパリにも行きし秋扇 松本恍昭
やせぎすの猫の踏みゆく秋団扇 (凡茶)
掃きとりて花屑かろき秋うちは 西島麦南