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山は暮れて野は黄昏の薄かな (与謝蕪村)
薄(すすき) (秋の季語:植物)
芒(すすき) 尾花(おばな) 花薄・花芒(はなすすき)
薄野・芒野(すすきの) 薄原・芒原(すすきはら)
季語の意味・季語の解説
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「すすき」は「薄」とも「芒」とも書く。
花穂は始め褐色で横に開くが、やがて白色となってすぼみ、風に吹かれると動物の尾のように見えるようになる。
ゆえに、薄は尾花(おばな)とも呼ばれる。
野、山、道端など、至る所に生え、昔から人々の暮らしとも関わりが深い。
例えば、月見においては、団子や里芋とともに薄が供えられる。
なぜ薄が月に供えられるかには諸説あるようだが、うっかり触れると手を切ってしまうような鋭い歯を持つため、魔除けとして用いられているとも言われる。
月見に用いた薄を軒に吊るすと、向こう一年間、病気をしないとの言い伝えもある。
また、薄は萱葺き(かやぶき)屋根の資材とされた。
なお、萱(かや)とは、屋根を葺く(ふく)のに用いられる草の総称であり、薄のほか、菅(すげ)、茅(ちがや)なども含まれる。
季語の用い方・俳句の作り方のポイント
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広々とした薄原(すすきはら)に出ると、はじめはその美しさに目を奪われます。
しかし、風に揺られる薄の穂を眺めていると、なんだか徐々に静かな気持ちになってきて、やがて、淋しさに襲われます。
薄を季語に俳句を詠む場合は、はじめ美しい景が読む人の頭に浮かび、あとから、そっと淋しさが忍び寄るような、そんな句を創ろうと心掛けています。
蕪村などに俳諧を学んだ大魯と、私の句を紹介します。
眼の限り臥しゆく風の薄かな (吉分大魯)
臥しゆく=ふしゆく。
立ち枯れの鳶薄野を見渡せり (凡茶)
鳶=トビ。
薄野を去る一本の薄かな (凡茶)
最後に蕪村の名句を紹介します。
山は暮れて野は黄昏の薄かな (与謝蕪村)
この句もそうですが、「菜の花や月は東に日は西に」や「春の海終日(ひねもす)のたりのたりかな」など、広々とした景色を詠んだ蕪村の句には心を奪われます。
参照 http://haiku-kigo.com/article/164383152.html