
原爆の街停電の林檎つかむ 金子兜太
林檎(りんご) (秋の季語:植物)
りんご 紅玉 ふじ
季語の意味・季語の解説
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言わずと知れた赤くて甘い果実。
切って食べたり、丸かじりにしたりするほか、ジュースや菓子の材料ともなる。
青森や長野で生産量が多い。
季語の用い方・俳句の作り方のポイント
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林檎はとてもなじみ深い果物ですが、俳句の季語としては扱いづらい曲(くせ)者です。
林檎はたくさんの顔を持っています。
時には愛らしい赤い実であり、
時には硬くて大ぶりな果物であり、
時には寒い東北の田舎から都会へやってきた小娘であり、
時にはどこか西洋の気品がある大人の女でもあります。
あまりに多くの顔を持つだけに、「林檎」といったらこの俳句というような名句はまだ生まれてないように思います。
ですから、あなたの詠んだ林檎の佳句が、日本のすべての林檎の句を代表する不朽の名句になる可能性もあります。
とにかく多作を心がけ、いろいろな林檎の魅力を引き出してみましょう。
牧の娘は馬に横乗り林檎かむ 小野 白雨
青林檎置いて卓布の騎士隠る 能村研三
原爆の街停電の林檎つかむ 金子兜太
夕映えへ林檎流るる最上川 (凡茶)
酸き林檎かじりてチェスの一手得る (凡茶)