いまのさき夏柑剥きし指ならむ 草間時彦
【夏蜜柑】 なつみかん
◇「夏柑」 ◇「夏橙」
夏蜜柑は通常「夏橙」あるいは「夏柑」を指す。秋、黄色に熟すとそのまま木になっており、翌年の晩春から初夏にかけて食用にされる。酸味が強いのが特徴だが、改良により最近では甘夏柑が主流となっている。
しみ~と溶くる砂糖や夏蜜柑 日野草城
たかし忌の甘夏蜜柑偽れる 石川桂郎 高蘆
まるつきりつむり見えたる夏蜜柑 岡井省二 鯨と犀
ラテン語の風格にして夏蜜柑 橋閒石 微光
人妻の爪たてけぶる夏蜜柑 鷹羽狩行
佛頭の前に夏柑不即不離 百合山羽公 樂土
口荒るるまで夏蜜柑吸ふひとり 鷹羽狩行
夏みかん手に海を見る場所探す(金石海岸二句) 細見綾子
夏みかん歯ぐきにしみて水平線(金石海岸二句) 細見綾子
夏みかん燦爛として酸し籠に 山口青邨
夏みかん西方に手を打てるなり 岡井省二 有時
夏みかん諏訪の訛をきみもいう 古沢太穂 古沢太穂句集