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竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

春立つや水の音する裁ち鋏 中村克子

2021-02-03 | 今日の季語


春立つや水の音する裁ち鋏 中村克子

裁ち鋏に水の音がする
作者には心地よい鋏の音のリズムが
小川のせせらぎに聞こえるのだろうか
春のおとずれを句全体を比喩として訴えているようだ
感性の鋭さがうかがえる
(小林たけし)


【立春】 りっしゅん
◇「春立つ」 ◇「春来る」 ◇「立春大吉」(りっしゅんだいきち)
二十四節気の一。陰暦1月の節で陽暦の2月4日頃。その前日が節分。暦の上ではこの日より春となる。

例句 作者

春立つや水琴の音の華やげり 上原紫翠
春立つや決心三日目に入る 堤保徳
春立つや絵馬に蹄の音すなり 坂本タミエ
春立つや足ぶらぶらと肩車 安保美恵子
春立つや醪(もろみ)に櫂の夢うつつ 宮坂静生
春立つや雪降る夜の隅田川 角川春樹
春立てばわれは紙食ふ獏ならん 新谷ひろし
春立てば絵の剥落や無言館 円日成道
江東区立春ぼんごれを食べ訣れる 和知喜八

地の底に在るもろもろや春を待つ 松本たかし

2021-02-01 | 今日の季語


地の底に在るもろもろや春を待つ 松本たかし

生き歳生けるものみな春を待つ
掲句は待春を思い切り大きく表現している
地の底にあるもの 
この措辞が生命の存在感を大きくしていて虚移管する
待春の俳句ではこれが一等だ
(小林たけし)

【春待つ】 はるまつ
◇「春を待つ」 ◇「待春」(たいしゅん)
「春よこい…」という歌があるが、まさにその心。冬よ去れ、早く春こよ、との主情的な思いをこめた言葉であろう。寒気は一向に衰えを見せないながらも、ふと日差などに春への期待感を思わせる一瞬がある。そうしたときに待春の心が芽生えるのである。

例句 作者

春待つに似たりうどんの薄き味 田沼文雄
九十の端を忘れ春を待つ 阿部みどり女
待春の心にいつも人の住む 倉田絋文
山羊を飼へとふ兎飼へとふ春待てば 及川 貞
待春の空より雀こぼれけり 石田玄祥
春待つや時計鳴るたび時計見て 相馬黄枝
春待つと檜山は月を育てけり 安立公彦
春を待つ海鵜を乗せて沖つ石 浪山克彦