最近声をかけない接客と言うのが注目を集めている
というニュースを新聞で読んだことがある。
僕が、学生の時、家電量販店というかオーディオ量販店で
オーディオを買ったとき、予算だけ店員の方に伝えて
アンプからプレーヤー、レシーバに至るまで
全部量販店の店員の方に選んでもらったことがある。
下宿にそのオーディオが配達されてきて
それでヘンデルの水上の音楽を再生したら
ビックリするくらい音がよくて感動したことがある。
さすがにオーディオ量販店の店員さんは違うなと。
それから35年が過ぎた今、家電量販店に行っても
声をかけてくる店員さんはほとんいない。
ラジオはどのコーナーにありますか?と店員さんに
尋ねるとラジオのあるコーナーを店員さんは教えてくれる。
じゃああとは自分で探しますというと店員さんは
はいどうぞという感じになりすぐにどこかへ行ってしまわれる。
店員さんがいなくてもポップにその商品のスペックが
書いてあるから書いてあるものを読んで比較した方が
正確な情報が得られるし、商品相互の価格とスペックの比較も
しやすい。おちついてじっくりとすぺっくを書いたポップと
価格を見て考えそして判断することができる。
わからないことだけ聞けばいい。
ところが最近は家電量販店も扱う商品があまりにも
多岐にわたり聞いてもあいまいな答えに終始する
店員さんも多い。
そんなときは店員さんに聞くよりも自分でネットを
検索しておよそのことを調べてしまう。
ところで、僕はオーケストラを聴くとき大概は
上階の後方の席で聴く。学生の時からの経験則で
後方の席の方がオーケストラ全体を見渡せるし
音も全体的によく聴こえるように感じる。
ところが僕は音を全体的に聴く習慣が身に付いてしまって
木管楽器がなっているときにそれがオーボエなのかクラリネットなのか
はたまた違う楽器なのか区別がつかないことが多い。
フルートだけは横笛だから区別はつくけれど。
後方の席でオーケストラを聴いて木管の音が鳴ったときだけ
ワンポイントで双眼鏡を使おうかなと思った。
今日、○○カメラという家電量販店にいって
必要な買い物を済ませたあと、僕は
その量販店の双眼鏡のコーナーに行った。
最初に2000円のものを手にとって5メートルほど先の
対象物を眺めた。ちょっとピントがボケる。
次に3000円ほどの品物をとってまた同じ対象物を眺めた。
同じ対象物を眺めなければ比較にならない。
2000円と、3000円、1000円の価格差は大きいと思った。
3000円の品物はピントがボケない。
眼鏡をかけて、そして眼鏡をはずして両方の場合において
僕はそれを確かめた。
眼鏡をかける、かけないにかかわらず同じ結果が得られると。
そこまでの結論を僕が出したとき店員さんがどこからともなく声をかけてきた。
「こちらの6000円の品物なんですけどね、これはコーティングの
グレードが高くて3000円の品物とは比べ物になりません。
先日も、U劇場で観劇をされるお客様が開演前にお店にこられて
これから劇を見に行くけれど後ろの方の席で双眼鏡がないから
安くていいものを選んでくださいとおっしゃたので私これをお薦めしました。
するとそのお客様は劇が終わったあとでまたお店に
来られて、今日はこれを買って本当に劇がばっちり見れてよかったと
お礼にこられました」と店員はおっしゃった。
「ここ、お客様ごらんになられますと蛍光灯の光が緑に
反射してますでしょ。これがグレードの高いコーティングの証拠です」と
店員さんは続けた。
僕は自分がかけていた眼鏡をはずして
「この眼鏡を買ったときにも眼鏡屋の方が緑色に光るから
いいコーティングだとおっしゃいましたが、この眼鏡もいい
こーてぃんぐなんですか?」と僕は言った。
「それはもうこの眼鏡もいいコーティングです」と店員さんは言った。
僕は3000円の双眼鏡を手にとって
「そういえばこの3000円の方は蛍光灯の光の反射が
白と緑に別れますね」と僕は言った。
「そうです、その分コーティングのグレードが低いと言うことです
このレベルの商品を買って、結局後悔して
またグレードの高いコーティングに買い直すお客様が
いっぱいおられます。はっきり申し上げます
この6000円の品物は定価が9000円は下らない品物です
このレベルのコーティングになりますと
6000円が最低価格です。これは断言できます」と店員さんは言った。
「そうですか。では3000円と6000円を比べてみます」と僕は言った。
実際に比べてみるとピントの度合いはそれほど変わらないものの
双眼鏡から見る像のクリアさは6000円の方がかなり勝る。
しかし、木管楽器が鳴ったときだけピンポイントで見るのという
目的だけのために3000円を6000円に価格を倍増させる必要が
あるのだろうかと僕は思った。
それに、双眼鏡からみた像は手振れがさけられず。
手振れの度合いは3000円も6000円もかわらない。
「確かに6000円の方は視界がクリアですね、しかし
手振れは6000円の品物でもさけて通れませんね」と僕は言った。
「いやいや、この双眼鏡は8倍ですから手振れはお客様、もう
大丈夫ですよ」と店員はおっしゃった。
双眼鏡の倍率と手振れとの間にどういう相関関係があるのか
僕にはわからなくなってしまった。というか倍率が高いほど
視界が狭い分手振れの影響が大きくなるのではないかとさえ僕は
思った。
「もう一度その点も含めてチェックさせていただけますか」と僕は言った。
「はいどうぞ」と店員さんはおっしゃった。
もう一度、3000円の双眼鏡で対象物を見て
横を見るとそこにはもう店員さんの姿はなかった。
これだけ手振れがあるのならば、いっそ少しくらいの
ピンぼけはがまんして2000円のにしようか、あるいは
もっと値段を落として片目だけでのぞけるもののほうが
ピンポイントで使用するのにはいいかとさえ思った。
店員さんも僕の視界から去っただけでどこかから
僕のことを見ているかもしれない。
あれだけ6000円の話をしたあとでいまさら
1500円の片眼の商品を買うのも気が引けてしまう。
もう今日はやめやと思った。
僕は最初にT劇場で貸し出している双眼鏡ですという
ポップのある商品から見始めたので店員さんは
僕のことを熱烈な演劇ファンでいいかもだと思われたのかもしれない。
それにしても、演劇を見るために急場しのぎで双眼鏡を買って
結果報告およびお礼にまでこられる律儀な方もおられるんだなと思った。
でも、それはまんざらオーバーな話でもなく
本当に感動すればそういうことは十分にありうると思う。
しかし、僕の場合残念ながらそういう種類の感動はないようだ。
家電量販店でも○○カメラと名前がついている以上
販売員の方にもこだわりがあるのかもしれない。
しかし、僕は今後は双眼鏡がほしい場合は
ホームセンターなど店員さんが声をかけてこないお店に行こうと思う。
というニュースを新聞で読んだことがある。
僕が、学生の時、家電量販店というかオーディオ量販店で
オーディオを買ったとき、予算だけ店員の方に伝えて
アンプからプレーヤー、レシーバに至るまで
全部量販店の店員の方に選んでもらったことがある。
下宿にそのオーディオが配達されてきて
それでヘンデルの水上の音楽を再生したら
ビックリするくらい音がよくて感動したことがある。
さすがにオーディオ量販店の店員さんは違うなと。
それから35年が過ぎた今、家電量販店に行っても
声をかけてくる店員さんはほとんいない。
ラジオはどのコーナーにありますか?と店員さんに
尋ねるとラジオのあるコーナーを店員さんは教えてくれる。
じゃああとは自分で探しますというと店員さんは
はいどうぞという感じになりすぐにどこかへ行ってしまわれる。
店員さんがいなくてもポップにその商品のスペックが
書いてあるから書いてあるものを読んで比較した方が
正確な情報が得られるし、商品相互の価格とスペックの比較も
しやすい。おちついてじっくりとすぺっくを書いたポップと
価格を見て考えそして判断することができる。
わからないことだけ聞けばいい。
ところが最近は家電量販店も扱う商品があまりにも
多岐にわたり聞いてもあいまいな答えに終始する
店員さんも多い。
そんなときは店員さんに聞くよりも自分でネットを
検索しておよそのことを調べてしまう。
ところで、僕はオーケストラを聴くとき大概は
上階の後方の席で聴く。学生の時からの経験則で
後方の席の方がオーケストラ全体を見渡せるし
音も全体的によく聴こえるように感じる。
ところが僕は音を全体的に聴く習慣が身に付いてしまって
木管楽器がなっているときにそれがオーボエなのかクラリネットなのか
はたまた違う楽器なのか区別がつかないことが多い。
フルートだけは横笛だから区別はつくけれど。
後方の席でオーケストラを聴いて木管の音が鳴ったときだけ
ワンポイントで双眼鏡を使おうかなと思った。
今日、○○カメラという家電量販店にいって
必要な買い物を済ませたあと、僕は
その量販店の双眼鏡のコーナーに行った。
最初に2000円のものを手にとって5メートルほど先の
対象物を眺めた。ちょっとピントがボケる。
次に3000円ほどの品物をとってまた同じ対象物を眺めた。
同じ対象物を眺めなければ比較にならない。
2000円と、3000円、1000円の価格差は大きいと思った。
3000円の品物はピントがボケない。
眼鏡をかけて、そして眼鏡をはずして両方の場合において
僕はそれを確かめた。
眼鏡をかける、かけないにかかわらず同じ結果が得られると。
そこまでの結論を僕が出したとき店員さんがどこからともなく声をかけてきた。
「こちらの6000円の品物なんですけどね、これはコーティングの
グレードが高くて3000円の品物とは比べ物になりません。
先日も、U劇場で観劇をされるお客様が開演前にお店にこられて
これから劇を見に行くけれど後ろの方の席で双眼鏡がないから
安くていいものを選んでくださいとおっしゃたので私これをお薦めしました。
するとそのお客様は劇が終わったあとでまたお店に
来られて、今日はこれを買って本当に劇がばっちり見れてよかったと
お礼にこられました」と店員はおっしゃった。
「ここ、お客様ごらんになられますと蛍光灯の光が緑に
反射してますでしょ。これがグレードの高いコーティングの証拠です」と
店員さんは続けた。
僕は自分がかけていた眼鏡をはずして
「この眼鏡を買ったときにも眼鏡屋の方が緑色に光るから
いいコーティングだとおっしゃいましたが、この眼鏡もいい
こーてぃんぐなんですか?」と僕は言った。
「それはもうこの眼鏡もいいコーティングです」と店員さんは言った。
僕は3000円の双眼鏡を手にとって
「そういえばこの3000円の方は蛍光灯の光の反射が
白と緑に別れますね」と僕は言った。
「そうです、その分コーティングのグレードが低いと言うことです
このレベルの商品を買って、結局後悔して
またグレードの高いコーティングに買い直すお客様が
いっぱいおられます。はっきり申し上げます
この6000円の品物は定価が9000円は下らない品物です
このレベルのコーティングになりますと
6000円が最低価格です。これは断言できます」と店員さんは言った。
「そうですか。では3000円と6000円を比べてみます」と僕は言った。
実際に比べてみるとピントの度合いはそれほど変わらないものの
双眼鏡から見る像のクリアさは6000円の方がかなり勝る。
しかし、木管楽器が鳴ったときだけピンポイントで見るのという
目的だけのために3000円を6000円に価格を倍増させる必要が
あるのだろうかと僕は思った。
それに、双眼鏡からみた像は手振れがさけられず。
手振れの度合いは3000円も6000円もかわらない。
「確かに6000円の方は視界がクリアですね、しかし
手振れは6000円の品物でもさけて通れませんね」と僕は言った。
「いやいや、この双眼鏡は8倍ですから手振れはお客様、もう
大丈夫ですよ」と店員はおっしゃった。
双眼鏡の倍率と手振れとの間にどういう相関関係があるのか
僕にはわからなくなってしまった。というか倍率が高いほど
視界が狭い分手振れの影響が大きくなるのではないかとさえ僕は
思った。
「もう一度その点も含めてチェックさせていただけますか」と僕は言った。
「はいどうぞ」と店員さんはおっしゃった。
もう一度、3000円の双眼鏡で対象物を見て
横を見るとそこにはもう店員さんの姿はなかった。
これだけ手振れがあるのならば、いっそ少しくらいの
ピンぼけはがまんして2000円のにしようか、あるいは
もっと値段を落として片目だけでのぞけるもののほうが
ピンポイントで使用するのにはいいかとさえ思った。
店員さんも僕の視界から去っただけでどこかから
僕のことを見ているかもしれない。
あれだけ6000円の話をしたあとでいまさら
1500円の片眼の商品を買うのも気が引けてしまう。
もう今日はやめやと思った。
僕は最初にT劇場で貸し出している双眼鏡ですという
ポップのある商品から見始めたので店員さんは
僕のことを熱烈な演劇ファンでいいかもだと思われたのかもしれない。
それにしても、演劇を見るために急場しのぎで双眼鏡を買って
結果報告およびお礼にまでこられる律儀な方もおられるんだなと思った。
でも、それはまんざらオーバーな話でもなく
本当に感動すればそういうことは十分にありうると思う。
しかし、僕の場合残念ながらそういう種類の感動はないようだ。
家電量販店でも○○カメラと名前がついている以上
販売員の方にもこだわりがあるのかもしれない。
しかし、僕は今後は双眼鏡がほしい場合は
ホームセンターなど店員さんが声をかけてこないお店に行こうと思う。