とってもとっても面白くて圧倒された「グッバイ・李箱」。
読んだことがある人が口をそろえて
「面白いよ~!!」というのも納得。
韓国で最も権威のある文学賞にも名前を冠されている李箱は
1910年生まれ、1937年東京でなくなります。
まるっと日帝時代に生きていたわけで、モダニズムの申し子のような作家です。
夭折したために、残された作品も少なく
死後も多くの読者と研究家の憧れの対象です。
そんな李箱を巡って、
1.李箱のデスマスク(韓国語で데드마스크)の記事を書く文芸誌の記者
2.李箱の生涯を真似し、東京で死ぬことになる李箱の熱狂的ファンの老人の手記
3.李箱の遺稿を発表する韓国系アメリカ人2世の文学教授
の3つのストーリーが入っています。
また、3つのストーリーがうま~く伏線になっていて、
最後まで読むと「やられた~!」と「すっきり!」が同時に来ます。
綿密な調査の結果でストーリーを組み立ててあり、
文学の先生によると「修士論文で学位が取れる」内容なのだそう。
それぞれの語り手の言葉を借りて、筆者、キム・ヨンスの李箱観が語られているのでしょう。
それはキム・ヨンスの「作家とは何か」「文学とは何か」という自問自答のようでもあり、
「天才詩人李箱とは何者だったのか」という問いかけが、
1.2.3のそれぞれの語り手によって、「自分は何者か」とテーマに置き換えられているように感じました。これはまたキム・ヨンス作家の文学を貫いているテーマでもあると思います。
3.の遺稿の詩に関しては、びっくりするようなコーパス的な種明かしもあって、
私はツボでした。
来週のゼミにレジュメを作っていく予定。
全体的には推理物なんですが、100分の1くらいの分量で不倫の恋が出てきます。
1部にでてくる短い恋愛の描写がデスマスク事件、遺稿事件の重大な要素だったと最後に種明かしされます。
仕事で出会ったキム記者とジョンヒは、見覚えのあるネックレスから、自分たちが数年前、同じときに同じ南の島で過ごしていたことに気づきます。それぞれ別のパートナーと一緒に。キム記者はその後恋人と別れ、ジョンヒはそのパートナーと結婚しています。
不倫の恋を始める二人にネックレスがささやくセリフが印象的だったので、ご紹介しますね。
목걸이는 우리에게 이렇게 말했다.
'잘 모르겠지만, 당신들은 1996년에 한 번 만난 적이 있는 사이야.
계속 만난다 해도 전혀 이상하지 않아.'
이제 '잘 모르겠지만, 당신들은 1996년에 한 번 잠을 같이 잔 적이 있는 사이야.
다시 잠을 잔다고 해도 이상하지 않아.'
首飾りは僕たちにこういった。
「よくわからないけど、あなたたちは1996年に一度会った仲だよ。
何度も会い続けたって全然おかしくない。」
今では「よくわからないけど、あなたたちは1996年に一度一緒に寝た仲だよ。
もう一度寝たっておかしくない。」
・・・うむ。訳すとなんだか망했다><
雰囲気出ませんね(涙)
キム・ヨンスって繊細な恋愛するんだろうなぁ・・。ってふと思った文章でした。
読んだことがある人が口をそろえて
「面白いよ~!!」というのも納得。
韓国で最も権威のある文学賞にも名前を冠されている李箱は
1910年生まれ、1937年東京でなくなります。
まるっと日帝時代に生きていたわけで、モダニズムの申し子のような作家です。
夭折したために、残された作品も少なく
死後も多くの読者と研究家の憧れの対象です。
そんな李箱を巡って、
1.李箱のデスマスク(韓国語で데드마스크)の記事を書く文芸誌の記者
2.李箱の生涯を真似し、東京で死ぬことになる李箱の熱狂的ファンの老人の手記
3.李箱の遺稿を発表する韓国系アメリカ人2世の文学教授
の3つのストーリーが入っています。
また、3つのストーリーがうま~く伏線になっていて、
最後まで読むと「やられた~!」と「すっきり!」が同時に来ます。
綿密な調査の結果でストーリーを組み立ててあり、
文学の先生によると「修士論文で学位が取れる」内容なのだそう。
それぞれの語り手の言葉を借りて、筆者、キム・ヨンスの李箱観が語られているのでしょう。
それはキム・ヨンスの「作家とは何か」「文学とは何か」という自問自答のようでもあり、
「天才詩人李箱とは何者だったのか」という問いかけが、
1.2.3のそれぞれの語り手によって、「自分は何者か」とテーマに置き換えられているように感じました。これはまたキム・ヨンス作家の文学を貫いているテーマでもあると思います。
3.の遺稿の詩に関しては、びっくりするようなコーパス的な種明かしもあって、
私はツボでした。
来週のゼミにレジュメを作っていく予定。
全体的には推理物なんですが、100分の1くらいの分量で不倫の恋が出てきます。
1部にでてくる短い恋愛の描写がデスマスク事件、遺稿事件の重大な要素だったと最後に種明かしされます。
仕事で出会ったキム記者とジョンヒは、見覚えのあるネックレスから、自分たちが数年前、同じときに同じ南の島で過ごしていたことに気づきます。それぞれ別のパートナーと一緒に。キム記者はその後恋人と別れ、ジョンヒはそのパートナーと結婚しています。
不倫の恋を始める二人にネックレスがささやくセリフが印象的だったので、ご紹介しますね。
목걸이는 우리에게 이렇게 말했다.
'잘 모르겠지만, 당신들은 1996년에 한 번 만난 적이 있는 사이야.
계속 만난다 해도 전혀 이상하지 않아.'
이제 '잘 모르겠지만, 당신들은 1996년에 한 번 잠을 같이 잔 적이 있는 사이야.
다시 잠을 잔다고 해도 이상하지 않아.'
首飾りは僕たちにこういった。
「よくわからないけど、あなたたちは1996年に一度会った仲だよ。
何度も会い続けたって全然おかしくない。」
今では「よくわからないけど、あなたたちは1996年に一度一緒に寝た仲だよ。
もう一度寝たっておかしくない。」
・・・うむ。訳すとなんだか망했다><
雰囲気出ませんね(涙)
キム・ヨンスって繊細な恋愛するんだろうなぁ・・。ってふと思った文章でした。