なかなか忙しくて聞けていないんですけど、
きむ・ふな先生が担当されているNHKラジオのレベルアップ講座、
今月取り上げる作品はハン・ガン作家の『菜食主義者』です。
本の内容については以前に書いたことがあるのですが、せっかくなので上にあげておきます。
年末のソウルでブックカフェをやった時に
「今度のNHKのテキストは『菜食主義者だよ』」と言ったら
留学中の後輩たち(2名)がたいそう驚いて
「え~、あれNHKで大丈夫なんですか?」と。
「『菜食主義者』くらいの性描写でびっくりしてたら、
何にも読めないよ。 村上春樹も同じくらいじゃないか?」
と、作家に言われたんですけどね。
後輩たちがちゃんと『菜食主義者』を読んでわかって話をしてるのが
私はちょっと誇らしかったです。
ちなみに外語祭の最後にちょこっとブックカフェによってくれた亀山学長も
「あれ、ベジタリアンの話、なかなかよかったなぁ。」って言ってくれましたよ。
さあ、読みたくなったでしょう~。
下のリンクからどうぞ。
ちなみに翻訳を出版したクオンさんで韓国語の原書も合わせて買うことができますよ!
==以下 2011年7月29日 の記事です=
新しい韓国の文学と銘打って始まったシリーズの第1巻。
李箱文学賞を受賞したハン・ガンの中篇『蒙古斑』とその連作に当たる『菜食主義者』『木の花火』をまとめた1冊。
本のデザインもすっきりと現代的で、寄藤文平さんが担当されています。
それだけで買いたくなりました。
翻訳はきむ・ふなさんで、それだけでもまた買いたくなるじゃないですか(←私はね。)
とにかく私には買わなくちゃ!な1冊だったわけです。
ついでに大学の図書館にもリクエスト。
読んでみようかな?という人はこちらからぜひ。
生と死と狂気をはらんだストーリーは衝撃的で、まだ私の中でも整理がつかずにいるんですが。
私の中では韓国の人って生命力にあふれているイメージがあります。
肉を食べてうなぎを食べて、家族や友人と泣き、笑い。
それだけに肉を絶ち、コミュニケーションを拒んでいく姿が際立って感じられるのかもしれません。
ある日「菜食主義」になった主人公の妻、ヨンヘは肉食を拒否し、最後には食べ物を拒み、家族との対話も拒否しだんだんと人間であることを拒否していくようにも思えます。
人間として生きることを静かにそっと手放してゆくヨンヘの変貌と、
変わっていくヨンヘに男性たちが(ヨンヘの変化を受け入れられない夫も)性的な魅力を感じるという点が印象的でした。
『蒙古斑』『木の花火』では人間として生きるのを拒んで、花になるのか、木になるのか、植物になっていくというイメージが現れます。
この作品は映画にもなっているんですが、映画の資料写真を見る限り、この花になるイメージが強いようです。日本では見られないのかな~?
登場人物たちにはいくつかの対立項があります。
例えば社会に出て働く夫と、家庭にいる、社会と繋がっていないヨンヘ。
社会にでて働くヨンヘの姉と、芸術家である夫。
そして男性と女性。
生と性に向き合う男性と女性の違いや、同じ女性でも子供のいないヨンヘと母親であるヨンヘの姉との違いも考えさせられます。
その中で登場人たちは相手を理解できずに拒んだり葛藤したり、思いがけずに強く惹かれたり、拒んでいるのに拒みきれずに苦しんだり。
母親である私は母親であるインヘ(ヨンヘの姉)に一番共感するのですが、
近い存在としての共感と、自分とは違うヨンヘへの共感や憧れがごっちゃになって沸いてきます。
読むひとごとに違う感じを受けるのではないでしょうか。
一本の長編として読むことも、三本の独立した小説として読むこともできますが、私は真ん中の『蒙古斑』がすきです。
翻訳書は夫も一緒に読めるかな?と期待したのですが、
最初ちょっと読んだだけで「これ・・ちょっと怖い」と放棄。
う~ん。男の人は苦手かしら。
きむ・ふな先生が担当されているNHKラジオのレベルアップ講座、
今月取り上げる作品はハン・ガン作家の『菜食主義者』です。
本の内容については以前に書いたことがあるのですが、せっかくなので上にあげておきます。
年末のソウルでブックカフェをやった時に
「今度のNHKのテキストは『菜食主義者だよ』」と言ったら
留学中の後輩たち(2名)がたいそう驚いて
「え~、あれNHKで大丈夫なんですか?」と。
「『菜食主義者』くらいの性描写でびっくりしてたら、
何にも読めないよ。 村上春樹も同じくらいじゃないか?」
と、作家に言われたんですけどね。
後輩たちがちゃんと『菜食主義者』を読んでわかって話をしてるのが
私はちょっと誇らしかったです。
ちなみに外語祭の最後にちょこっとブックカフェによってくれた亀山学長も
「あれ、ベジタリアンの話、なかなかよかったなぁ。」って言ってくれましたよ。
さあ、読みたくなったでしょう~。
下のリンクからどうぞ。
ちなみに翻訳を出版したクオンさんで韓国語の原書も合わせて買うことができますよ!
==以下 2011年7月29日 の記事です=
新しい韓国の文学と銘打って始まったシリーズの第1巻。
李箱文学賞を受賞したハン・ガンの中篇『蒙古斑』とその連作に当たる『菜食主義者』『木の花火』をまとめた1冊。
本のデザインもすっきりと現代的で、寄藤文平さんが担当されています。
それだけで買いたくなりました。
翻訳はきむ・ふなさんで、それだけでもまた買いたくなるじゃないですか(←私はね。)
とにかく私には買わなくちゃ!な1冊だったわけです。
ついでに大学の図書館にもリクエスト。
読んでみようかな?という人はこちらからぜひ。
生と死と狂気をはらんだストーリーは衝撃的で、まだ私の中でも整理がつかずにいるんですが。
私の中では韓国の人って生命力にあふれているイメージがあります。
肉を食べてうなぎを食べて、家族や友人と泣き、笑い。
それだけに肉を絶ち、コミュニケーションを拒んでいく姿が際立って感じられるのかもしれません。
ある日「菜食主義」になった主人公の妻、ヨンヘは肉食を拒否し、最後には食べ物を拒み、家族との対話も拒否しだんだんと人間であることを拒否していくようにも思えます。
人間として生きることを静かにそっと手放してゆくヨンヘの変貌と、
変わっていくヨンヘに男性たちが(ヨンヘの変化を受け入れられない夫も)性的な魅力を感じるという点が印象的でした。
『蒙古斑』『木の花火』では人間として生きるのを拒んで、花になるのか、木になるのか、植物になっていくというイメージが現れます。
この作品は映画にもなっているんですが、映画の資料写真を見る限り、この花になるイメージが強いようです。日本では見られないのかな~?
登場人物たちにはいくつかの対立項があります。
例えば社会に出て働く夫と、家庭にいる、社会と繋がっていないヨンヘ。
社会にでて働くヨンヘの姉と、芸術家である夫。
そして男性と女性。
生と性に向き合う男性と女性の違いや、同じ女性でも子供のいないヨンヘと母親であるヨンヘの姉との違いも考えさせられます。
その中で登場人たちは相手を理解できずに拒んだり葛藤したり、思いがけずに強く惹かれたり、拒んでいるのに拒みきれずに苦しんだり。
母親である私は母親であるインヘ(ヨンヘの姉)に一番共感するのですが、
近い存在としての共感と、自分とは違うヨンヘへの共感や憧れがごっちゃになって沸いてきます。
読むひとごとに違う感じを受けるのではないでしょうか。
一本の長編として読むことも、三本の独立した小説として読むこともできますが、私は真ん中の『蒙古斑』がすきです。
翻訳書は夫も一緒に読めるかな?と期待したのですが、
最初ちょっと読んだだけで「これ・・ちょっと怖い」と放棄。
う~ん。男の人は苦手かしら。