たままま生活

子育ての間にこっそりおでかけ・手作り・韓国語・・・。
多趣味な毎日を紹介します。

シン・ギョンニム詩人と。

2012-06-26 19:43:23 | 韓国文学
株式会社クオンよりお知らせをいただきました。


来る6月30日、弊社より刊行しております「新しい韓国の文学」シリーズ第四作『ラクダに乗って』(シン・ギョンニム著/吉川凪訳)刊行記念イベントを開催致します。
それに伴い、現在弊社HP(http://www.cuon.jp/)にてイベント参加申し込み受付を実施しております。
イベントの概要は下記の通りとなります。会場では弊社既刊並びに既刊原書(韓国語版)の販売も予定しております。
是非皆様お誘い合わせの上、お越し頂きたく存じます。

新しい韓国の文学第四弾『ラクダに乗って』刊行記念詩人対談
シン・ギョンニム×谷川俊太郎
■期 日 2012年6月30日(土)午後3時〜 入場料:1000円
■会 場 在日本韓国YMCA 地下一階スペースYホール
     〒101-0064 東京都千代田区猿楽町2−5−5 (JR水道橋駅徒歩6分)
     TEL:03-3233-0611 FAX:03-3233-0633
■内 容 韓国を代表する詩人申庚林氏と、日本を代表する詩人谷川俊太郎氏との対談。



毎回楽しみにしている、cuonの「新しい韓国文学シリーズ」の本と刊行イベント。
第4弾は、シン・ギョンニム詩人です。
詩は声に出してこそ、完成するものかもしれません。
しかも、詩人本人が読んでくれるなんて贅沢ですね!


当日通訳で参加される、私も大好きなきむ・ふなさんのメッセージを貼っておきます。

当日は、谷川さんのファンが多いでしょうけれど、シン・ギョンニ​ムさんも韓国においての国民的な詩人です。私が「葦」という詩に​出会ったのは、高1の時。今でも、当時のショックを覚えています​^^;
「葦」 
いつからか葦は内側で/静かに泣いていた/そんなある夜のことだ​ったろう 葦は/自分の全身が揺れていることを知った
風でも月の光でもないもの/葦は自分を揺らしているものが自らの​忍び泣きであることに/少しも気づいていなかった/― 生きるとは内側でこうして/静かに泣くことだとは/知らなかった​(吉川凪 訳)

신경림 시인의 시선집 <낙타를 타고>가 일본에서 발간되었습니다.「--산다는 것은 이렇게/ 속으로 조용히 울고 있는 것이란 것을/ 그는 몰랐다 」<갈대>란 시와 처음으로 만난 건 고등학교 1학년 때. 그때의 충격과 감동이 지금도 생생한데, 많은 시간이 지나고 이곳에서 시인을 만나게 된다니 또 다른 감회가...





残念ながら私はいけませんが、みなさんぜひぜひ。

「トガニ」を見てきました。

2012-06-23 08:31:42 | 韓国文学
明治学院大で行われた、
「トガニ」の上映シンポジウムに行ってきました。

今コン・ジヨン作家が来日しているんですけど、
大ファンの後輩が調べたところ、関係者以外がコン・ジヨンに会えるチャンスはこれだけだったとか。



学生さんたち(何かの授業の出席にカウントされるのでしょう)
映画を見に来た人たち(m-netで招待があったもよう)
コン・ジヨン作家のファン(留学生は主に作家を見に来ていたみたい)
が混在していて、結構な参加者でした。


映画のストーリーは皆さんご存知だと思いますが、
社会派の重い映画です。
正直見ていて本当につらかったです。



権力が与えられて、チェックされないとしたら
私だって、悪魔になるでしょう。
ですからこれは普遍的な、人間の問題なのです
―という、作家の言葉が印象的でした。

チョ.ソンモの「カシナム」がつらい場面なんだけど印象的に使われています。

わざわざこんな重い映画を・・・と思う人もいるだろうし、
『コーヒー・プリンス』のイメージを引きずっているコン・ユのファンが見たら
ショックを受けると思います。
私もコン・ユのイメージ変わりました。こうやって、俳優さんって成長してゆくのね。
ちなみに作家は、コン・ユをしらなかったんですって。

映画に描かれていることは実際にあった話で、
これは韓国の一つの特異な事件ではなく、
日本にもあるけれど、私たちの目に見えていない、と
ぐさっと胸に突き刺さる映画です。

ぜひぜひ皆さん見てください。




映画の後に短くないシンポジウムがあり、
質疑応答タイムには、質問もできて、
自分で韓国語で質問して自分で日本語に訳して、
緊張しすぎて答えをちゃんと覚えていなかったりしますが。

自分の子がこんな目にあったら、絶対復讐すると思うし、
きっとコン・ジヨン作家もそうするだろうと思います。

と言ったら、

私も自分で断罪するでしょう、って。

三児の母なので、作家に共感します。というのはちゃんと伝えました~。


そして、韓国では御年50歳のコン・ジヨン作家、
하늘하늘한(ひらひらの)ミニスカートでした!
負けました><


ちなみに明治学院大学は開花期にキリスト教団体を通じて朝鮮半島の留学生を多く受け入れていて、
その中からは著名な文学者もでており、韓国・朝鮮文学ともゆかりの深い大学です。

「この坂をイ・グァンスも歩いたんだろうな~。」
「この礼拝堂は当時からあったんだな~。」
と、浮かれているオタクは私ひとりかと危惧しましたが、
シンポジウムを主催した先生にお話しを伺ったら
「あそこにあった図書館の2階でいつも勉強していたんですよ。」と
盛り上がってくれて、よかったです。

ユクサムネンミョン 作ってみました。

2012-06-19 19:34:57 | うちのこと
最近の韓国で増えているらしい、
ネンミョンを頼むとおまけに焼肉がついてくる、というお店。

私も年末にイヨンと行ったんだけど
おけいはん。も去年の今頃イヨンと一緒に行ったらしく
見てたらすごく食べたくなったので

作りました。


豚肉は甘目の十勝の豚丼のような味。
ついでに豚丼もつくり、味噌汁もセットですが。


写真を撮ってわかったんですけど、冷麺てそばどんぶりに盛るとそばに見えますね。


夏バテだけど、何か栄養のあるものを取らなくちゃ。なこれからの季節にお試しください。

兄たちのいない間にのんびり朝ごはん

2012-06-17 11:08:33 | うちのこと


6時に起きてお弁当を作って2度寝から目覚めると、

パパ:どっかにおでかけ(武蔵野線ぶらり旅だったとのちに判明)

長男:アウトドアサークルでかまどの練習

次男:少年野球


だったので、末っ子とふたりでブランチとやらを作ってみました。


爪楊枝くわえながら料理する姿が・・・・おっさんです(笑)

キム・ジュンヒョク作家の新作出ます。

2012-06-14 21:35:39 | 韓国文学
あらら。ミスターモノレールも読みかけなのに・・・。

キム・ジュンヒョク作家の新作が出ます。



今回は店頭に出る前に、予約販売で先に手に入れることもできるそう。

日本には送ってくれないの? と、突っ込んでみたところ、親切なお返事が。


문학동네 통해 구입하려고 해도 해외에 계시니 쉽지 않겠네요.
hamyo@munhak.com으로 메시지 주시면 제가 영업지원팀에 전달해 드리도록 하겠습니다.

文学トンネ社を通じて購入しようと思っても海外にいたら簡単ではないでしょうね。
こちらまでメッセージを下さったら、私が(fb管理人さん)が、営業支援チームに伝えます。

とのことです。

その前に、海外発送してくれるインターネットショップを確認してみてください、とも書いてあったけど
私のキョボ文庫のIDはなんかエラーが出ちゃうのよね。

で、個別に対応してくれるのでしょうから、送料とかそういう条件はわかりません。
現地の銀行に入金だったらまた、送料かかるしね。
(ちなみに私が愛用してるSBJは送料無料キャンペーン中ですが)


日本にファンがいるって、ジュンヒョク作家をはじめ文学トンネのみなさんも喜んでくれると思います。

誰よりも早く!新作を読みたいという愛情あふれるファンのみなさん、
問い合わせてみてくださいね~。

韓国語の文章が届きます。『文学集配員』

2012-06-14 19:45:02 | 韓国文学
毎週1編の詩と、ひとくだりの文章を届けてくれる文学集配員のプログラムをご紹介します。

月曜日には詩を、木曜日には文章を、
BGMつきの動画にして届けてくれるプログラムです。
今年の集配員のファン・インスク詩人と、ジョン・ソンテ作家からの短いメッセージが一緒にとどきます。

ゆっくりとした韓国語の朗読を聞きながら、
字幕のように本文も見られるので韓国語の勉強にもなりますよ。

お気に入りの詩や作家に出会えるかもしれません。

紹介される作品は集配員の全面責任編集なので、「こんな本を読んでいるんだ~」と思うことも。

ジョン・ソンテ作家がキム・ヨンスを紹介していたり(二人とも好きだけど似ていないと思っていたので、読むんだ!と素直にびっくりした)

キム・ヨンス作家が、
イ・ソラのラジオで放送作家をしていたキム・ドンヨン作家を紹介していたり

キム・ヨンスの似顔絵がどうも悪意があるように見えたりして・・・


(↑どうよ、コレ。)

いろいろな発見があって面白いです。(ツボです><)


このプログラムの第1回はト・ジョンファン詩人の詩配達。
歴代の配達員さんたちの内容も、さかのぼって見られます。


HPはこちらです。

 



登録すると、メールで届くのですが、私のdaumからは動画が開かないので結局HPに行って確認しています。
i-phoneの人は、ポッドキャスティングが使えます。


途中下車してみる。

2012-06-14 19:36:45 | ひとりごと
海さんも絶賛のキム・ジュンヒョク作家の長編『ミスターモノレール』が、佳境に入ったところですが、
図書館に予約していた本が来たので、ちょっと途中下車。




先日“特別講義”で、金石範先生の話を直接聞くチャンスがあって、
すごい存在感と情熱に衝撃をうけました。

ので、重いけど・・・ちょっと読んでみます。





『謝肉祭』ジョン・ソンテ

2012-06-12 22:18:20 | 韓国文学
ジョン・ソンテ作家の最初の短編集、『埋香ー매향』よりひとつ。

一番気に入った(方言が少ないので、一番理解できている)『사육제』をご紹介します。
タイトルはハングルで書かれていて、じ~っと見てると感じが浮かんでくるんですけど
(いえ、一発でわかる人にはわかるのでしょう)
『謝肉祭』ですね。

舞台は元炭鉱の町。閉山の際の抗議の記憶も、落書きも廃墟となった社宅も残っていますが、
にぎやかだった町も店は閉店し、人は消えました。
貯水池から、おぼれて死んだ少女の鳴き声が聞こえると大きな噂になり
ムーダンを読んでクッ(鎮魂のための祈り)も行われることになり、町は一時にぎやかさを取り戻します。
「カーニバルだね!」と町の人たちが言うのです。

主な登場人物は、一人称の나「僕」と 기복이 엄마 「キボギのかあちゃん」。
「僕」の視点で物語は進んでいきます。

「僕」は口を開くとひどいどもりがありますが、小学校さぼっているできの悪いこどもなんだろうな、くらいに感じます。「僕」がどんな子なのか、もう少し読んでみましょう。

본래 혀가 짧은 나는 침을 끊임없이 입 밖으로 흘러나와, 아마 그것이 사람들을 무척 부답스럽게 하는 모양이었다.
もともと舌が短い僕は絶えず口からよだれを垂らしていたが、おそらくそれで周りの人たちはずいぶん重荷に感じているようだった。p238

나는 오른손을 잘 쓰지 못했다. 손이 뒤틀린 채 굳었기 때문이다.
僕は右手がうまく使えなかった。手がねじまがったまま固まっていたからだ。p244

평소 뒤뚱거리는 몸
普段からグラグラしている体 p244


この辺までくると、あれ?何か障害があるのかな?と感じますよね。
そして、「僕」の認識と外の世界との間にもズレがあるのに気づきます。
地の文は「僕」の主観ですが、ただ描写しているだけでその意味までは理解できていなかったり、他の登場人物の行動や台詞からも現実がどんなものかがわかります。
 
그가 손가락을 옆머리에 올리고 몇 바퀴 동그라미 치자 /
"미친 여자?"/
"사내 아이는 그런 것 같은데."/
"등에 업은 인현을 보면 몰라요?/ 애가 차에 치어 죽었거든요."
彼が指を頭の横にあげて何周かくるくる回すと/
「彼女、気がふれてるのか?」/
「坊主の方はそうみたいだけど」/
「人形をおんぶしてるのを見てわからないか?/子供が車に轢かれて死んだんだよ。」
p247

하지만 그 날 같은 경우엔 기복이 제 엄마를 달랬어야 옳다고 나는 생각했다.녀석은 눈깔만 퍼렇게 부라릴 줄 알지, 도대체 할 줄 아는 게 아무 것도 없었다.
しかし、そんな日にはキボギが自分の母ちゃんを慰めるのがまっとうだとおもった。奴は青い目をぱちくりさせるばかりで、だいたいできることといったら何にもなかった。p 249

예전에 나에게도" 몹쓸 년" 이라는 이름을 가지는 엄마가 있었던 모양이다.
/ 더러 나를 바라보면 "몹쓸 년"하고 할아버지는 엄마의 이름을 한숨과 함깨 뇌까리곤 했다.
前には僕にも「アバズレ」という名前の母親がいたようだ。
(中略)時々僕を見ながら「アバズレ」と、じいちゃんは母ちゃんの名前を溜息と一緒に吐き出したものだ。
p249

구장이 할아버지에게 도장을 돌려주며/ 서류를 동글게 말아서 /
"영감님께서 언제까지 데리고 있을 수 없잖아요. 요번 일만 잘 되면 그 쪽 사람들한테 부탁해서 적당한 수용시설을 주선해 드리죠."
区長はじいちゃんに印鑑を返しながら/書類を丸めて/
「爺様がいつまでも一緒にいられるわけないじゃないですか。今回のことがうまくいけばあちらに頼んで、ちょうどいい預け先も選んでくれるでしょう。」p259


30ページちょっとの短編はp261で終わりなので、ここが最後のネタバレなのです。
ページを見てみると、絶妙に小出しにしているのがわかります。
一人称の小説で「나」って誰だろう??と探り探り読むのが好きな私のためにあるようなお話でした。
また、作者特有の端正な文を一人称で語っているというギャップが、効果的でした。

廃鉱の町の様子や、オオガエル(ハングルでは왕개구리 ですが、ウシガエルですかね?静岡では食用ガエルを縮めてショックウと呼んでいましたが)にこだわる話、キボギの母ちゃんの妊娠の話などが出てきます。

障碍の自覚もなく、母親に捨てられた「僕」にとって、キボギの母ちゃんとじいちゃんとすごす、炭鉱の町はユートピア。でもユートピアは終わるのです。

物語は「僕」が空に手を伸ばし"승천하거라!" 「成仏なされよ!」と叫んで終わります。
貯水池の少女の幽霊を鎮める、クッの言葉ですが、「僕」の言葉は誰の魂を救うことができるのでしょうか。



『埋香』ジョン・ソンテ著

2012-06-11 00:14:09 | 韓国文学
半分も理解できていないんじゃないかとと思うと作者に申し訳ない><



方言だけでなくて、難しい言葉がたくさん。(語彙が豊かなのですね。ネイティブにとってはね)
そして何より文章が長い!!最近の『낚시하는 소녀』なんて「ト書きか?」というほど短いのに。
と思ったら、映画のシナリオにしたかったらしくやっぱりト書きを意識していたみたい。
また文章の長さをエクセルでグラフ化してみようかね?という気になります。(←変態)

すでに前世紀(1999年)に出版された、デビュー作を含む短編集。
若かりし日の作者近影は、ナーバスそうなハンサムです。


白い表紙を開けると、扉の裏が真っ黒でお葬式のような配色です。何があったんでしょうか・・・。
短編集のタイトルになっている『埋香』も、香で死者を慰めるという宗教行為を表すようです。


すべての短編は農村を舞台にしていて、開発の進む当時の韓国で、田舎に取り残された若者たちの不公平感と閉塞感が多くでてきます。
いくつかの作品の中には若くてあっけなくなくなってしまう人が登場します。
でね、これは作家の別のエッセイや作者の言葉で知ったことなので、作品の評価、と言い切れないかもしれないけど、作者は親しい人を何人か亡くしている運動圏の最後の世代。
生きてゆく自分たちの閉塞感の裏に、苦しいなりにも生きていけなかった人たちを意識しているんじゃないのかなぁ、と思うんです。
そして、彼らを弔う意味でも『埋香』なのかな、と。

(続きます)