『レッツ・スペンド・ザ・ナイト・トゥゲザー』(83)(1988.3.23.)
東京ドームで行われたミック・ジャガーのソロコンサートを見た後で、何か消化不良を感じて、ローリング・ストーンズが81年に行ったアメリカン・ツアーの様子を記録した、ハル・アシュビー監督の『レッツ・スペンド・ザ・ナイト・トゥゲザー』を見直してみた。
この映画を見ると、ミックのパフォーマンスもさることながら、キース・リチャーズの存在感の大きさや、黙々とドラムを叩くチャーリー・ワッツの姿に、改めてストーンズの一員としてのミックという見方が浮かんできて、やはりストーンズとして来てほしかったと思った。消化不良の原因はここにあったのだ。
ローリング・ストーンズ スティール・ホイールズ ライブ・アット・トーキョー・ドーム(1990.2.16.東京ドーム)
体調が万全ではない中、オープニングの「スタート・ミー・アップ」から2時間以上も立ちっ放しというのは正直なところこたえたし、豆粒のようにしか見えない彼らの姿を、凝視し続けるのも疲れた。
そして、疲れたら無理をしないで座ってしまえばいいのだが、彼らのプレーと自分の意地がそれを許さない。まるで「あしたのジョー」の金竜飛の舞々(チョムチョム)を受けているようなものだ。こうなったら、彼らと俺とのマラソンダンスの戦いだ、などと思いながら見続けたのだが、結果はもちろん彼らの圧勝だった。「悪魔を憐れむ歌」でついに俺は力尽きて座り込んでしまったのだから…。
およそ20歳という年齢差がありながら、この結果は何とも情けない。ダーティなイメージがある彼らだが、このパワーは日頃から体を鍛えていなければ出てこないはず。これは虚像が独り歩きした結果か、それとも彼らも年を取って、若い頃とは違って保守的になったということなのか。
何だか、ストーンズのコンサートを見たにしては、全く興奮していないようなことばかり書いているが、実際のところ、席も音も悪過ぎて、ストーンズのコンサートを見たという実感が湧かない。加えて、この後控えているポール・マッカートニーのコンサートを想像しながら見てしまったのも悪かった。
ミックとキースの掛け合いを見ると、いくらけんかをしても、生きてりゃこそだよ。ジョンとポールのこんな姿は二度と見られないのだからなどと思ったし、先のミックのソロコンサートとこのストーンズのコンサートを合わせて考えると、やっぱりグループの曲はグループのものなのだとも思った。
つまり、今度のコンサートではビートルズ時代の曲を中心にやるという、ポールの姿は一体どう映るのだろう、違和感はないのだろうかなどと、思いはそっちの方に飛んでしまったのだ。
セットリスト
1.スタート・ミー・アップ
2.ビッチ
3.サッド・サッド・サッド
4.ハーレム・シャッフル
5.ダイスをころがせ
6.ミス・ユー
7.ルビー・チューズデイ
8.プレイ・ウィズ・ファイア
9.ロック・アンド・ア・ハード・プレイス
10.ミックスト・エモーションズ
11.ホンキー・トンク・ウィメン
12.ミッドナイト・ランブラー
13.無情の世界
14.キャント・ビー・シーン
15.ハッピー
16.黒くぬれ!
17.2000年光年のかなたに
18.悪魔を憐れむ歌
19.ギミー・シェルター
20.イッツ・オンリー・ロックン・ロール
21.ブラウン・シュガー
22.サティスファクション
23.ジャンピン・ジャック・フラッシュ
ポール・マッカートニー日本公演1990
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/140baaf898d72d92ad632a8fa7ed68b5