田中雄二の「映画の王様」

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『アプレンティス ドナルド・トランプの創り方』

2025-01-08 21:52:47 | 新作映画を見てみた

『アプレンティス ドナルド・トランプの創り方』(2025.1.8.オンライン試写)

 1970年代。気弱で繊細な若き実業家ドナルド・トランプ(セバスチャン・スタン)の父が営む不動産会社が政府に訴えられ破産寸前に追い込まれていた。

 そんな中、トランプは政財界の実力者が集まる高級クラブで、悪名高き弁護士のロイ・コーン(ジェレミー・ストロング)と出会う。勝つためには手段を選ばない冷酷な男として知られるコーンは意外にもトランプを気に入り、顧問弁護士となる。

 コーンによって服装から生き方まで洗練された男に仕立て上げられたトランプは数々の大事業を成功させるが、やがてコーンの想像を遥かに超える“怪物”へと変貌していく。

 米大統領に再選されたトランプの若き日を描く。監督はアリ・アッバシ。この映画の原題は「アプレンティス=徒弟」。つまりトランプはコーンの徒弟だったということ。何しろ初対面のときにコーンはトランプを「哀れな坊や」と呼ぶのだ。

 そしてコーンは、「アメリカの精神は資本主義、強権、真実、正義」「アメリカが一番」と豪語し、勝利のための三つのルールとして、その1「攻撃」、その2「全否定。非を認めない」、その3「どれだけ劣勢に立たされても勝利を主張する。決して負けを認めない」をトランプに伝授する。

 これらは前回の大統領時のトランプの政策や行動、そして今回の大統領選の姿勢とあまりにも通じていて驚くが、何よりトランプがよくこの映画の公開を許したものだと別の意味で感心させられたし、トランプを演じたスタンがだんだんと似てくるところにも驚かされた。

 70年代の荒れたニューヨークの再現に加えて、「ロック・ユア・ベイビー」(ジョージ・マクレー)や「誘惑のブギー」(バカラ)といった懐メロが流れ、アンディ・ウォーホール、メディア王ルパート・マードック、ニューヨーク・ヤンキースの名物オーナー・ジョージ・スタインブレナー、エド・コッチニューヨーク市長らに扮した俳優が姿を見せるのも面白かった。

 それにしても、まるで大統領就任式の日に合わせたかのような日本公開はいささかでき過ぎの感がある。

 蛇足だが、『グレムリン2 新・種・誕・生』(90)ではトランプをモデルにした“ダニエル・クランプ”が登場し、『ホームアローン2』(92)にはトランプ本人が顔を出す。

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「BSシネマ」『エルヴィス』

2025-01-08 07:21:53 | ブラウン管の映画館

『エルヴィス』(22)

【インタビュー】『エルヴィス』オースティン・バトラー
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/376ea609af8a1741df7930727ccd38cd

【インタビュー】『エルヴィス』バズ・ラーマン監督
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/f56ffa729f2975fcddf134677cf7628f

【ほぼ週刊映画コラム】『エルヴィス』『バズ・ライトイヤー』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/f59dfb1adada8d7dc5786a7a1f7e992a

 

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