田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

「藤子・F・不二雄SF短編ドラマ」

2023-06-07 22:00:00 | テレビ

 「僕にとっての『SF』はサイエンス・フィクションではなく『少し不思議な物語』のSとFなのです」と語っていた藤子・F・不二雄が描いた刺激的でシュールなSF短編漫画を実写ドラマ化。

死んだクラスメートをめぐる怪事件からひも解かれる物語「おれ、夕子」(鈴木福、田牧そら、山本耕史)
だましたのは、悪魔か人間か? 悪魔との契約を描く「メフィスト惨歌」(又吉直樹、遠藤憲一)
食糧危機に陥った未来の老人の悲哀を描いた「定年退食」(加藤茶、井上順)
けんかの絶えない父と息子の心が入れ替わった1日を描く「親子とりかえばや」(青木柚、吹越満)
締め切りに追われる漫画家がタイムスリップして未来の自分を叱咤する「昨日のおれは今日の敵」(塚地武雅)
人の心の声が聞こえる不思議な実を手にした青年の物語「テレパ椎」(水上恒司)

 原作漫画は何編か読んでいたが、ドラマとしては「トワイライトゾーン=ミステリーゾーン」「世にも奇妙な物語」にも似た味わいがある。1本15分という時間配分もいい。


『プーと大人になった僕』「劇画・オバQ」
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/2fceb4cac423bd844d1f279148206ca4

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「ミュンヘンへの道」

2023-05-17 10:47:33 | テレビ

 バレーボールの横田忠義氏の訃報に接し、「ミュンヘンへの道」(72)という番組のことを思い出した。

 この番組は、バレーボール男子日本代表が、ミュンヘンオリンピックへ向けて取り組む様子を、選手個々のエピソードを交えながら描いたもので、エピソード部分はアニメーション、練習の模様などは実写映像を使って放送された。現実との同時進行で、番組の最後には「ミュンヘンオリンピックまであと〇日」というカウントダウンが出た。

 これは、日本代表監督の松平康隆自らがチームの知名度アップを目指して広告代理店経由でTBSに企画を持ち込んだものだという。あらゆる手段を使って男子バレーチームをメジャーにすることを考えた希代の策士・松平らしいやり方だ。で、それに見事に乗せられて、当時小学6年生だった自分も夢中になって見ていた。

 「♪~覚えておくがいいよ一途に燃えた日々、覚えておくがいいよ二度とない日を。火のようなスパイクに体をぶつけ、飛び散る汗にさえ生きてる輝きが」作詞・阿久悠/作曲・渡辺岳夫の主題歌は今もよく覚えている。

 実際の五輪では、ズラタノフを擁するブルガリアとの準決勝が最大の山場となった。2セットを先取され、第3セットも先行を許す絶体絶命の状況で、松平はベテランの主将・中村祐造や南将之を投入して流れを変え、3セットを連取して逆転勝ちを収めた。腰痛のため自転車のチューブを腰に巻き付けてプレーしたという横田の姿は壮絶だった。当時、テレビで深夜の衛星生放送を見て興奮したことをよく覚えている。

 このブルガリア戦での奇跡の逆転勝利が語られることは多いが、実は松平が大会前に最も警戒していたのは決勝で対戦した東ドイツで、エンター監督について徹底的に研究したということが「驚きももの木20世紀」(94)の中で語られていた。インタビューの最後に「エンター監督のことをどう思うか」と聞かれた松平が「大好きだね」と即答したことが印象に残っている。

あの時のメンバーは、
1.南将之
2.猫田勝敏
3.中村祐造
4.西本哲男
5.木村憲治
6.深尾吉英
7.野口泰弘
8.森田淳悟
9.横田忠義
10.大古誠司
11.佐藤哲夫
12.嶋岡健治

 森田、大古、横田のビッグスリー、森田のドライブサーブや一人時間差、木村のBクイック、猫田の天井サーブ…。

 自分の中学には野球部がなかったので、ミュンヘン五輪の影響もあってバレー部に入った。「ミュンヘンで男子バレーチームが使ったのと同じ物」という触れ込みのシューズやサポーターを買ったが、多分“本物"ではなかっただろう。

 背が低かったので控えのセッターにさせられたが、普通にトスを上げても“バックトス”になって、よく先輩から叱られた。なぜか、男子よりも女子の方が勢力があり、その中の1年先輩に「スター誕生」に出る前の片平なぎさがいた。

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脚本・竹山洋 ドラマ編「砂の器」「秀吉」「坊さんが、ゆく」「菜の花の沖」「利家とまつ」

2023-04-17 23:37:10 | テレビ

松本清張「砂の器」

(91)今西栄太郎(田中邦衛)吉村弘(伊原剛志)和賀英良(佐藤浩市)監督:池広一夫
(11)吉村弘(玉木宏)和賀英良(佐々木蔵之介)今西栄太郎(小林薫)監督:藤田明二
この原作を基に2本別々のドラマの脚本を書いたのは、竹山ただ一人だろう。2本目の主役は今西ではなく、吉村になっている。
清張物の脚本では「点と線」(07)も書いている。


ヒロインと弟役が重要な役割を果たす「竹中直人+竹山洋の三部作」

大河ドラマ「秀吉」(96)妻のおね役は沢口靖子、弟の秀長役は高嶋政伸
「坊さんが、ゆく」(98)ヒロイン役は沢口、弟役は長嶋一茂
「菜の花の沖」(00)高田屋嘉兵衛(竹中)、妻役に鶴田真由、弟の金兵衛役に筧利夫
大河ドラマはもう一本「利家とまつ~加賀百万石物語~」(02)がある。

https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/ac13314395b7ad6b57b594aa1e5b6cbb

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「羽生善治 52歳の格闘 ~藤井聡太との七番勝負~」(NHK)

2023-04-16 11:32:06 | テレビ

 現在の将棋界で無敵の強さを誇る藤井聡太六冠(20歳)が、思わぬ苦戦を強いられた王将戦七番勝負。立ちはだかったのは復調を果たした「レジェンド」羽生善治九段(52歳)だった。

 AIを駆使して研究を深め、正確無比な読みを誇る藤井。対する羽生は、藤井の経験が少ない作戦を採用、得意とする複雑な展開に持ち込む。両者の持ち味が存分に発揮された「天才対決」。熱戦の舞台裏で何が起こっていたのか、羽生の証言を軸に解き明かす。

 年齢も、経験も、背景も全く違う2人の対決の様子を興味深く見た。羽生が藤井を称して、「どんなところに球を投げても打たれてしまう感じがする」と語っていたのが面白かった。


『聖(さとし)の青春』(17)では、東出昌大が羽生を演じていた。

【コラム】「将棋に人生を懸けた男たち」将棋映画
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/3c072b7951af6a14df820211d2dc89d5

『泣き虫しょったんの奇跡』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/0ab5420b2b047e58451f584e3f26f3b2

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『ドキュメント「シン・仮面ライダー」~ヒーローアクション 挑戦の舞台裏~』(NHK)

2023-04-16 10:34:32 | テレビ

 庵野秀明監督の『シン・仮面ライダー』の製作現場に密着。新たなヒーローアクションに挑んだクリエーターたちの2年間の記録。主人公・本郷猛を演じた池松壮亮の頑張り、庵野監督とアクション監督の田渕景也との対立など、映画製作の裏側を知らされた。それにしても、監督とはつくづくわがままな輩だと思う。

 関係者へのインタビューなどの取材もそうだが、こうしたメーキング物を見ると、完成した映画の出来や好みとは別の感情が湧いて困るところがあるが、今回もそうだった。これを踏まえて、もう一度見直してみようかと思わせれば、よくできたドキュメンタリーということになるだろう。


『シン・仮面ライダー』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/07a793b5e838aa3c4cd17ad9ca48e672

 

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「タイムマシーンにお願い」(89~93)

2023-04-16 00:35:23 | テレビ

 物理学者のサム・ベケット博士(スコット・バクラ)は砂漠に建てられた研究所でタイムトラベルの研究に没頭していた。しかし政府が助成金の打ち切りを表明。サムは自分の研究の価値を証明すべく、未完成のタイムマシンに試乗し、姿を消す。気がつくとサムはタイムスリップし、別人の体に乗り移っていた。

 主人公のサムがクォンタム・リープ(量子跳躍)というタイムトラベルを繰り返し、その時代の名もなき人々を助けるSFドラマ。サムはタイムリープによって精神(または魂)のみが過去の人物と入れ替わり、何らかの使命を果たすことで次のリープへと移ることを繰り返す。

 タイムリープは「ジギー」と呼ばれるコンピューターが管理しており、サムの相棒のアル(ディーン・ストックウェル)は、サムにしか見えないホログラムとして登場し、ジギーの予測などを伝えてサムを助ける。

 日本では、1992年9月から93年7月まで毎週金曜日WOWOWで放送された。

 当時のメモを見ると、プロデューサーはドナルド・P・ベルサリオで、音楽はマイク・ポスト。第1話の監督は俳優のデビッド・ヘミングスが担当している。

 例えば、74年のジョージ・フォアマン対モハメド・アリの一戦、64年のビートルズのアメリカ公演といった時事ネタや、『ロッキー』『ゴッドファーザー』『ドライビング Miss デイジー』『アパートの鍵貸します』、そしてハンフリー・ボガートや西部劇といった映画絡みのパロディも満載で、毎回楽しく見た覚えがあるが、確か途中で放送が打ち切られ、残念に思ったものだった。

https://www.youtube.com/watch?v=Y4YamBXhh0M

 

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「帰ってきたウルトラマン」郷秀樹=団次朗

2023-03-25 09:56:22 | テレビ

 「帰ってきたウルトラマン」が放送されたのは、1971年4月から72年の3月とある。「ウルトラマン」「ウルトラセブン」との違いは、自分が小学校の高学年になっていたことだ(サブキャラの次郎を演じた川口英樹は同い年)。

 だから、「そろそろ怪獣物は卒業しなくちゃ」何て思って、ちょっと斜に構えて見ていたのだ(嫌なガキだ)。

 すぎやまこういち作曲の主題歌や冬木透の音楽にワクワクさせられたものの、中身は結構暗くシビアな話が多かった。団次朗が演じた防衛チームMAT隊員の郷秀樹(=ウルトラマン)も悩み多き若者で、私生活も含めた彼の成長物語がドラマの核であった。

 「ウルトラマン」のハヤタ(黒部進)とも、「ウルトラセブン」のモロボシダン(森次晃嗣)とも違う、発展途上の郷秀樹というキャラクターは、団次朗によく似合っていた。見た目のカッコ良さと悩む姿のギャップが魅力的だった。

 で、このドラマには、ウルトラセブンや初代ウルトラマンが出てくる回があって、後に確立される“ウルトラ兄弟”という設定の萌芽が見られる。

 当時は、子ども心にも何だか妙な感じがしたが、今となっては「これはアベンジャーズみたいなものだったのか」などと思ったりもする。

 それにしても、自分が見ていたヒーローを演じた人が亡くなっていくのは、時の流れとはいえやはり寂しいものがある。

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「昭和歌謡ミュージカル また逢う日まで」(NHKプラス)

2023-02-28 00:02:37 | テレビ

 バブル真っ盛りの昭和63年。日々、生きずらさを感じるOLのサエ(福本莉子)は、ひょんなことからパラレルワールド「令和」に迷い込んでしまう。

 きれいで住みやすい街、他人を思いやる人々。サエにとっては夢のような世界だが、人々の目線はスマホに釘づけ。ところが、退屈する子どものために歌ったピンクレディーの「透明人間」がSNSでバズった! サエは嫌いだった昭和歌謡を武器に、人間関係が希薄な「令和」を変えていくが…。

 令和の演劇青年に浅香航大、サエの母に斉藤由貴、サエをパラレルワールドに誘う謎の男に塚本晋也。

 登場する曲は、「プレイバックPart2」「銀座の恋の物語」「ロンリー・チャップリン」「時代」「TOKIO」「待つわ」『DOWNTOWN』「赤いスイートピー」「流星」「春一番」「チャコの海岸物語」、そして「また逢う日まで」。全部口ずさめた…。

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「大河ドラマが生まれた日」

2023-02-05 00:28:09 | テレビ

 1962年、NHK芸能局の楠田(阿部サダヲ)とアシスタントディレクターの山岡(生田斗真)は、局長(中井貴一)に「映画に負けない日本一の大型娯楽時代劇を作れ!」と突然命じられた。

 山岡たちは大スターの佐田啓二(中村七之助)の自宅に日参し、出演を頼むが、なかなかいい返事がもらえなかった。

 大河ドラマ第1作の「花の生涯」の制作秘話を通して、テレビマンたちの奮闘を描く。ものづくりの原点を見るような、熱気と楽しさが感じられる。

 中井が父親の佐田を連れてこさせる局長を演じているのが面白いが、生田、阿部をはじめ、出演者たちがそれぞれ好演を見せる。特に“昭和の女性”を演じた松本穂香と倉科カナが印象に残った。

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テレビで旅行ほか

2023-01-15 13:53:06 | テレビ

「文豪温泉~名作の陰に名湯あり~」

 夏目漱石『吾輩は猫である』(道後)、『明暗』(湯河原)、川端康成『伊豆の踊子』(河津)、志賀直哉『城の崎にて』(城の崎)…。文豪が愛した温泉地を巡り、名作誕生の秘密や、知られざる温泉との関係に迫る。映画やドラマのロケ地めぐりならぬ、文学散歩。こういうのも楽しい。

湯河原 『飢餓海峡』『お葬式』『トロッコ』…
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/6e79c5119f0dbca793f953fc5654baa4


「テントを背負って2022」「賢治のイーハトーブを歩く」

 今回、仲川希良が訪れたのは、宮沢賢治が「イーハトーブ」と呼んだ、故郷・岩手。『風の又三郎』のモチーフとなった種山ヶ原。『どんぐりと山猫』をほうふつとさせる森の木々。そして賢治が幾度となく作品に登場させた岩手山。賢治は、ひ弱なイメージがあるが、意外とアウトドア派なのだ。


「美の壺 スペシャル」「日本の温泉」

 大分・別府温泉、秋田の「秘湯」鶴の湯温泉、福島の「湯守」岳温泉、佐賀・武雄温泉の竜宮城VS長野・上諏訪温泉「片倉館」のカルロビバリ、「温泉文学」与謝野晶子と法師温泉。

 法師温泉の長寿館は、一度訪れたことがあるが、ここで、上原謙と高峰三枝子が共演した国鉄時代のフルムーンのCMを撮った大林宣彦監督が、後年、『彼のオートバイ、彼女の島』(86)でも、原田貴和子と‎竹内力の入浴シーンを撮っている。また、『テルマエ・ロマエⅡ」(14)のエンディングもここで撮られた。


「絶対行きたくなる!ニッポン不滅の名城」「徳川家康の城」

 徳川家康が、天下人となってから築城した江戸城、名古屋城、そして大御所として君臨した駿府城をリポート。喜々として城について語る千田嘉博教授が面白い。


「ドキュメント72時間」「美術大学 青春グラフィティー」

 3年ぶりに観客を入れて開かれた、武蔵野美術大学の「芸術祭」に密着。芸術祭が始まるまでの3日間、アートに情熱を注ぐ若者たちの青春グラフィティー。


「プロフェッショナル 仕事の流儀」「縁の下の幸福論 ~校正者・大西寿男~」

 書籍や雑誌など、出版物に記された言葉をチェックし、間違いを見付け、時には改善策も提案する校正者。作家や編集者から絶大な信頼を受ける大西寿男は、柔らかな雰囲気を持ちながら、ひとたびゲラ(校正刷)と向き合うと、まばたきすることも忘れて、仕事に没頭する。労多くして功少なしの校正という仕事に対する大西の姿勢と矜持に迫る。

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