原作のエッセンスから新たな物語を抽出し、ピーターパンの前日談を創造。一人の少年がどのようにしてピーターパンになったのかを描く。スティーブン・スピルバーグが大人になったピーターパン(ロビン・ウィリアムズ)を描いた『フック』(91)とは逆のパターンということになる。
前半の孤児院のシーンは薄暗く陰気で、チャールズ・ディケンズの『オリヴァー・ツイスト』や『大いなる遺産』をほうふつとさせるが、何とネバーランドに舞台を移しても雰囲気は暗いまま。これには少々面食らった。
VFXによる3D映像(『アバター』を思わせる空中シーン)に加えて、フック船長、タイガーリリーら、おなじみのキャラクターが意外な姿で登場するのが見どころ。特に若き日のフックは『スター・ウォーズ』のハン・ソロのようでこれはかなり笑える。ヒュー・ジャックマンが楽しそうに悪役の黒ひげを演じており、スターになってもこういう役を嬉々として演じるあたりに好感が持てる。
とは言え、これも今はやりの“序章映画”の一つ。これ一作だけではどうにも評価のしように困る。